健康と疾患

免疫

English

免疫システムの概要

免疫系は感染や病気から体を守っている。それは細胞、組織、器官による複雑かつ統合されたシステムであり、異物や細菌、ウイルス、真菌を含む病原微生物に対する防御に特化した役割を担っている。また、免疫システムは癌の発生防止にも機能する。これらの活動のために、免疫系は外部からの侵略者だけでなく、異常な細胞を認識し、それを自己と区別しなければならない(1)。しかし、免疫系は両刃の剣であり、病原体と戦い、それを破壊する過程で宿主の(自らの)組織を傷害することがある。免疫応答の主要な構成要素は炎症で、宿主組織への損傷を引き起こす可能性があるが、多くの場合ダメージは深刻ではない(2)。炎症については、別の記事で説明することとし、この記事は、栄養と免疫に焦点を当てる。

免疫系の細胞は骨髄から発生し、血液とリンパ液によって末梢組織まで循環する。胸腺、脾臓、リンパ節が免疫系の器官である(3)。Tリンパ球は胸腺内で成熟する。胸腺は胸部にあり、心臓の上に乗っている。上腹部にある脾臓は、抗体の血液中への分泌を調節する機能に加え、古くなったり破損した赤血球を循環系から取り除く(4)。リンパ節は、全身の組織をそれぞれの場所で監視する交番のような組織で、抗原と病原菌を捕らえて、組織化された免疫細胞の活性化を促進する。

免疫システムは、大雑把に2つの主要な構成要素に分割される。 自然免疫と適応免疫である。 自然免疫は異物である侵略者への素早い非特異的な応答に係る。一方で適応免疫はより長い時間をかけて、複雑で特異的な応答を行う(1)

自然免疫

自然免疫は、異物と病原微生物に対する最初の防衛線である。自然免疫には病原体に対する免疫記憶はなく、応答の速い非特異的な防御である。特異性が低いために、自然免疫の応答は時として身体の組織を損傷することがある(5)。免疫記憶がないということは、それぞれの抗原がたびたび侵入したとしても、応答は同じであることを意味する(6).

自然免疫系は感染症への様々な解剖学的障壁で構成され、物理的な障壁(例えば、皮膚)、化学的障壁(例えば、胃酸の酸性度)、および生物学的障壁(例えば、胃腸の正常細菌叢)を含んでいる(1)。解剖学的な障壁に加えて、自然免疫系は可溶性因子および病原体に対する防御の最前線を担う食細胞から構成されている。可溶性因子には、補体系、急性期(反応)タンパク質、およびサイトカイン(6)と呼ばれる情報タンパク質などが含まれる。補体系(血漿中および細胞表面の30を超えるタンパク質の生化学的なネットワーク)は、自然免疫の主要な構成要素である。補体系は、直接的な細胞溶解(細胞破壊)によって、あるいは貪食の促進によって侵入した病原体を殺傷する反応を誘導する。さらに補体蛋白質は炎症反応の制御も行う。それは自然免疫の重要な部分である(7-9)。急性期タンパク質は一群の血漿蛋白質であり、炎症において重要である。炎症の初期段階で、免疫細胞によって分泌されるサイトカインが肝臓での急性期タンパク質の合成を促進する(10)。サイトカインは、免疫応答の調節に重要な役割を持っている化学伝達物質であり、いくつかのサイトカインは、直接病原体と戦う。例えば、インターフェロンには抗ウイルス活性がある(6)。これらの可溶性因子は、感染局所に食細胞を呼び寄せる上で重要である。単球、マクロファージ、および好中球は、貪食と呼ばれるプロセスで侵入した微生物を取り込み消化する重要な免疫細胞である。これらの細胞は病原体関連分子パターン(PAMP)を識別するパターン認識受容体を発現しており、これを使って病原微生物に固有でありながら一群の病原体の間で保存されている分子を識別する(図1)(2, 11)。自然免疫応答の詳細については、炎症に関する記事を参照していただきたい。

Figure 1. Immune Cell Phagocytosis. Macrophages are specialized leukocytes that respond to invading pathogens by initiating phagocytosis and the synthesis and release of pro-inflammatory cytokines. Microorganisms like bacteria have pathogen-associated molecular patterns (PAMPs) that are identified by pattern recognition receptors on macrophages. The left side of the figure illustrates the process of phagocytosis, which involves engulfment of the bacterium into an intracellular vesicle called a phagosome, phagosome-lysosome fusion to form a phagolysosome, degradation of the bacterium by enzymes, and cellular release of the degraded material by exocytosis. The right side of the figure illustrates that bacterial binding to surface receptors of the macrophage also signals the transcription of pro-inflammatory cytokines in the cell’s nucleus. Cytokines are then produced in the cytoplasm and these pro-inflammatory proteins are secreted from the cell to affect behavior of nearby cells.

適応免疫

適応免疫(後天的免疫とも呼ばれる)は、病原体に対する第二段の防御であり、完全に機能するまでに、数日から数週間がかかる。しかし適応免疫は自然免疫に比べ、抗原に特異的な反応と免疫学的な「記憶」を含むので、はるかに複雑である。病原体が侵入し、それが持つ特異的な抗原に曝露されると、その病原体の破壊に特化した免疫細胞の生産が刺激される(1)。免疫学的な抗原の「記憶」とは、抗原を覚えていることにより、同じ病原体への二回目の曝露では免疫応答がより速くより強いことを意味している。適応免疫応答の主要な調節者は、Bリンパ球(B細胞)とTリンパ球(T細胞)である。 B細胞は抗体を生産する。抗体は、異物であるタンパク質や病原体を認識して結合する特殊化された蛋白で、毒素を中和したり、マクロファージが破壊する時の目印として働く。抗体が介在する反応は、液性免疫と呼ばれている。これとは対照的に、細胞性免疫は胸腺で成熟するリンパ球であるT細胞が担っている。T細胞にはいくつかのサブグループがあり、適応免疫の中で異なった役割を持っている。たとえば、細胞傷害性T細胞(キラーT細胞)は感染細胞を直接攻撃して殺し、ヘルパーT細胞は他のリンパ球の応答を促進し、その結果としてそれらの機能を補助している(5, 6)。制御性T細胞(抑制T細胞とも呼ばれる)は、免疫応答を抑制する(12)。補体系は自然免疫でのその不可欠な役割に加えて、適応免疫の反応を調節しており、これは自然免疫と適応免疫での相互作用の一例である(7, 13)。自然免疫と適応免疫の構成要素は相互に作用し、協同して体を感染と病気から守っている。

栄養の役割

概要

栄養の状態によって、免疫系の働きが変化することがある。したがって、栄養学と免疫学は密接に結ばれている。事実、栄養失調は免疫不全の原因として、世界的に最も一般的である(14)。そして慢性的な栄養失調は、世界での疾病と死亡に関わる主要な危険因子となっている(15)。8億人以上の人々が栄養不良であると推定され、その大多数は発展途上国に暮らしている(16)。しかし、低栄養は先進工業国の問題でもあり、特に入院している患者と高齢者では問題である(17)

全般的な栄養不足は、適当な免疫機能を保つのに必要とされる特定の微量元素が欠乏するだけでなく、エネルギーと主要栄養素が摂取不足となる。

このような栄養不足は、免疫抑制と免疫応答の調節不全を招く。特に、特定の栄養素の欠乏は、自然免疫での食細胞の機能を弱めることがあり、また、サイトカインの生産や抗体と細胞が媒介する免疫を含む適応免疫のいくつかの面で悪影響を与えることがある(18, 19)。過剰栄養は、栄養素、特に主要栄養素を栄養必要量以上に過剰摂取することによる栄養不良のひとつの型であり、免疫系機能に悪影響を与える(下の「過剰栄養と肥満」を参照のこと)。

栄養不良が誘発する免疫応答の障害は、人々の感染症と疾病への感受性を増大する。それに引き続いて、感染症と疾病は栄養不良の状態を悪化させる。たとえば、食欲不振によって栄養素の摂取が低下したり、栄養の吸収が悪化したり、より多くの栄養素が喪失したり、栄養をより多く必要とする代謝への変化などがある(19)。このように、栄養不良と感染症による状態の悪化は、互いに促進し合い、危険な悪循環につながることになる(14)

主要栄養素

タンパク質・エネルギー栄養障害(PEM)

タンパク質・エネルギー栄養障害(PEM; タンパク質・カロリー栄養障害とも時々呼ばれる)は、主に幼児や高齢者に影響を与える一般的な栄養の問題である(20)。重度PEMの臨床症状は、マラスムス、クワシオルコル、またはこれら2つの症候群が混成したものと呼ばれている。マラスムスは、脂肪蓄積の消耗および筋肉消耗が特徴の消耗病である。これは、蛋白質とカロリー(すなわち、すべての栄養素)の両方の欠乏に起因する。マラスムスに悩まされている人達は異常なほどに痩せ衰えて見え、ひどい低体重で、浮腫は無い(21)。これとは対照的に、クワシオルコルの特徴は浮腫の存在である。全体的なカロリー摂取量は正常であっても、クワシオルコルは主に食物中のタンパク質の欠乏によって引き起こされる(21, 22)。どちらの障害も、発展途上国においてより一般的であるが、特定のタイプのPEMは、先進国でも様々なサブグループ、たとえば入院している高齢者などに見ることができる(17)。先進国では、PEMは、より一般的に、炎症性腸疾患、慢性腎不全、あるいは癌などの栄養素代謝に悪影響する慢性疾患に続発して発症する(22)

特定の原因に関係なく、自然免疫と適応免疫の両方に悪影響を与えることによって、PEMは感染への感受性を増大する(15)。自然免疫に関しては、PEMは特定のサイトカインといくつかの補体タンパク質の生産の減少や、食細胞の機能低下にも関連している(20, 23, 24)。そのような栄養障害では、粘膜バリアによる防御にも障害を与え、呼吸器、胃腸、尿路での感染症に対する防御が弱くなる(21)。適応免疫に関しては、PEMは液性免疫の構成要素としてではなく、主に細胞性免疫に影響を及す。特に、PEMは胸腺(T細胞を生産する器官)の萎縮を引き起こす。そして、それは循環するT細胞の数を減らして、抗原に対する記憶応答の有効性を弱める(21, 24)。PEMはまた、脾臓とリンパ節を含む他のリンパ組織の機能をも低下させる(20)。液性免疫への影響が小さい場合には、PEMでは抗体の親和性と反応性が低下することが多い(24)。PEMは通常、必須微量栄養素、特にビタミンA、ビタミンB6、葉酸、ビタミンE、亜鉛、鉄、銅とセレンの欠乏と合併して起こる点に注意を払うことが重要である(21)

食物中の脂質

実験的研究によれば、いくつかの種類の食物脂質(脂肪酸)には免疫応答を調節する作用がある(25)。この作用がある脂肪酸には、オメガ-3とオメガ-6の長鎖高度不飽和脂肪酸(PUFAs)が含まれる。PUFAは、炭素間二重結合を複数持つ脂肪酸である。すべてのオメガ-3脂肪酸(n-3)では、脂肪酸のメチル末端から数えて3番目と4番目の炭素原子の間に、最初の二重結合がある。同様に、すべてのオメガ-6脂肪酸(n-6)では、脂肪酸のメチル末端から数えて6番目と7番目の炭素原子の間に、最初の二重結合がある(26)。ヒトは、脂肪酸のn-3またはn-6位置に二重結合をつくる能力を持っていない。したがって、両方のクラスの脂肪酸は、必須な栄養素と考えられて、食品から摂取しなければならない(26)。詳細な情報は、必須脂肪酸についての記事で説明する。アルファ-リノレン酸(ALA)は栄養的に必須なn-3脂肪酸であり、そして、リノール酸(LA)は栄養的に必須なn-6脂肪酸である。食事からの摂取が推奨される必須脂肪酸は、ALAとLAである。n-3とn-6クラスに属する他の脂肪酸は、ALAまたはLAから、体内で合成することができる。たとえば、長鎖n-6 PUFA(アラキドン酸)はLAから合成することができ、長鎖n-3 PUFAs(エイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)) はALAから合成することができる(26)。しかし妊娠中や授乳期間のような特定の状況では、EPA、特にDHAの合成が不十分になることがある(27, 28)。EPAとDHAは、他のPUFAと同様に、免疫応答や炎症応答を含む細胞機能を調節する(29)

長鎖PUFAは免疫細胞の膜リン脂質に取り込まれ、貪食やT細胞シグナリングのような免疫と炎症応答の細胞シグナル伝達を調節する。長鎖PUFAは、エイコサノイドと他の脂質性のメディエイターの生産も調節している(29, 30)。エイコサノイドは、炭素数20のPUFA誘導体で、炎症と免疫の反応で鍵となる役割を担っている。炎症反応の間、免疫細胞の細胞膜中の長鎖PUFA(例えば、n-6シリーズのアラキドン酸[AA]とn-3シリーズのEPA)は酵素によって代謝され、炎症に様々な影響を及ぼすエイコサノイド(例えば、プロスタグランジン、ロイコトリエンとトロンボキサン)が形成される(29)。AAに由来するエイコサノイドは、Bリンパ球とTリンパ球の機能も調節する。レゾルビンはEPAとDHAに由来する脂質メディエイターで、抗炎症作用を有するらしい(30)。これらの脂質メディエイターの相対的な生産量は、脂質の食事やサプリメントの摂取によって、ある程度まで変えることができる。典型的な欧米型の食事をしている人々では、免疫細胞の細胞膜のAA量はEPA量を大きく上まわり、その結果として、EPAからよりもAAからのエイコサノイドの形成が大きく上回っている。しかしn-3脂肪酸の摂取量を増すことで、用量依存的に免疫細胞膜のEPA含量を増やすことができる。結果として、EPAに由来するエイコサノイドがより多く生産され、AAに由来するエイコサノイドが減少することになり、全般的な抗炎症性の影響が現れるであろう(30, 31)。EPAに由来するエイコサノイドの生理活性は、AAから派生したものより弱いものの(32)、EPAと他のn-3 PUFAを補給することは、さまざまな炎症性疾患の治療に有用である可能性がある。これは現在、活発に研究されている領域である。n-3 PUFAを補給することは、炎症性疾患あるいは自己免疫性疾患の人達には有用であるかもしれないが、多量のn-3 PUFA摂取は生体防御機構を損なう可能性があり、感染症に対する感受性を増大させる恐れがある(詳細は、必須脂肪酸に関する記事を参照のこと)(25, 33)

PUFAsに加え、共役リノール酸(CLA)と呼ばれているLAの異性体が免疫機能を調節することが、主に動物と試験管内の研究において示された(34)。CLAは、自然界では反芻動物動物の肉とミルクに含まれるが、cis-9, trans-11 CLA、とtrans-10, cis-12 CLAの2つの異性体を含むサプリメントとしても摂取可能である。28人の男女によって行われた研究では、CLAの補給(2つの主なCLA異性体の50:50の混合物:1日当たり3gを摂取)は、IgAとIgM(抗体の2つのクラス)の血漿中濃度の上昇と関連していた(35)。CLAの補給は、2種の炎症性サイトカインの濃度の減少と抗炎症性サイトカインの濃度の上昇にも関連していた(35)。いくつかの動物実験でも免疫応答に対する類似した影響が認められている(36, 37)が、免疫の状態と機能をさまざまな方法で計測したヒトを対象にした少数の他の研究では、CLAの有益な影響を見つけることはできなかった(38-40)。CLAがヒトの免疫応答に与える影響を理解するためには、より多くの研究が必要である。

さらに、脂質は一般に、エイコサノイドやそれに類似した免疫調節物質の前駆体である以外に、免疫において他の多くの役割を果たしている。たとえば、脂質は免疫細胞によって代謝されるエネルギー源であり、細胞膜の重要な構造的、機能的な構成要素でもある。これに加えて、脂質は膜内のレセプタを刺激したり、転写因子の活性を調節することを通して遺伝子発現を調節することができる。さらに、脂質はタンパク質を共有結合により修飾することができ、それによってタンパク質の機能に影響を及ぼす(30)

微量栄養素

特定の微量栄養素(ビタミンと栄養的に必須なミネラル)の欠乏は、自然免疫と適応免疫の両者に悪影響を与える可能性がある。その結果として、感染と病気への感受性を増大させる。微量元素の欠乏は一般的な米国人できわめて一般的であるが、貧しい人々、高齢者と肥満の人では特によく見られる(過剰栄養と肥満の項を参照のこと)(41, 42)。米国全国健康栄養検査調査(NHANES)からのデータによると、米国で推定平均必要量(the estimated average requirement, EAR)を満たしていない人口は、ビタミンEで93%、マグネシウムで56%、ビタミンAで44%、ビタミンCで31%、ビタミンB6で14%、亜鉛で12%である(43)。さらに、ビタミンDの欠乏は、米国だけでなく他の国でも大きな問題であり、世界の10億人がビタミンDの欠乏もしくは不十分な状態にあると見積もられている(44)。微量栄養素が免疫応答の発達と発現に重要な役割を演じているので、特定の微量栄養素の欠乏は免疫の抑制と、その結果としての感染と病気への感受性の増大を引き起こすことになる。いくつかの微量栄養素の免疫機能における役割について如何に述べる。

ビタミンA

ビタミンAとその代謝物質は、自然免疫と適応免疫で重要な役割を演じている。自然免疫において、皮膚細胞と、目や呼吸器、消化管、尿生殖器の粘膜細胞は、感染症に対する障壁として機能している。ビタミンAは、これらの粘膜細胞が構造的かつ機能的な健全さを維持するのに貢献している。ビタミンAは、ナチュラルキラー(NK)細胞、マクロファージ、好中球などの自然免疫に重要な細胞が本来の機能を発揮することにも重要である。さらに、T細胞やB細胞のような適応免疫を調節する細胞の適切な機能に、ビタミンAは必要とされる。このように、ビタミンAは特異抗原に対する抗体の産生のために必要である(45)

ビタミンAの免疫への影響の大部分は、ビタミンA誘導体、すなわちレチノイン酸の異性体が担っている。レチノイン酸の異性体はステロイド・ホルモンであり、レチノイン酸受容体(RARs)とレチノイドXレセプター(RXRs)という2つの異なるクラスのレチノイド受容体と結合する。古典的な経路では、RARはまずRXRとヘテロダイマーを形成し、その後、レチノイン酸応答配列(RAREs)と呼ばれる小さなDNA配列に結合する。その結果、特定の遺伝子の転写を調節する分子間相互作用のカスケードが開始される(46)。500以上の遺伝子が、レチノイン酸によって直接または間接的に調節されている(47)。これらの遺伝子のいくつかは、細胞の増殖と分化を制御する。よって、ビタミンAの免疫における重要性は明らかである。

世界的には、特に発展途上国では、プリフォームド・ビタミンA (レチノール及びそのエステル)を含む食品の入手が限定的であるため、ビタミンA欠乏症は公衆衛生における大きな問題である。(ビタミンAを含む食品に関する情報は、ビタミンAに関する別の記事を参照)。動物モデルの実験でも疫学的研究でも、ビタミンAの欠乏が免疫不全につながり、感染症に対するリスクを増大させることが示されている(45)。実際、この微量元素の欠乏が、発展途上国の幼児、子供および女性の罹病率と死亡率が高いことの主要な原因となっている。ビタミンAが欠乏している人達は、はしか、マラリアや下痢症などの感染症にかかりやすい(45)。無症状であってもビタミンAが欠乏すると、感染症のリスクが増大するかも知れない(48)。その一方で、感染症が様々な経緯でビタミンAの欠乏に結びつく可能性がある。たとえば食物摂取の減少、ビタミン吸収の低下、ビタミン排出の増大、ビタミン利用の阻害、ビタミンAの代謝的な必要量の増加などである(49)

ビタミンAの欠乏が免疫系に及ぼす特異的な影響の多くは、動物モデルを使って明らかにされてきた。ビタミンAの欠乏は、自然免疫の構成要素を損傷する。上で述べたように、ビタミンAは自然免疫系の粘膜バリアを維持するのに不可欠である。このように、ビタミンAの欠乏は生体防御の最前線を脆弱にし、それによって眼科系、呼吸器系、消化器系、尿生殖器系の感染症に罹りやすくさせる(50-56)。ビタミンAの欠乏はNK細胞の数と細胞傷害活性の低下をもたらすだけでなく、好中球やマクロファージのように、病原体を貪食で殺滅する細胞の機能をも低下させる。影響を受けると考えられる機能は、走化性や貪食、および侵入した病原体を殺すオキシダントを産生する免疫細胞機能である(45)。これに加えて、ビタミンAの欠乏でサイトカインによるシグナリングは変化する可能性があり、それにより、自然免疫の炎症応答に影響を及ぼすであろう。

その上、ビタミンA欠乏は体液性、細胞性免疫を含む適応免疫をさまざまな面から損なう。特に、ビタミンAの欠乏は、レチノールとその代謝物質に依存するB細胞の成長と分化に悪影響を及ぼす(57,58)。ビタミンA欠乏はB細胞機能にも影響を及ぼす。例を挙げれば、ビタミンAの欠乏が抗体反応を損なうことが動物実験から分かっている(59-61)。レチノールはT細胞(62)の活性化に重要であり、ビタミンA欠乏は次の変化を通じて細胞性免疫に影響を持つ。T細胞数の減少、T細胞の分布の変化、サイトカイン生産の変調、T細胞のシグナリングを調節する細胞表面レセプターの発現の減少(45)

ビタミンAを補充することにより、免疫が強化され、ビタミンA欠乏と関連した感染症関連の罹患率と死亡率が低下することが示された。12例の対照試験のメタアナリシスによって、子供たちにビタミンAを補充することにより、あらゆる原因による死亡のリスクを30%減少させることが明らかになった。それに加えて、はしかで入院している児童にビタミンAを補充することで、死亡リスクが61%減少することも判明した(63)。いくつかの研究では、ビタミンAの補充が下痢症の症状を軽減させる(64)ことを示しただけでなく、はしかやマラリア、HIVなど他の感染症の発生率には変化を与えないものの、症状を軽くすることも示した(45)。さらに、ビタミンAの補充は、上に述べたような、抗体生産の低下や炎症応答の悪化のような免疫機能に対する有害な作用の多くを改善、もしくは好転させることができる(65)。しかし、ビタミンAの補充は、肺炎のような下気道感染症では有益で無いばかりか、症状を悪化させる可能性がある(45, 66, 67)。ビタミンAをサプリメントとして摂取することには潜在的な副作用があるので、栄養不良もしくは明らかなビタミンA欠乏症の場合にのみ摂取されるべきである(64)。ビタミンAの毒性に関する情報については、ビタミンAに関する記事を参照されたい。

ビタミンD

ビタミンDの活性型(1, 25-ジヒドロキシビタミンD3)は、ビタミンAのように、標的遺伝子の発現を制御するステロイド・ホルモンとして機能する。1, 25-ジヒドロキシビタミンD3の生物学的効果の多くは、ビタミンD 受容体(VDR)として知られている核転写因子により仲介されている (68)。細胞の核に入る時には、1, 25-ジヒドロキシビタミンD3はVDRに結合して、そのレチノイドXレセプター(RXR)への結合を促進する。1, 25-ジヒドロキシビタミンD3の存在下で、VDR/RXR複合体はビタミンD応答要素(VDREs)として知られているDNAの小さな配列に結合し、特定の遺伝子の転写を調節する数多くの分子間相互作用のカスケードを開始させる。生体内組織の200を超える遺伝子が1, 25-ジヒドロキシビタミンD3によって、直接的もしくは間接的に制御されることが知られている (44)

ミネラルのホメオスタシスと骨代謝に対するその影響に加えて、1, 25-ジヒドロキシビタミンD3は、免疫系における強力な調節因子であると認められている。VDRは単球、マクロファージ、樹状細胞、活性化したT細胞を含む数種類の免疫細胞で発現している (69-72)。マクロファージも25-ヒドロキシビタミンD3-1-ヒドロキシラーゼという酵素を生産し、局所的にビタミンDを活性型に転換できる (73)。1,25-ジヒドロキシビタミンD3は自然免疫の応答も適応免疫の応答も調節することが研究で示されている。

抗菌性ペプチド(AMPs)とその他のタンパク質は病原体(特に細菌)を直接殺して免疫を促進するので、自然免疫系の重要な構成要素となっている(74)。AMPsは細胞シグナリング効果を通して免疫機能の調節も行っている(75)。ビタミンDの活性型は、カテリシジンと呼ばれている重要な抗菌性タンパク質を制御している(76-78)。免疫細胞の増殖とサイトカインの生産を含む自然免疫の他の要因が、ビタミンDによる刺激を受けていることも示されている(79)。これらの役割を通して、ビタミンDは、病原体に起因する感染症から身体を防護することに貢献している。

ビタミンDの適応免疫への影響は主に抑制なものである。特に1, 25-ジヒドロキシビタミンD3はB細胞による抗体生産を抑えるだけでなく、試験管内でのT細胞の増殖を妨げる(80-82)。さらに、1、25-ジヒドロキシビタミンD3はヘルパーT細胞ならびに樹状細胞の機能的な表現型を調節することが示された(75)。細胞表面タンパク質であるCD4を持っているT細胞は、生産する特有のサイトカインにより2つのサブセットに分けられる: ヘルパーT (Th)1細胞は主にマクロファージの活性化と炎症応答に関わっている。そして、Th2細胞は主にB細胞による抗体生産を刺激することに関わっている(12)。いくつかの研究が示すところでは、1、25-ジヒドロキシビタミンD3はTh1細胞の発生と機能を抑制する(83, 84)が、Th2細胞(85, 86)と調節性T細胞(87, 88)の発生と機能は促進する。これらの後2者のタイプの細胞は、自己免疫疾患と移植拒絶反応で重要な調節を行っており、ビタミンDはそのような病態の予防や治療に有用であると考えられている(89)。様々な動物モデルを使用した研究からは、1, 25-ジヒドロキシビタミンD3の自己免疫疾患と移植に対する有用性が報告されている(84の総説を参照)。

実際にビタミンDの欠乏はいくつかの自己免疫疾患の発症に関連している。例えば、インスリン依存性(真性)糖尿病(IDDM;タイプ1真性糖尿病)、多発性硬化症(MS)と慢性関節リウマチ(RA)である。身体が外来の病原体の代わりに自分自身の組織に対して免疫応答を開始すると、自己免疫疾患が発症する。免疫応答が間違って標的にするのは、IDDMでは膵臓のインスリンを生産するベータ細胞であり、MSでは中枢神経系のミエリン生産細胞、そしてRAでは関節のコラーゲン生産細胞である(90)。緯度が高い地方ほど、様々な自己免疫病の罹患率が上昇することが、いくつかの疫学研究で明らかになっている(91)。このことは、紫外線B (皮膚でのビタミンD合成を誘導するために必要なタイプの紫外線) を浴びる量が低下すること、およびそれに伴う内在性ビタミンD合成の減少が自己免疾患の病状に一定の役割を果たしている可能性を示唆する。加えて、ビタミンDの摂取量が多いか、または血清レベルが高いと、IDDM (92)、MS (93-96)とRA (97)の発生率、進行または症状の低減化と関連することを、いくつかの症例対照研究と前向きコホート研究の結果が示している。詳細は、ビタミンDに関する別の記事を参照のこと。ビタミンDの補充が自己免疫疾患のリスクを減らすかどうかは、まだわかっていない。面白いことに、最近の系統的レビューと観察研究のメタ解析によれば、幼年期のビタミンDサプリメントがIDDMになるリスクを29%低くすることがわかっている(98)。様々な自己免疫病的状態でのビタミンDの役割を明らかにするためには、更なる研究が必要である。

ビタミンC

免疫細胞は、病原体を殺すために活性酸素種(ROS)を生成する。ROSから細胞を保護するのに、ビタミンCは非常に効果的な抗酸化物質である。主にこの役割によって、このビタミンは自然免疫と適応免疫のいくつかの構成要素に影響を及ぼしている。ビタミンCは白血球、特に好中球およびリンパ球、貪食細胞の生産(99-103)と機能(104, 105)を刺激することが明らかにされている。ビタミンCによって刺激される機能には、細胞の運動性(104)、走化性(104, 105)と貪食作用(105)が含まれている。体外から侵入した細菌とウイルスを攻撃する好中球がビタミンCによって刺激される主要な細胞種であるようだが、リンパ球や他の食細胞もビタミンCの影響を受けている(106)。さらに、モルモットではビタミンCの補足により、血清中の抗体(107, 108)と補体タンパク質Cq1(109-111)のレベルが上昇する。ヒトと同様にモルモットはビタミンCを合成することができない動物であり、それゆえに食物からのビタミンCに依存している。しかし、いくつかの調査では、ビタミンCの投与(112-115)によって白血球の生産や機能に有益な変化はなかった。ビタミンCは免疫細胞が健全であることを助けるのかもしれない。好中球や単核貪食細胞、リンパ球は高濃度のビタミンCを蓄えている。こういった細胞種は高濃度のビタミンCによって酸化傷害から保護されている(103, 116, 117)。微生物の侵入に反応して、食作用性の白血球は、スーパーオキシドラジカル、次亜塩素酸(いわゆるブリーチ)、およびペルオキシ亜硝酸のような非特異的な毒素を放出し、これらのROSが病原体を殺すが、その過程で貪食細胞自身にも損傷を与えてしまう(118)。ビタミンCはその抗酸化機能によって白血球をそのような自己酸化の害から守っていることが示されている(119)。食作用性の白血球はROSだけでなく、抗ウイルス作用をもったインターフェロンなどのサイトカインも生産し放出する(120)。ビタミンCが試験管内でインターフェロン濃度を上昇させることが示されている(121)。さらに、ビタミンCは酸化型ビタミンEを還元型(抗酸化型)ビタミンEに再生する作用も持っている(122)

ビタミンCが免疫系の機能を高めて、それによってウイルス感染やおそらくは他の病気からも我々を守っている、そのような考えが広く一般に受け入れられている。その一方で、ビタミンCが免疫増強剤であることの生物学的妥当性がいくつかの研究によって示唆されているが、これまでに発表されたヒト試験では意見が一致していない。ビタミンCの補給が免疫系を高めるかどうかを確定するには、適切な統計的解析の下で対照臨床試験を行うことが必要であろう。

ビタミンE

ビタミンEは、フリーラジカルに起因する損傷から細胞膜の健全性を保護する脂溶性の抗酸化物質である(123)。特に、α-トコフェロール型のビタミンEは多価不飽和脂肪酸の過酸化を防止する。この過酸化は細胞傷害を引き起こす可能性があり、それに続いて誤った免疫応答が起こりえる(124)。B細胞とT細胞の機能を含む、体液性及び細胞性両面の適応免疫が、ビタミンEの欠乏によって損われることを、動物モデルだけでなくヒトを対象にしたいくつかの研究が示している(124に総説を掲載する)。さらに、現在推奨されている摂取量を上回ってビタミンEを摂ることが免疫を強化し、ある種の感染症への感受性を低下させることが、特に高齢者において示されている。

エイジングは免疫の老化と関連している(125)。たとえば、T細胞機能は年齢とともに衰える。その衰えの現れは、T細胞増殖の低下とT細胞によるサイトカイン(インターロイキン-2)の生産減少である(126)。マウスでの研究は、これら2つの加齢による免疫への影響をビタミンEが改善することを明らかにしてきた(127, 128)。同様の影響はいくつかのヒトを対象とした試験でも観察されてきた(129)。高齢の被験者にα-トコフェロールを投与すると免疫が改善することを2,3の臨床試験が実証している。例えば、数か月の間200mg/日の合成α-トコフェロール(100mgのRRRα-トコフェロール、あるいは150IU のRRRトコフェロールに相当する。RRRα-トコフェロールは「自然な」あるいはd-α-トコフェロールと言われている)を与えられた高齢者は、B型肝炎ワクチンおよび破傷風ワクチンに対する抗体の生産が増加した(130)。しかしながら、この高齢者での免疫応答の増強が、実際にインフルエンザのような感染症(インフルエンザウイルス)に対する抵抗力の増強と解釈していいかどうかは分かっていない(131)。老人ホーム入居者を対象とした無作為化プラセボ対照試験によれば、1年間200IU/日の合成α-トコフェロール(90mgのRRRα-トコフェロールと等価)を投与することで、上気道感染症(特に風邪)にかかるリスクは有意に低下したが、下気道(肺)感染症には効果がなかった(132)。それにも関わらず、高齢者の呼吸器感染症に対してビタミンEの摂取が総じて有益な効果を持つことを示した他の報告はない(133-136)。ビタミンEの摂取が風邪あるいは他の伝染病から高齢者を守るかどうかを判断するためには、さらなる研究が必要である。

ビタミンB6

サイトカインや抗体のようなタンパク質の構成単位であるアミノ酸を体内で代謝したり合成するには、ビタミンB6は必須である。動物とヒトでの研究では、ビタミンB6の欠乏が適応免疫の体液性、細胞性の両者を害することが実証された。具体的には、この微量栄養素の欠乏がサイトカインおよび抗体産生だけでなく、リンパ球の増殖および分化と成熟にも影響することが明らかになった(137-139)。このビタミンの欠乏症が改善されれば、影響を受けた免疫機能は回復する(139)

葉酸

ビタミンBの一種である葉酸は、1炭素単位の転移を触媒する時の補酵素として必要である。補酵素である葉酸は、核酸(DNAとRNA)およびアミノ酸の体内での合成および代謝に必須な様々な反応で1炭素単位を受け取ったり受け渡したりして働く(140,141)。したがって、葉酸が免疫に重要であることは明白である。葉酸欠乏症はおもに細胞性免疫に影響し、不適当な免疫応答を招く。しかしながら、抗体による体液性免疫の応答も葉酸欠乏症で損なわれるかもしれない(142)

ビタミンB12

ヒトでは、ビタミンB12は2つの酵素反応で補酵素として機能する。ビタミンB12に依存する酵素のひとつはアミノ酸の合成、ホモシステインからメチオニンの合成に関与している。メチオニンはS-アデノシルメチオニンの合成に必要とされる。S-アデノシルメチオニンは、DNA、RNA内部の多数の部位のメチル化を含む多くの生物学的メチル化反応でメチル基供与体として働いている。もうひとつのビタミンB12に依存的する酵素であるL-メチルマロニルCoAムターゼは、L-メチルマロニルCoAをサクシニルCoAに転換する。サクシニルCoAは、ヘモグロビン(酸素を運搬する赤血球内の色素)の合成にも、脂肪とタンパク質からエネルギーを生産するときにも重要な化合物である(143)。ビタミンB12欠乏症と診断された患者では、ナチュラルキラー細胞の活動が抑制され、循環するリンパ球数が減少していることが報告されている(144,145)。これらの免疫調節への影響は、ビタミン欠乏症を治療することによって改善されるという報告もある(144)

亜鉛

自然免疫でも適応免疫でも、免疫を調節する細胞の正常な発生と機能のために亜鉛は必須である(146)。亜鉛の細胞での機能は、3つのカテゴリーに分けることができる: 1) 触媒、2)構造的、そして、3)調節である(亜鉛に関する別の記事を参照のこと) (147)。亜鉛は体内に保存されないので、それを食事から規則的に摂取することが免疫系の健全性を維持するのに重要である。よって摂取不足は、亜鉛欠乏症と免疫応答の低下につながる可能性がある(148)。自然免疫に関しては、亜鉛欠乏は補体系、ナチュラルキラー細胞の細胞傷害性、好中球とマクロファージの貪食活性、そして、免疫細胞の侵入病原体を殺すオキシダントの生産能力をそれぞれ弱める(149-151)。亜鉛欠乏は適応免疫の機能面でも、リンパ球数の数を減らし、その機能を低下させる(152)。亜鉛がわずかに欠乏した場合(重度の亜鉛欠乏よりもより一般的である)にも、免疫を抑制する可能性がある(148)。亜鉛が不足していると、さまざまな病原体に対する感受性が増大することが知られている(亜鉛に関する別の記事を参照)。

セレン

セレンタンパク質として知られる、いくつかのセレン依存性酵素が機能を発揮するためにはセレンが必要であるため、適切な免疫応答を行うのにセレンの十分な摂取は不可欠である(セレンに関する別の記事を参照)。たとえば、グルタチオンペルオキシダーゼ(GPx)はセレン含有タンパク質であり、重要な酸化還元反応の調節因子として、また細胞の抗酸化物質として機能する。抗酸化物質は、自らの還元とグルタチオンの酸化を共役させることによって、潜在的に有害な過酸化水素や脂質ヒドロペルオキシドのような活性酸素種を水やアルコールのような無害な生成物に還元する(セレンに関する記事中の図を参照) (153)。このような役割は、免疫機能やがんの予防との関連を想像させる。

セレンの欠乏は自然免疫だけでなく、適応免疫をも損ない(154,155)、液性免疫(すなわち、抗体生産)と細胞性免疫に悪影響を与える(156)。セレン欠乏は、いくつかのウイルス感染の病毒性や進行を増大するように見える。さらに、セレン欠乏症であるとは断定できない人達がセレンを摂取すると、免疫応答が促進されるように見える。2つの小規模な研究で、200マイクログラム(μg)/日のセレンを亜セレン酸ナトリウムとして、健康な人達(157,158)と免疫不全の人達(159)に8週間投与したところ、プラセボ(偽薬)を投与されてた人達と比較して、外来の抗原に対する免疫細胞の応答が強化された。かなりの数の基礎研究が示すところでは、セレンは免疫応答を組織化するサイトカインの発現を調節する役割を担っている(160)

鉄は何百ものタンパク質と酵素の必須な構成要素となっていて、酸素の輸送と貯蔵、電子伝達とエネルギー生成、抗酸化作用と有益な酸化促進機能、DNA合成に関与している(161-163)。鉄は病原体の侵入に対して効果的な免疫応答を開始するために必要であり、鉄の欠乏は免疫応答に悪影響を与える(164)。Tリンパ球の分化・増殖と病原体を殺す活性酸素種(ROS)の生成といったいくつかの免疫機能に、十分量の鉄はきわめて重大である。しかしながら、大部分の病原体にとっても鉄はそれらの複製や生存に不可欠である。急性の炎症が起こると、血清中のフェリチン(鉄の貯蔵タンパク質)のレベルが増加する一方で、鉄の濃度は低下する。これは、病原体に鉄を与えないことが感染に対処する宿主の重要な応答であることを示唆している(162,165)。さらに、鉄の過剰状態(例えば、遺伝性ホモクロマトーシス)は免疫機能に悪影響を与える。例えば、貪食機能、サイトカインの産生、補体系の活性化、Tリンパ球とBリンパ球の機能への障害である(164)

さらに、全米調査である第1回の米国全国健康・栄養調査(NHANES)のデータによれば、鉄濃度の上昇は、特に男性でのガンと死亡のリスク要因となりうることを示している(167)。男女のデータを足し合わせたものでも、30%未満のトランスフェリン飽和と40%以上の飽和を比較して、トランスフェリン飽和が上昇するとガンと死亡率のリスクが増加するという有意な傾向があった(167)

免疫系での鉄の極めて重要な機能にもかかわらず、鉄欠乏症と感染に対する感受性の関係、特にマラリアに関しては、結論が出ていない。熱帯地方の子供に高用量の鉄を投与することは、臨床的マラリア以外にも肺炎のような感染症のリスクの増大と関連している。

マラリア原虫や結核菌は、その生活環の一部を宿主細胞の中で送る。鉄を投与する治療が、このような病原体が宿主体内で生き残ることを助けている可能性が、細胞培養と動物での研究で示唆されている。マラリアが常在している地域における、鉄補充の適切な用法を決定するための対照臨床研究が必要である。HIVや結核、腸チフスのような感染症の場合も同様である(168)

銅酵素(銅に関する別の記事を参照)と呼ばれる多くの必須な酵素にとって、銅は必須な機能性構成要素である。このミネラル(銅)は免疫系機能の進行と維持において重要な役割を演じているが、どのようなメカニズムによるのかは正確にはわかっていない。銅の欠乏は、好中球の数が異常に低下する好中球減少症(169)を招き、感染への感受性を増大するかもしれない。銅の欠乏による免疫への悪影響は、おもに幼児で現れる。ひどい銅欠乏を伴う遺伝疾患であるメンケス病の幼児は、頻繁で重度の感染症を患う(170,171)。銅の欠乏が明らかな11人の栄養失調の幼児に1ヵ月間、銅を投与したところ、病原体を貪食する白血球の能力が有意に増加した(172)

食物からの銅摂取量が低い成人でも、免疫への影響が観察されている。ある研究では、銅の食餌摂取量が低い(始めの24日間は銅0.66mg/日、続く40日間には0.38mg/日) 11人の男性から単核球と呼ばれる白血球を分離し、その増殖を細胞培養系で免疫的に刺激したところ、増殖応答は弱かった(173)。重度の銅欠乏には免疫機能に対して有害な効果があることが知られているが、軽度の銅の欠乏がヒトにどのような影響を与えるかはまだ明らかではない(174)。しかし、長期にわたる高い銅の摂取は、免疫機能に悪影響を与えることがありえる(175)

プロバイオティクス

プロバイオティクスの通常の定義は、十分な量が投与された時に宿主の総体的な健康に役立つ、生きている微生物である(176)。一般的な例は、乳酸(桿)菌とビフィドバクテリアに属する細菌で、これらの生菌はヨーグルトやその他の発酵食品として摂取される。摂取されても、消化されずに生き残ったプロバイオティクスは、下部消化管に一時的に棲息することができる(177)。これらの細菌は腸内で、腸の上皮細胞の表面や腸に分布する樹枝細胞、M-細胞を含む免疫細胞の表面にある様々な受容体と相互作用することによって免疫機能を調節するのであろう(178)。プロバイオティクスが腸のミクロフローラを永久に変えるという観察はないので、免疫を調節するには定期的な摂取を必要とする(179)。プロバイオティクスは宿主の自然免疫と適応免疫の両者の応答を改善することが示されている(180)。たとえば、プロバイオティクスによって腸管上皮のバリアを強化することができる。バリアは重要な自然免疫による防衛であり、アポトーシスを妨げて腸管上皮細胞の生存を高めるなど様々なやり方によって行われる(181)。プロバイオティクスは、適応免疫の応答に極めて重要な抗体の生産とTリンパ球の生成を刺激することもできる(180)。プロバイオティクスのいくつかの免疫効果は、サイトカインやその他のタンパク質の発現に影響を与える細胞シグナル伝達カスケードの変化を介してもたらされる(181)。しかし免疫系に対するプロバイオティクスの多様な効果は、特定の菌であることだけに依存するのではなく、摂取量、摂取経路、摂取頻度などにも依存している(182)。プロバイオティクスは炎症性腸疾患、下痢性疾患、アレルギー疾患、胃腸感染症やその他の感染症、そして、ある種のガンの予防において、有用であるかもしれない。しかしながら、プロバイオティクスの健康への効果を明らかにするには、さらなる臨床研究が必要である(180)

過剰栄養と肥満

過剰栄養は栄養失調のひとつの型で、栄養が身体の必要量を越えて供給される状態である。過剰栄養ではエネルギー摂取とエネルギー支出の間のバランス崩れ、エネルギー貯蔵が過度となり肥満へと導かれる(15)。肥満は世界中、特に先進工業国で主要な国民的健康問題である。太りすぎの人は多数の慢性疾患に罹患するリスクが高く、それらには高血圧、心臓血管疾患、2型糖尿病、肝臓と胆嚢の疾患、骨関節症、睡眠時無呼吸といくつかの種類のガンが含まれる(183)。肥満は死亡率を高めるリスクにも関連している(184)

過剰栄養と肥満は、免疫の能力を変えることが示されている。肥満は、脂肪組織へのマクロファージの浸潤を伴う。脂肪組織でのマクロファージの蓄積は、肥満の程度に直接的に比例している(185)。遺伝的に肥満であるマウス、もしくは高脂肪食によって誘導された肥満マウスでのモデル研究では、炎症の発現と白色脂肪組織におけるマクロファージに特異的な遺伝子の発現が際立って上昇することが明らかにされた(186)。実際、肥満は慢性的な軽度の炎症によって特徴づけられる。そして、炎症はインスリン抵抗性(肥満と強く関連する病態)の重要な病因であると考えられている。脂肪組織は脂肪酸やその他の分子を分泌するが、それには炎症の引き金となる様々なホルモン類とサイトカイン(アディポサイトカインまたはアディポカインと呼ばれる)が含まれる(185)

レプチンはそのようなホルモンやアディポカインの一種で、食物摂取、体重、そしてエネルギー恒常性の調節で重要な役割を演じている(187, 188)。レプチンは脂肪組織から分泌されて、脂肪の貯蔵量に比例して循環する。通常、高レベルのレプチン循環は食欲を抑制して、食物摂取の減少につながる(189)。これ以外にも、レプチンは炎症反応の調節や適応免疫系での体液性、および細胞性免疫の調節などの様々な機能を持っている(187, 190)。動物実験と試験管内の研究で明らかになったレプチン固有の効果には以下のものがある;免疫細胞の貪食機能の昂進、炎症性サイトカイン産生の刺激、そして好中球やナチュラルキラー(NK)細胞、樹枝細胞の機能調節 (190の総説を参照)。レプチンは細胞性免疫にも影響を及ぼし、ヘルパーT (Th) 1細胞の免疫応答を促進する。従って、レプチンは自己免疫病の発症に関連しているかもしれない(191)。Th1細胞は、おもにマクロファージの活性化と炎症反応の昂進に関連している(12)。太りすぎの人では、やせた人と比較して血漿レプチン濃度が高いことが報告されている。しかし肥満の人では、レプチン濃度が高くても食物摂取の低下にもエネルギー消費の上昇にも結びついていない。これは、肥満がレプチン抵抗性の状態を伴うことを示唆する。レプチン抵抗性はマウスの肥満モデルで研究されているが、ヒトの肥満でのレプチン抵抗性を理解するには、より多くの研究が必要である(189)

肥満の人達は、様々な感染症により高い感受性を示すかもしれない。いくつかの疫学調査によれば、正常な体重の患者と比較して肥満の患者では、術後感染でも他の院内感染でも高い発病率が認められる(192, 193の論文、194の総説を参照)。肥満は創傷治癒の遅延と皮膚感染の増加に関連がある(195-197)。ボディーマスインデックス(BMI)が高いと、呼吸器や胃腸、肝臓、胆道での感染症への感受性も高まる可能性がある(194の総説を参照)。

肥満の人が特定の感染症に対して脆弱であったり、症状が厳しかったり、合併症を引き起こし易いといったことが、微量栄養素の不足などいくつもの要因と関連している場合がある。たとえば、幼年期と青年期の肥満についての研究では、亜鉛と鉄の欠乏が細胞性免疫に悪影響を与えることを示した(198)。ビタミンB群、ビタミンA、C、D、Eなどを含む微量栄養素の欠乏や摂取不足は、肥満とも関係している(41)。全体として、免疫応答は肥満によって低下するように見えるが、感染症に関連した病気の発症やそれによる死亡と肥満との関係をはっきりさせるためには、より多くの研究が必要である。

マクロファージは白血球の一種であり、食菌作用と炎症性サイトカインの合成と放出を始めることによって侵入してきた病原体に反応することを専門としている。細菌のような微生物は病原体関連分子パターン(PAMPs)を持ち、これがマクロファージ表面のパターン認識レセプターによって認識される。図の左側は貪食のプロセスを示している。貪食は以下の4つの段階から成り立っている。食胞と呼ばれる細胞内小胞中へ細菌を抱き込み、食物胞とリソソームの融合によってファゴリソソームを形成し、酵素によりバクテリアを消化し、エキソサイトーシスにより分解物を細胞から放出する。図の右側は、マクロファージ表面のレセプターへの細菌の結合を示している。この細菌の結合も細胞の核での炎症性サイトカインの転写を誘導する。それに続いてサイトカインは細胞質中で生産され、これらの炎症誘発性タンパク質は細胞から分泌され、近傍の細胞の行動に影響を及ぼす。


Authors and Reviewers

Written in August 2010 by:
Victoria J. Drake, Ph.D.
Linus Pauling Institute
Oregon State University

Reviewed in August 2010 by:
Adrian F. Gombart, Ph.D.
Associate Professor
Department of Biochemistry and Biophysics
Principal Investigator, Linus Pauling Institute
Oregon State University

Reviewed in August 2010 by:
Malcolm B. Lowry, Ph.D.
Assistant Professor
Department of Microbiology
Oregon State University

This article was underwritten, in part, by a grant from Bayer Consumer Care AG, Basel, Switzerland.

Copyright 2010-2024   Linus Pauling Institute


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炎症

English

炎症についての概要

炎症は損傷あるいは感染に対して体内の組織が起こす免疫応答であり、自然免疫における一つの重要な要素である。炎症の過程は生理的な反応を変化させる分子および細胞のシグナルのカスケード(連鎖)によるもので、結果としてよく見られる臨床的な症状である痛み、浮腫、発熱および発赤へと移行する(1,2)。損傷した箇所では細胞はシグナル分子を放出し、それは患部に様々な変化、すなわち血管拡張、血流の増加、血管拡張、抗体のようなタンパク質を含んだ液体の滲出、および顆粒球、単球、リンパ球を含むいくつかの異なるタイプの白血球の遊走を起こさせる(3)。好中球は損傷した部位に最初に見られる白血球である。これらの細胞は侵入してきた微生物の貪食と、スーパーオキシドラジカル、次亜塩素酸塩、ヒドロキシルラジカルのような非選択的な毒での殺菌を行う、これら活性酸素種 (ROS) は病原体と同様に近傍の細胞が病的であっても健全に見える状態であっても殺すものである。好中球はまたディフェンシン、カテリシジンおよび鉄結合タンパク質のような抗菌性ペプチドをファゴソームに放出することによってさらなる殺菌能を呈する(4)。好中球はまた、インターロイキン(IL)-1、IL-6 腫瘍壊死因子(TNF)-アルファ、ガンマインターフェロン(INF-gamma) その他のサイトカインを放出する。このような炎症誘発性のサイトカインは肝臓のさまざまな急性期タンパク質合成誘発と同時に全身炎症反応を誘発させる(たとえば 発熱、ロイコサイトシス―白血球数の増加)(5)

急性の炎症は損傷あるいは感染に伴う体の防御と回復の自然な過程である。しかしながら、その様な原因により起った炎症が長期にわたる強固なものならば、その炎症は慢性化する。慢性的な炎症はウイルスあるいは微生物感染や環境にある抗原(例えば、花粉)、自己免疫反応、あるいは持続的な炎症性分子の活性化による。慢性の炎症の初期は単球および長寿命のマクロファージを介して起こる(3) 、この、マクロファージは、単球がマクロファージに成熟し、一旦血流から出て組織中に入る。マクロファージは微生物や老化した細胞を飲み込み消化する(6)。それらは、IL-1、TNF-アルファおよびブロスタグランジンを含む、いくつかの異なる化学伝達物質を放出し、炎症誘発性作用を永続化する。次の段階ではリンパ球を含む他の細胞が罹患組織に侵入する、T リンパ球はウイルスに感染した細胞を殺すそしてB リンパ球は侵入した微生物を破壊するために標的に対して特異的な抗体を作る(3)

マクロファージや他の白血球が放出するROSおよびプロテアーゼは炎症の原因を破壊する、ところが、自身の組織も結果として傷害してしまい、ときとして慢性的な炎症を生じる。慢性的な炎症では、損傷した組織は同じ型の細胞あるいは線維性結合組織と入れ替わることで修復される。もうひとつの慢性な炎症の重要な特徴は局所的なアンジオジェネシス(新しい血管が形成されること, 血管新生)である(7)。場合によっては、体が組織の損傷から回復できず、そして炎症のカスケードが継続する。慢性の炎症は異常でかつ体にとって有益でない、実際持続的な炎症はいくつかの疾病の状況に関与している。

喘息、クローン病、関節リューマチ、リューマチ性多発性筋痛症、腱炎、滑液胞炎、喉頭炎、歯肉炎、胃炎、耳炎、セリアック病、憩室炎および炎症性大腸炎が含まれるいくつかのヒトの疾病は事実上炎症性のものである。さらに、いくつかの慢性疾病、すなわちアテローム性動脈硬化症、肥満、糖尿病、ガンおよびアルツハイマー病も恐らくは炎症性の構成要素を含んでいる。その根本的な生化学的機構については、これらの疾病のいくつかのものはわかっていない、そして疾病の発症にかかわる炎症の役割は目下研究中である。

栄養の役割

ヒトにとって食餌は体内での炎症反応に影響をおよぼす、そこで様々な食餌の成分が炎症に果たす役割を次に述べる。医学における炎症のバイオマーカー(生物指標化合物)は食餌の成分が炎症におよぼす影響の研究に用いられる。C-反応性タンパク質(CRP)は、急性期タンパク質の一つであり、 心臓病に関わる炎症および一般的な炎症の主要な医学的なバイオマーカーの一つである。他の一般的な炎症の指標は赤血球沈降速度(ESR)、白血球数の上昇と低アルブミンがある。

しかしながらこれらの試験は非特異的で、異常な結果は炎症と関係ないこともある。さまざまなサイトカインおよび接着分子は医療で用いることは一般的ではない、なぜならそれらは炎症の原因として同定されておらず、それらはむしろ科学的な研究によく用いられる(3, 8, 9) 。炎症のバイオマーカーのいくつかを下表に示す(10)

表1 炎症のバイオマーカー
急性期タンパク質 (CRP, SAA, vWF 抗原, フィブリノーゲン)
白血球数, ESR, アルブミン
サイトカイン類 (IL-1 beta, IL-6, IL-18, TNF-alpha)
接着分子 (E-セレクチン, P-セレクチン, ICAM-1, VCAM-1)
略語: CRP, C-反応性タンパク質; ESR, 赤血球沈降速度; ICAM-1, 細胞間接着分子-1; IL, interleukin; SAA, 血清アミロイドA タンパク質; VCAM-1, 血管細胞接着分子-1; vWF, ヴォン・ヴィレブランド因子

付け加えれば特定の食餌による要因と、健康的な体重を達成し維持することは慢性の炎症性疾病を予防することに非常に大切である。例としてはCRP の上昇は肥満と関連していて、体重が減少するとCRP の値が減少する(11)。肥満と腹部の肥満(内臓肥満ともいわれている)は炎症に関わる疾病、すなわち心臓血管疾患、2型糖尿病、およびメタボリックシンドロームのリスク要因である(12, 13)。これらの疾病の原因は完全にはわかっていない、そして、これらの発症に対する炎症の役割は目下のところ研究中である。例えば、脂肪組織は炎症因子(アディプロカイン あるいはアディポカインとして知られている)を分泌し、そして肥満はマクロファージの脂肪組織への侵入に関連する(14, 15)、しかしながら、実際のところ肥満の病原性に炎症がどのように関わっているかは現在は不明である。

食餌性の脂肪とコレステロール

疫学研究により、一般的に飽和脂肪とトランス脂肪含有量が高い食餌は炎症誘性の性質があることを見出してきた(総説、16) 。対して、いくつかの研究は、高濃度のモノ不飽和脂肪酸を含む地中海スタイルの食餌を摂り続けることは炎症の減少に効果的であろうことを見出した(17, 18)。 地中海スタイルの食餌はオリーブオイル、野菜と果物、ナッツ、豆、魚、全粒粉、および中程度のアルコールの摂取に重きを置いている。これらの食品群のいくつかは必須脂肪酸の源であり、それは炎症の過程に関与している。オメガ−3 系の脂肪酸(すなわち、アルファ-リノレン酸 (ALA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、およびドコサヘキサエン酸(DHA))の高濃度の摂取は概して炎症のバイオマーカーの減少に関与する(19)。ALA を豊富に含む食物の材料は、亜麻類の種とそれらの油、クルミ類とそれらの油、菜種油。EPA とDHA は魚類と魚油(必須脂肪酸の原料の章参照)。西洋式の食餌のオメガ-6 系とオメガ-3 系の脂肪酸の比率は15~20:1、しかしヒトはオメガ-6 系とオメガ-3 系の脂肪酸の比率が1:1 の食餌とともに進化してきたと推定されている(20)。この比率を低下させることは多分西洋の社会での様々な炎症状態の有病率と重大さを低減させるようである(さらなる食餌性の脂肪に関する情報は、微量栄養センターの文書、必須脂肪酸、およびリサーチ−ニュースレターの、What’s Good About Dietary Fat? を参照) (21)

低コレステロール食もまたおそらく体内での炎症を減少させる。ある研究によれば、高コレステロール食(一日に卵4個を4週間)は細身(BMI<27.5 kg/m2) でかつインスリン感受性の被験者のCRP および血中アミロイドA、2つの炎症マーカーを増加させた、しかし細身でなくかつインスリン抵抗性あるいは肥満の被験者(BMI>7.5 kg/m2)ではこれが見られず、これら2グループはベースライン時のCRP とSAA の値が高かった。初期の高コレステロール血症患者に対する8週間の介入研究では、低コレステロール(< 200 mg/day)と低飽和脂肪酸(食餌の脂肪の5%)はともに、CRP 値の減少を根拠とした、炎症の低減に関連付けられた(23)

食餌性炭水化物

高血糖症は様々な機構を通じて炎症を引き起こすことができる、それは結果として生成されるフリーラジカルと炎症誘発性のサイトカインによる(19, 24)。それゆえ、高グリセミックインデックスと血糖負荷の食餌は炎症を誘起するであろう。グリセミックインデックスは様々な食品での炭水化物の血中のブドウ糖を上昇させる能力でのことを示す。さらに正確な食餌性の炭水化物の指標は相対的な血糖応答である、しかし、これはグリセミック負荷指数である。

グリセミック負荷指数はグリセミックインデックスで明確にされた相対的な糖質の質によって成立している。

高グリセミックインデックスの食餌を摂取すると低グリセミックインデックスの食品を摂取したのにくらべ、血中グルコース濃度はさらに高くそして迅速に上昇する。迅速に血中のグルコース濃度が上昇することは膵臓のインスリンを分泌おこす効果を示し、それは急激なグルコース濃度の低下をひき起こし低血糖を起こす(25)。対して、低グリセミック・インデックスの食品の摂取では血中ブドウ糖は低く、持続的に増加をさせ、そして膵臓のベータ細胞でのインスリンの要求量は少なかった。

39人の過体重あるいは肥満の成人での研究は、低グリセミック・インデックス、エネルギー制限の食事を厳守することは結果として一般的な心疾患のバイオマーカーであるCRP 値だけでなく炎症全般のマーカーを48%減少させることを見出した。その研究に参加した、低脂肪、エネルギー制限の食餌をとった個人には体重の減少と身体組成の変化は同様だったにもかかわらず5% のCRP 値の減少しかおこらなかった、(27)。もう一つの小規模な研究は次のことを示した。急性の高血糖の結果は様々な炎症誘導性サイトカイン量の上昇であり、このことは耐糖能が不完全な人と健康な対照と比較すると顕著であった(24)心臓血管疾患および糖尿病のような慢性疾患の予防に係る食餌性炭水化物の役割についてのさらなる情報はGlycemic Index and Glycemic Load の章に記されている。

さらに、食物繊維の多量の摂取は炎症の要因、心臓血管疾患や2型の糖尿病を含む、から保護する作用があるだろう(Fiber の章参照)(28)

食餌性タンパク質とアミノ酸

いくつかの研究は大豆タンパク質が炎症成分による疾病を予防する見込みがあると評価している(Soy Isoflavones の記述を参照)。いくつかの臨床試験はCPR とその他の炎症のバイオマーカーにおよぼす大豆タンパク質あるいは大豆食の摂取の効果を明確に評価し、そのような研究のいくつかでは全く効果が無かったことを報告している(29-32)

 合衆国の全体の調査である第三回全国健康・栄養調査(NHANES)により収集された分析データは、アミノ酸のアルギニン高度の摂取は低CRP 値に関与する事を示した(33)。一般的なアルギニン源となるアメリカの食餌では牛肉、食鳥肉、魚、乳製品、卵および穀物が含まれる(34)。ナッツとくに通常のナッツもまた良いアルギニン源である(35, 36)。ナッツの摂取による心臓の保護効果も示されている(Nats の章を参照)。

微量栄養素

いくつかの微量栄養素は炎症性要素を持つ疾病、すなわち、心臓血管疾患、2型糖尿病、炎症性大腸炎、慢性閉塞性肺疾患、および 関節リューマチ(Disease Index 参照)に関連する。いくつかの観察研究は個々の微量栄養の食餌からの摂取あるいは血中レベルは特定の炎症のバイオマーカー、特にCRP と負の相関があることを報告している。

マグネシウム

マグネシウムの栄養要求量(RDA)より低い量を摂取していたアメリカの成人は1.48から1.75 倍のCRP 値が上昇しやすい傾向があったことが、合衆国全体の調査である全国健康・栄養調査(NHANES)1990−2000により見出された(37)。この調査では68%の被験者はマグネシウムの摂取が推奨量より低かったことが見出された(37)

ビタミンB6

特定のビタミンの状態もまたおそらく炎症の過程に影響するであろう。フラミンガム心臓研究に参加した891 人の高齢の成人でのコホート研究のデータの分析は低ビタミンB6 状態は高CRP 値と関連付けられていることを示したが、 この関係と血漿中ホモシステインは非依存的であった。この研究では、ビタミンB6 量は血漿中のピリドキサル-5’-リン酸(PLP)量として調べられた。PLP 値はそのビタミンの活性型であり、体内に長期にわたり保持される優れた指標であると考えられている(39)。さらに最近、年配のプエリトリコ人でのコホート研究で血漿中のPLP 値はCRP 値と負の相関があった(40)。血中ビタミンB6 が低いことは心臓血管疾患のリスク要因である(Vitamin B6 の章を参照)、そして恐らく関節リューマチにも関与している(41-43)。しかしながら、二重盲検法による、プラシーボ-対照試験によれば30 mg/日のピリドキシンの30日間の投与を受けた関節リューマチの33人の患者はビタミンB6 欠乏は改善した、しかし特定の炎症誘発性サイトカイン、赤血球沈降速度、CRPを含む炎症の特異的マーカーの値は改善しなかったことが報告された(44)。そのうえ、NHANES 2003-2004 は最新のビタミンB6 の RDAは少なくとも特定のサブグループ、喫煙者、黒人、年配者、に対しては妥当ではないであろうことを示した(39)

ビタミンC

抗酸化ビタミンであるビタミンC の食餌から適切な摂取もまた重要である、なぜならフリーラジカルは炎症誘発性の効果を有しているからである(45)。抗酸化効果と比較すると、抗炎症作用を有していか否かの知見は非常に少ない(46)。 3,258 名の男性(60−79 歳)参加の横断研究 British Regional Heart Study ではビタミンCの食餌による摂取と血中レベルはともにCRP 値と逆相関の関係にあったことを発見した (47)。NHANES III の14,519 人の合衆国の成人でのデータもまた高いビタミンC レベルは低いCRP の値と関連していた(48)。無作為化比較試験では健康な非喫煙者にビタミンC サプリメンテーションを2ヶ月行った結果CRP 値は高CRP 値(=1.0 mg/L; この値は心臓血管疾患の高いリスクに関与している)ではその中央値が16.7 % 低下した、これと比較してプラシーボ群が8.6% 上昇したことが見出された(49)。この試行ではCRP 値のベースラインが1.0 mg/L の閾値を超えていなければビタミンC を補うことは効果が無かったことが見出された(49)。ビタミンC と心臓血管疾患および痛風の関連につて食餌による摂取、サプリメントによる摂取、あるいは血清中の濃度についての疫学的研究がなされた。それら多くの研究結果はビタミンC はおそらく冠動脈性心疾患および痛風―炎症誘発性の疾病に対して防御的に作用するであろうことを示した(参照、Vitamin C の中のDisease prevention に詳細)。さらに、血漿と白血球の低ビタミンC 濃度は敗血症―臓器不全を引き起こす可能性がある全身の炎症と位置づけられている臨床症状の患者に観察された。

ビタミンD

いくつかの人での研究でビタミンD 不足あるいは欠乏状態はクローン病やその他の炎症性大腸炎のような様々な炎症性の疾病に関連づけられている(55-60)。ビタミンD の状態は心臓血管疾患や特定のガンとも結び付きがあるであろう(参照、ビタミンD の章)。炎症に対するビタミンD の役割は実験動物での研究により支持されている。特に、ビタミンD レセプター あるいはビタミンD 活性化酵素、25-ヒドロキシビタミンD3-1-ヒドロキシラーゼ、を欠損しているマウスは炎症への、特に胃腸の炎症に対する感受性が高まっている(61−63)

ビタミンE

ビタミンE はアルファトコフェロールの抗酸化作用により炎症の過程に影響がある(51)。アルファトコフェロールはいくつもの異なる機構によって抗炎症効果を発揮する、例えば、CRP と炎症誘発性のサイトカインを低下させるそして重要な細胞内信号伝達分子であるプロテインキナーゼC活性の阻害、およびシクロオキシゲナーゼ2のようなその他の酵素を阻害する(51, 52)。心臓血管疾患の予防と治療におけるアルファトコフェロールの情報に関してはVitamin E の別の記事を参照のこと。いくつかの動物実験による研究結果はビタミンE もまたおそらく関節リューマチの治療に有用性を有するであろうことを示唆したが、ヒトでのさらなる研究が必要であった(51)。加えていくつかの培養細胞と動物実験はガンマトコフェロールは抗炎症作用があることを示した(53, 54)

マルチビタミン-ミネラルサプリメント

一般的な合衆国の住民から抽出された87人の健康な男性と更年期以降の女性での無作為抽出、二重盲検、プラシーボ-対照試験による分析により、6ヶ月にわたる彼らの毎日のマルチビタミン-ミネラルのサプリメンテーションは 14%のCRP 値の低下の関与が見出された; もっとも大規模な低下はCRP ベースラインの高い人に見出された(64)。マルチビタミン-ミネラルサプリメントの毎日の使用はおそらくいくつかの微量栄養の栄養状態の改善の助けとなる、それは おそらく米国人の利益になるであろう、 なぜなら合衆国による調査によれば、 90%以上の集団はビタミンE、44% がビタミンA、31% がビタミンC、14%がビタミンB6 のEAR (推定平均必要量)を満たしていない(65)

フィトケミカル

カロテノイド

様々な食餌性フィトケミカルは体内での炎症の過程に影響する可能性がある。カロテノイドは植物によって合成される黄色、オレンジおよび赤色の色素で、いくつもの異なった生物学的な活性有する(参照、カロテノイド の章)。ある研究では、カロテノイドであるベータカロテンは、炎症誘発性の遺伝子の発現を酸化還元感受性の転写因子であるNFκ-B の活性化を抑制することによる抗炎症活性を示した。とくに、様々な炎症誘発性遺伝子の発現がベータカロテン処理で低下することが、エンドトキシンを用いて炎症を誘導したマクロファージによるin vitro(体外)での試験で見られ、同様にマウスを用いたin vivo(体内)試験においても見られた。カロテノイドであるリコペンとアスタキサンチンもまた細胞培養とモデル動物で抗炎症作用を示している(62-72)。リコペンを含むトマト、赤グレープフルーツ、赤いスイカ、グアバさらにアスタキサンチンを含むサケ、エビ、その他のシーフードが日常的な栄養源である(73)

加えて、抗炎症作用の推定されたカロテノイドはヒトで試験されている。いくつかの疫学研究は、アルファカロテン、ベータカロテン、ベータクリプトキサンチン、リコペン、ルテインおよびゼアキサンチンを含む特定のカロテノイドの血清中のレベルは、心臓血管疾患および一般的な炎症のマーカーである循環系のCRP 値と逆の関連性があることを示唆した(74, 75)。健康な、非喫煙の男性での四週間の無作為化比較試験では、毎日カロテノイドが豊富な野菜と果物8種の提供はCRP レベル低下に関与した、しかしこの研究の著者らの観察では四週間の間の血中のビタミンC あるいはE の変化はなかった(76)

果実および野菜を摂ることは総じて、CRP 値および他の炎症のバイオマーカーと負の関連性がある(77-79)。2つの小規模な介入試験では、トマトジュースあるいはトマトベースのソフトドリンクを摂ることは炎症マーカーの減少に関連した(80, 81)。しかし他のリコペンの以外のビタミンC のようなトマトの成分は炎症の過程に部分的な効果がある場合がある。リコペンあるいは他のカロテノイドが炎症の減少と関連した疾病のリスク減少に役立つかを決定づける大規模な臨床的な試行が必要である。カロテノイドの心臓血管疾患予防についての詳細は、カロテノイドの章を参照。

フラボノイド

抗炎症作用を有するもう一つの部類の植物化学物質はフラボノイドであり、フラボノイドは、フラバノール、フラボノール、フラバノン、フラボン、イソフラボンおよびアントシアニジンのようないくつかのサブクラスで構成される大きな一群である。フラボノイドの一般的な栄養源についての情報は、フラボノイドの記述の中の表を参照。いくつかのin vitro (体外)の研究結果と少しの動物実験によるin vivo (体内)の研究、様々なフラボノイド、ケルセチン、ケンフェロールおよびゲニステインは抗炎症作用の性質を有している事を示した(51 と82に総説されている)、しかしながら、炎症の過程における近年のヒトでのフラボノイド摂取の効果の研究は限定的である。一般的に、フラボノイドのバイオアベイラビリティは、吸収がわずかであることと排出が迅速であるために比較的弱い。いったん吸収されたフラボノイドは迅速に代謝され様々な形の代謝産物になる。それゆえ、in vitro での研究は高濃度の(代謝産物よりむしろ)生理的に適切でないであろう親化合物を用いて行われている。加えて実験動物を用いて得られた結果は直接ヒトに当てはめることができない可能性がある。

全国健康・栄養調査(NHANES) 1999-2002 のデータ解析によれば、合衆国の成人での横断研究においてフラボノイド類の総摂取量は血清中のCRP 濃度と逆の相関が示された (83)。同様の逆の相関が、フラボノール、アントシアニジンおよびイソフラボンの摂取でみられ、それだけでなくフラボノイドである、ケルセチン、ケンフェロール、ゲニステイン、ジアゾゼイン、マルビジンおよびペオニジンを個別に選択して摂取してもみられた。これら全ての関係は果物と野菜の摂食に依存しないものだった(83)。しかしながら、ほぼ9年間にわたるWomen’s Hearth study に参加した38,018人に関する、プロスペクティブ(前向き)コホート研究では、フラボノイドの摂取と血中のCRP量および2型糖尿病との関連性は見出されなかった(84)。 この研究では、フラボノイドに富んだリンゴの摂食は顕著に2型の糖尿病のリスク低下に関連付けられた、しかしこのような効果は必ずしもフラボノイドによるものではない可能性もある(LPI research newsletter Why Apples are Healthy を参照)。茶もまた高濃度のフラボノイドを含む、そして日常的に茶を摂ることは炎症に関連した慢性疾患、たとえば心臓血管疾患やガンの予防に役立つであろう(Tea の章を参照)。

他の食餌性ファイトケミカル

6週間の、プラシーボ-対照試験において20人の健康な成人が 20% レスベラトロールをふくむPolygonum cuspidatum (コジョウコン)を摂食すると(40 mg/日のトランスレスベラトロールと同等)血中のTNF-アルファ、炎症誘導性サイトカインが低下し、またNFκB の核(訳注, 核酸?)への結合、炎症誘導性の転写因子が低下した(85)。他の植物化学物質、すなわちクルクミンおよびニンニク由来の物質は主に培養細胞や動物実験で抗炎症の性質を示している(他の章のクルクミンとニンニクを参照)。加えて多量の香辛料、ショウガの投与はラットで抗炎症作用を示す(86)。これらの植物化学物質の炎症のプロセスあるいはヒトの疾病におよぼす効果を決定づけるための大規模な無作為化比較試験が必要である。

他の食餌性物質

アルファリポ酸は自然に存在する物質で体内での合成量はわずかである。それもまた食餌のトマトや緑色野菜、アブラナ科野菜およびその他の食品から摂取される。体内でのアルファリポ酸はエネルギーを発生させるミトコンドリアの重要な酵素の補因子として機能をしている。しかしながら、ダイエタリーサプリメントとして提供されたとき、アルファリポ酸は恐らく抗酸化および抗炎症機能を含む多くの作用を示すだろう。培養細胞と動物実験による研究結果はこの物資は抗炎症の性質をもっていることを示した(総説87)、しかしヒトでのデータは極めて限定的である。ある小規模な4週間のアルファリポ酸(300 mg/日)を用いた小規模なメタボリックシンドロームの患者に対するプラシーボ-対照試験では炎症マーカーであるインターロイキン6の血中レベルが15%低下した(88)

生活習慣の要因

動物とヒトでの研究で身体的な運動が急性および慢性いずれにおいても炎症を低下させる、このことはCRP および特定の炎症誘発性サイトカインを測定することで見出されている。さらにいえば、日常の身体的な運動が肥満や炎症に関与した慢性疾患のリスク低減に重要である。しかしながら過激な運動は全身の炎症を増大させる可能性がある。例えば、アスリートのオーバートレーニング症は全身の炎症に関与し、免疫機能が抑制される(91)。いくつかの研究は節度あるアルコールの摂取は心臓血管疾患のリスクだけでなく、全ての原因による死亡率を低下させることを示している(アルコール飲料の章参照)。なお、喫煙を止めることはCRP や他のバイオマーカーの減少させることが報告されている(92, 93)


Authors and Reviewers

Written in August 2010 by:
Victoria J. Drake, Ph.D.
Linus Pauling Institute
Oregon State University

Reviewed in August 2010 by:
Adrian F. Gombart, Ph.D.
Associate Professor
Department of Biochemistry and Biophysics
Principal Investigator, Linus Pauling Institute
Oregon State University

This article was underwritten, in part, by a grant from Bayer Consumer Care AG, Basel, Switzerland.

Copyright 2010-2024  Linus Pauling Institute


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フラボノイドと肌の健康

English

要約

  • 消化管や肝臓での初回通過代謝により、食事からのフラボノイドは皮膚に達する前に大々的に改変される。(詳細はこちら)
  • フラボノイドの局所適用は、元の化合物を薬理学的な濃度で皮膚に送達させる良い方法である。しかしながら、局所製剤の化学組成は、その安定性と生物学的利用性に大いに影響する。(詳細はこちら)
  • 緑茶のポリフェノールは、食事および局所製剤から摂取されると、光保護的効果を働かせる。(詳細はこちら)
  • 動物実験およびガラス容器内での実験で局所的に使用されたゲニステインには、光保護的効果があることが推測される。(詳細はこちら)
  • いくつかのフラボノイドは紫外線B波(UVB)を吸収することから、日焼け止めとして機能して肌を護る可能性がある。(詳細はこちら)
  • 様々なフラボノイドは炎症反応に関連する酵素を抑制し、紫外線に起因する肌の炎症を抑える可能性がある。(詳細はこちら)
  • フラボノイドは皮膚での内因性防御機構に影響を与え、紫外線や前発がん物質などの環境因子への反応を調整する可能性がある。 (詳細はこちら)
  • フラボノイドは創傷治癒や血管の健康に影響する可能性があるが、臨床的有効性が定まるまでヒトでのさらなる研究が必要である。(詳細はこちら)

概要

フラボノイドは、植物性化学物質として知られる類の食事性因子である。5,000種類以上のフラボノイドが発見されており、一つの食品に数百のフラボノイドが存在することもある(1)。フラボノイドは異なる側鎖のある基本的なポリフェノール環状構造(「食事性因子」項目の「フラボノイド」の図1参照)から成り、それによって異なる特性が現れる(「食事性因子」項目の「フラボノイド」の表1参照)。しばしばその抗酸化特性がもてはやされるが、フラボノイドが紫外線(UV)を吸収し、細胞の機能に影響するシグナル伝達経路を調整する能力が、肌の健康に対する有益な効果の元となっているようである。

含有量と利用性

食事からのフラボノイドは消化管や肝臓での初回通過代謝を受け、消化された化合物が大々的に変化することになる(「食事性因子」項目の「フラボノイド」の記事参照)(2,3)。フラボノイド代謝物の生物学的作用は、元の化合物とは異なるようである。したがって皮膚に到達するフラボノイドは、消化されて到達した場合と局所適用された場合とでは異なる効果を持つ可能性がある(「局所適用」の項を参照)。

ヒトの表皮角化細胞は、有機アニオン輸送ポリペプチド(OATP)の特定の種類を発現させる。OATPは様々な生体異物、薬物、および両親媒性の大きな分子の吸収を左右する輸送体である(4)。フラボノイドはこの経路から表皮細胞に浸透すると推論されている。一旦細胞内に入ると、フラボノイドは多様なタンパク質の触媒作用的なATP結合部位と結合し、広範な細胞プロセスに影響力を持つ(5,6)。たとえば、ゲニステインとケルセチンは、チロシンキナーゼとPI3キナーゼをそれぞれ抑制することが知られている(6)。特定のフラボノイドと細胞のタンパク質の間で特別な相互反応も起こる。たとえば大豆イソフラボンは、皮膚細胞と心血管系で発現するエストロゲン受容体のイソ型であるエストロゲン受容体β(ER-β)と結合する(7,8)

局所適用

局所的に適用されたフラボノイドは初回通過代謝を受けない。溶解性、安定性、および浸透性の問題は懸念であるものの、薬理学的用量が局所適用によって送達される。いくつかの特定のフラボノイド製剤について、切除したヒトの皮膚試料に浸透する能力の評価試験がガラス容器内で行われた。浸透促進剤は、局所適用剤の皮膚を通しての拡散に影響するように皮膚バリア特性を可逆的に変化させる。アセトンに溶かすと、フラバノン類のナリンゲニンとヘスペリチンは切除したヒトの皮膚へ浸透することができ、浸透促進剤(Dリモネンとレシチン)で前処理すると、浸透度が上がった(9)。その一方で、フラボノールであるケルセチンは、すべての実験条件下で皮膚浸透度がとても低かった。浸透促進剤を使ったナリンゲニンとヘスペリチンの局所適用が紫外線B波で誘発される紅斑を防ぐことを、Saijaらは少人数のボランティア(年齢25~35歳の6人の男女)で確認した(9)

親水性軟膏に含まれるエピガロカテキン3ガレート(EGCG)の吸収と浸透性のテストが、切除されたヒトの皮膚で行われた(10)。第一に、親水性軟膏に含まれるEGCGは低温で保管されるか抗酸化物質のBHTが補填されていないと非常に不安定であった。第二に、親水性軟膏に含まれるEGCGはヒトの真皮に浸透することができたが、そこから離脱することができず、全身に広がっていくのは最小限であるということが示唆された。別のガラス容器内試験では、化粧品製剤に由来するEGCGとケルセチンの浸透力を評価するのに、ヒトの切除皮膚を用いた(11)。24時間後、局所適用されたEGCGは角質層、表皮、および真皮にとどまったが、皮膚の試料からは離脱しなかった。ケルセチンは表皮と角質層には蓄積していたが、真皮では検出されなかった。

いくつかの追加的なガラス容器内の実験で、様々な製剤由来のフラボノイドの溶解性と浸透性が評価された(12~15)。フラボノイドが局所的な光保護製剤となる可能性はあるが、適切な送達手段、化学的添加物、およびpHが、生物活性を持つ製品の浸透性に重大な影響を及ぼす。様々な局所製剤の効力を調べるヒトでの試験がさらに必要である。

欠乏症

フラボノイドは必須栄養素とは考えられていない。したがって、食事摂取基準(DRI)や、欠乏の臨床マーカーは確立されていない。フラボノイドの豊富な食事をすることでの健康への潜在的な利点は、食事性因子のフラボノイドの項の記事で広く議論されている。

健康な皮膚での機能

光保護

紫外線にさらされると、紅斑、水腫、日焼け、過形成、炎症、免疫抑制、光老化、および光による発がんなどの皮膚への多くの悪影響がある(16)。培養細胞、動物、およびヒトでの研究で、特定の種のフラボノイドによる治療は、紫外線による皮膚への悪い作用を最小化する可能性があることが示された。

緑茶のポリフェノール

Heinrichら(17)は60人の健康な女性(40~65歳)に対して12週間のプラセボ対照試験を行い、食事からの緑茶ポリフェノール摂取が皮膚の光保護、構造、および機能に及ぼす影響を評価した。被験者は1日に1リットルの緑茶を飲み、添加物や香味に該当する1,402mgの緑茶カテキンまたは不活性成分を摂取した。最小紅斑量の1.25倍の紫外線による紅斑形成、肌の弾力や構造(荒さ、かさつき、ふっくら感、およびシワ)、経皮水分喪失、皮膚の血流、および血清フラボノイド濃度が治療後0、6、および12週に測定された。摂取群では6週間後と12週間後に緑茶ポリフェノールであるEGCG、ECG(エピカテキン3ガレート)およびエピカテキンの血清濃度が大きく高まった。加えて、測定されたすべての肌の項目で、緑茶飲料を摂取した者はプラセボを摂取した者よりも同時点での測定値が向上した(17)

一日に1リットルの飲料を飲むという難しさから、Heinrichらはカプセルに入れた緑茶抽出物の効果を評価する低用量試験を行った(17)。15人の健康な女性がプラセボまたは0.5g,1g,2gの緑茶抽出物カプセルを摂取した。緑茶抽出物のカプセル1回分の短時間での効果を評価するために、血清フラボノイド濃度および真皮への毛細血管流が4時間にわたって測定された。フラボノイドが皮膚の健康に与える影響であると提唱されている皮膚への酸素や栄養素の運搬の強化に毛細血管流の増加が寄与している可能性があることから、皮膚の微小循環が測定された。

プラセボに比べて、摂取された緑茶抽出物の全部の用量で、急速かつ短時間(15~30分)に同じような皮膚の微小循環の向上が見られた。血清エピカテキン濃度は用量とともに上昇し、摂取後2時間で最大となった。

エピカテキンとカテキンが豊富な高フラバノールココアを12週間摂取しても、健康な女性被験者の光保護性や肌構造が向上した(18)。この二重盲検介入試験では、24人の女性ボランティア(18~25歳)をフラバノール含有量の多い(326mg)または少ない(27mg)ココア飲料を12週間毎日飲むように無作為に分けた。緑茶飲料と同じく、高フラバノールココアは紫外線によって誘発される紅斑の生成を減らし、微小循環を増やし、肌の構造(荒さ、かさつき、ふっくら感、およびシワ)を良くし、 経皮水分喪失を減らした。これらの項目は低フラバノールを摂取した群では変化しなかった。加えて、高フラバノール(329mg)のココア飲料の1回の摂取によって、血漿エピカテキン濃度と皮膚の微小循環が、低フラバノールココア飲料に比べて急速かつ過渡的に向上した(19)。カテキンが肌の構造、キメ、および水分の恒常性にもたらす効果は、カテキンが皮膚の血流を増やす効果によるものであるかもしれない(17~19)。皮膚以外の血管におけるココアポリフェノールに見られる血管拡張メカニズムは、フラバノールに関連する血管での有益性の元となっている可能性がある(20,21)

Katiyarらは、紫外線が介在するヒトの皮膚反応のいくつかに対する緑茶抽出物の局所適用の効果を調べた(22~24)。どの研究でも4~6人のボランティア(25~55歳までの男女)が、エピガロカテキン3ガレート(EGCG)、エピカテキン(EC)、エピガロカテキン(EGC)、およびエピカテキン3ガレート(ECG)という緑茶の4つの主要ポリフェノールの混合物を含む精製した緑茶抽出物の局所適用(アセトンに溶かして1mg/cmを日光に当てない皮膚に適用)を受けた。局所適用から20または30分後に、最小紅斑量の4倍の紫外線B波に適用箇所をさらした。24時間後または48時間後に(表皮および真皮とも)パンチ生検が採取され、様々なエンドポイント(評価項目)が測定された。どの場合も、同じ個人の溶媒で処理した箇所に比べて、紫外線に誘発される炎症(23)、DNA損傷(24)、および活性酸素種(ROS)の生成(22)が精製した緑茶ポリフェノールでの事前処理で抑制された。

同様の研究で、Elmetsら(25)は紫外線誘発性の光損傷に対する精製した緑茶抽出物の局所適用による保護効果を、紅斑の生成、日焼けした細胞の有無、DNA損傷、および免疫抑制のマーカーであるランゲルハンス細胞の数によって評価した。緑茶ポリフェノールの主要な4つの成分を混合した5%水溶液(0.5gの精製抽出物をエタノール/水に溶かしたもの)が、同一の被験者の溶媒で処理した箇所に比べて、紫外線損傷の最小化に最も有効であった。EGCGとECGも保護効果があったが、抽出物の混合物よりも効力が弱かった。

Camouseら(26)は、光保護剤として緑茶および白茶の抽出物を局所適用した二重盲検治療を10人のボランティアに対して行った。どちらの茶抽出物(有機溶媒に溶かして2.5mg/cm2で適用)で前処理しても、同じ個人の溶媒で処理した箇所に比べて、紫外線B波(最小紅斑量の2倍)によるランゲルハンス細胞の枯渇および酸化DNA損傷から保護された。

紫外線はDNA鎖を切断したり、紫外線から派生するエネルギーがDNAに吸収される際に生成される光産物であるシクロブタン型ピリミジンダイマー(CPD)を生成してピリミジン塩基間に望ましくない共有結合を形成したりしてDNAを損傷する。細胞は損傷を修復したり自身を死滅(アポトーシス)させたりして、突然変異や悪性の形質転換から生物を保護している。緑茶ポリフェノールが紫外線誘発性の細胞損傷を除去しようとするメカニズムは、皮膚のDNA修復経路を開き(24,25,27)、サイトカインとして知られる特定の免疫媒体に影響を及ぼすこと(23,28~31)に主に由来するようである。DNA損傷は皮膚での発がんのリスク要因である免疫抑制を開始するので、緑茶ポリフェノールは皮膚での紫外線損傷反応において初期に機能するようである。

ゲニステイン

ゲニステインの光保護効果は動物やガラス容器内のヒトの皮膚モデルで調べられてきた。ゲニステイン(紫外線にさらされる60分前に5μM)を局所適用して前処理すると肌の荒れやシワが減り、急性および慢性の一日量の紫外線B波照射にさらされたヘアレスマウス(毛のないマウス)の皮膚で過剰増殖が減った(32)。EGCGで観られたように、ゲニステインの光保護効果は紫外線誘発性のDNA損傷への対処の結果であるのかもしれない。なぜならば、局所的に適用されたゲニステインはCPDの形成を減少させて、増殖およびDNA修復のマーカーである増殖細胞核抗原(PCNA)の発現を回復させたからである(32)。著者らは彼らの観察結果をヒトにも拡大するために、6人の男性で小規模な研究を行った。紫外線B波(最小紅斑量)にさらす30分前にゲニステイン(5μM/cm2)を局所適用し治療から24時間後に写真で評価したところ、紅斑の形成が妨げられた(32)。しかもゲニステインの局所適用を前治療として行うと、ヒトの再構成皮膚標本でCPDの形成が用量とともに減り、PCNAの発現が増加した(33)

その他のフラボノイド

シリマリンはフラボノリグナンに分類される特殊な種類のフラボノイドで、フラボノイドでもありリグナンでもある。シリマリンはオオアザミ(学名Silybum marianum)の種子に含まれ、その主要な生理活性フラボノイドはシリビニンと呼ばれる。緑茶のポリフェノールと同様に、局所的に適用されたシリマリンによって、紫外線で誘発される光損傷と光発がんが動物実験で最小になった(34)。初代培養の正常ヒト表皮角化細胞(NHEK)とトランスジェニックマウス(遺伝子改変マウス)を用いて行った実験では、シリマリンの局所適用によって紫外線誘発性の細胞死が抑制され、皮膚のCPD形成が減った(35)。ヌクレオチド除去修復に欠陥のある細胞や動物を用いて、シリマリンの局所適用がDNA修復プロセスを上方制御することで光保護に役立つことを、著者らはさらに論証した。

日焼け止め効果

特定のフラボノイドの局所適用は、皮膚の成分と反応してそれを損傷する前に紫外線を吸収し、それによって日焼け止め効果を呈して皮膚を守っている可能性がある。皮膚の主要な発色団(紫外線を吸収する分子)には、メラニン、ウロカニン酸、アミノ酸、および核酸がある(36)。同様に、局所適用されたフラボノイドは紫外線を吸収し紫外線の浸透を防ぐことで、皮膚を守っているのかもしれない。ピクノジェノール(天然起源のモノおよびオリゴマーのプロシアニジンの登録混合物。登録商標)およびハニーブッシュ抽出物(フラバノンであるヘスペリジンおよびキサントンマンギフェリンを含有)は、紫外線B波帯の光を吸収する(37,38)。したがって、これらのフラボノイドを紫外線にさらされる前に局所適用しておくと、日焼け止めとして機能するであろう。

予防VS抑制

フラボノイド投与のタイミングは、それが予防または治療方法のどちらとして用いられるかを決定する。情報の大半は、紫外線誘発性光損傷の予防手段として、紫外線にさらされる前にフラボノイドを投与することについて報告したものである。しかし、紫外線にさらされた後でのフラボノイド投与についても、いくつかのフラボノイドで評価されている。アセトンに溶かしたゲニステインまたはEGCGを最小紅斑量の2倍の紫外線照射から1または4時間後にヘアレスマウスの皮膚に適用し、24時間後に表皮切片を採取して分析した(39)。どちらのフラボノイドも、紫外線にあたった後に適用した場合ですら、日焼けした細胞の数、表皮過形成、および免疫抑制を減らした。Widyariniらはアカツメクサ(学名Trifolium pretense)由来のイソフラボン抽出物(20μM)を紫外線を浴びた直後にヘアレスマウスの皮膚に適用し、紫外線によって誘発される急性症状に対する保護効果を評価した(40)。ゲニステインおよびイソフラボンの代謝物であるエクオール、イソエクオール、およびデヒドロエクオールは、紫外線による炎症、浮腫、および免疫抑制を大きく減らした。無作為化二重盲検プラセボ対照試験で、Casettiら(41)はルテオリンの豊富なモクセイソウの抽出物(RE)と標準的な抗炎症剤であるヒドロコルチゾンを比べて、紫外線にさらされた後の効力を調べた。40人の健康なボランティア(18歳以上の男女)が最小紅斑量の1.5倍の紫外線B波にさらされてからREのナノ粒子製剤(2.5%)、ヒドロコルチゾン(0.1%)、および溶媒(グルセリン)の局所適用を受けた。溶媒に比べて、REもヒドロコルチゾンも紫外線B波で誘発される紅斑を同程度に大きく減らした(41)。肌のダメージを最小化するために日焼けの反応を抑制する恩恵は議論のあるところである。紫外線の有害な影響からの第一次的な身体保護として、そもそも日光によるダメージを予防することが勧められるべきだ。

光老化

緑茶ポリフェノール

光老化の臨床的および組織学的徴候に対して緑茶ポリフェノールを経口補給した際の長期的影響が、2年にわたる二重盲検プラセボ対照試験で評価された(42)。56人の健康な女性ボランティア(25~75歳)が、250mgの緑茶ポリフェノールかプラセボを毎日2回2年間飲んだ。光損傷による顔の肌の外見と組織が、シワ、色素沈着過度、色素脱失、ホクロ(肝斑)、毛穴サイズ、荒さ、紅斑、毛細血管拡張(表在血管の持続的拡張)、および全体的な日光によるダメージについて皮膚科医によって0、6、12、および24ヶ月めに評価された。12ヶ月で緑茶はプラセボよりもいくつかの肌の項目で向上が見られたが、24ヶ月の処置で2つの群に大差はなく、どちらの群も全体的な日光によるダメージと弾性線維症(エラスチンの異常蓄積)の項目で改善が見られた(42)

緑茶抽出物の経口および局所治療の組み合わせが軽い光老化の症状のある女性被験者の肌の外観および組織に及ぼす影響について、小規模な二重盲検プラセボ対照パイロット研究によって評価がなされた(43)。40人の健康な女性が無作為に緑茶治療の組(顔および腕に10%の緑茶抽出物クリームを塗り、300mgの緑茶抽出物を経口サプリメントで補給)またはプラセボクリームとサプリメントの組に割り当てられ、どちらも毎日2回8週間使用した。肌のシワと荒さを自己評価してもらった結果ではプラセボ群も緑茶群も同様であったが、緑茶群の数人は治療を適用した箇所で肌への刺激、乾燥、および日光への過敏さを訴えた。医師による肌の外観の評価は両群で大差なかった。組織的な検査では、プラセボ群に比べて緑茶群に弾性組織の割合でのみ改善が見られた(43)

ゲニステイン

エストロゲンは肌の老化に重大な影響を及ぼすので(7)、イソフラボン・ゲニステインが閉経後の女性の光老化の徴候に対抗できる可能性について調査が行われた。あるパイロット研究では、濃縮した大豆抽出物(100mgを毎日6ヶ月間)を摂取した30人の閉経後の女性は、臀部の皮膚の生検による肌の厚さ、弾性繊維の含有量、コラーゲン繊維の含有量、および脈管構造が、処置開示時に比べて処置後6ヶ月で大きく向上した(44)。Moaresらは無作為化二重盲検エストロゲン対照試験を行って、閉経後の顔の皮膚における形態的パラメータに対するイソフラボンの局所適用の効果を調べた(45)。40人の被験者にエストロゲン(0.01%の17-βエストラジオール)またはイソフラボン(4%のゲニステイン)ジェルを毎日顔に24週間適用してもらった。局所的用したエストロゲンでは、試験開始時に比べて、またイソフラボンに比べてすべてのパラメータで大きく値が向上した。イソフラボンは24週間後に表皮の厚さと血管数が大きく向上したが、エストロゲンによる処置ほどではなかった。

生体異物の代謝

皮膚は物理的および生化学的バリアである(46)。有害な可能性のある化合物を皮膚の生体異物代謝によって不活性化することは、皮膚の表面から侵入する物質に対する第二の防御として働く(46~48)。生体異物代謝は、異物である化合物を身体から安全に排出できる不活性の物質に変換する一連の酵素反応を含む(49,50)。活性化とも呼ばれる第一相では、生体異物である化合物に酸素を使って反応部位を形成する。シトクロームP450族の酵素が第一相代謝に関係する。抱合とも呼ばれる第二相では、第一相の代謝物の反応部位に水溶性の官能基を付加する反応を含む。最終的に第三相では水溶性の化合物は細胞から排出される。

第二相酵素の随伴的誘導なしに第一相酵素が単独で誘導すると、細胞に損傷を与える可能性のある「活性化された」化合物の生成に至ることもある。表皮のCYP1A1とCYP1B1は、紫外線B波にさらされた時間および量に応じて誘導される(51)。CYP1A1とCYP1B1は、よく知られた前発がん物質の一種である多環芳香族炭化水素(PAH)を含む外来基質由来の多数の化合物を活性化させる(52)。したがって、紫外線B波は第一相酵素の誘導によって環境汚染物質の活性化を強化し、表皮での変異原性負荷をさらに増やすことになりかねない(53)。生体異物代謝に関連する酵素をフラボノイドが調節することは、紫外線誘発性の光損傷に対抗するもう一つのメカニズムであるのかもしれない。

細胞の解毒経路の第一相または第二相成分を対象にすることで、異なるフラボノイドが皮膚における生体異物代謝に様々な効果をもたらす。フラボノールであるミリセチンやケルセチンは、マウスの皮膚に局所適用されるとアリール炭化水素加水分解酵素(第一相酵素)の活性を抑制し、前発がん物質の代謝活性化(54)とDNA付加物の生成(55)を潜在的に防ぐ。一方で第二相酵素を誘導するフラボノイドは、CYPによって発生した代謝物の不活性化を促進する可能性がある。シリマリンの活性成分であるシリビニンを15日間経口投与すると、溶媒で処置した対照群のマウスに比べて、マウスの皮膚での第二相酵素の活性(グルタチオンSトランスフェラーゼ(グルタチオンS転移酵素)とキノンレダクターゼ(キノン還元酵素)の活性)が著しく誘導された(56)

創傷の治り

ケルセチンとケンプフェロールというフラボノイドが豊富なタマネギの抽出物は、傷跡、特にケロイドの傷跡ができるのを減らすために使用されてきた。タマネギの抽出物やケルセチンが、培養されたヒトの皮膚の線維芽細胞およびヘアレスマウスの皮膚でのマトリックスメタロプロテアーゼ1(MMP-1)の発現を誘発することを、Choら(57)は示した。MMPは、紫外線、酸化ストレス、および炎症性サイトカインなどを含む様々な刺激に反応して表皮ケラチノサイトや真皮線維芽細胞によって分泌される酵素である。紫外線は3つのMMPを誘発する。それらはMMP-1(コラゲナーゼ)、MMP-3(ストロメリシン)、およびMMP-9(ゼラチナーゼ)であり、皮膚のコラーゲンを開裂および劣化させて光老化を起こす(58)。創傷の治りに関しては、MMP-1と組織阻害マトリックスメタロプロテアーゼ1(TIMP-1)の酵素活性とのバランスが、傷の部位で形成されるコラーゲンを含む細胞外基質の量に影響する。したがって、傷の治る過程で肥大性瘢痕を減らすために、ケルセチンが細胞外基質の付着に影響するのかもしれない。

その他の機能

血管の健康

フラボノイド、特にルチンとその誘導体は血管の透過性や脆弱性に影響することから、肌に有益である(5)。その血管保護効果は、毛細血管拡張症(皮膚の表面付近の小さな拡張した血管)と点状出血(毛細血管または血管が破れてできる小さい赤い斑点)の形成を減らしているのかもしれない。金属とフラボノイドとの結合は血液凝固や炎症に関連する酵素の抑制につながり、その結果、毛細血管の透過性や血小板凝集に影響を与えるようである(5)。しかしながら臨床実験が不足しており、特定のフラボノイドが血管の健康に果たす役割を決定的に確定するには、さらなるヒトでの研究が必要である。

結論

フラボノイドと皮膚の健康に関する情報の大半は、緑茶ポリフェノール、カテキン、およびゲニステインの光保護効果に関するものである。特にフラバノール類の経口補給および局所適用は、ヒトでの光保護効果を示す。局所適用されたフラボノイドによる実験は、精製された化合物または有機溶媒に溶かした濃縮植物抽出物をテストすることが典型的である。それらは光保護剤として有望であっても、それの送達はヒトの皮膚で市販の製剤がどのように浸透し機能するかを左右する問題である。細胞のいたる所にある多様なタンパク質に特定または不特定に類似していることから、フラボノイドは広範な影響を及ぼす。紫外線の有害な影響からフラボノイドが肌を保護する正確なメカニズムは未だに研究中であるが、フラボノイドが物理的に紫外線の浸透を防ぎ、DNA修復に影響し、酸化ダメージを減らし、炎症反応を弱め、免疫機能を保ち、細胞保護的な経路を誘発するというエビデンスがある。


Authors and Reviewers

Written in June 2012 by:
Giana Angelo, Ph.D.
Linus Pauling Institute
Oregon State University

Reviewed in June 2012 by:
Wilhelm Stahl, Ph.D.
Institute of Biochemistry and Molecular Biology I
Heinrich-Heine-University Düsseldorf
Düsseldorf, Germany

This article was underwritten, in part, by a grant from Neutrogena Corporation, Los Angeles, California.

Copyright 2012-2024  Linus Pauling Institute


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骨の健康

English

要旨

  • 骨格は、生涯ずっと継続的な活動状態にある組織や細胞から成り立つ動的な器官である。(詳細はこちら)

  • 骨の発達は、年齢に見合った3つの概括的なフェーズで起こる。それらは(i)成長、(ii)モデリングまたは骨緻密化、および(iii)リモデリングである。成人期はリモデリングフェーズが主であり、骨の再吸収と形成の活動が常に関連して連続する。(詳細はこちら)

  • 骨量の自然増加は遺伝的および環境的要因の産物である。遺伝的に決定された個人の最大骨量に到達する能力には、食事と運動が大きく影響する。(詳細はこちら)

  • 34歳ころから骨の再吸収ペースが骨形成より大きくなり、年齢とともに必然的に骨量が減ることになる。骨量が少ないことの臨床的な結果として、骨軟化症、骨減少症、および骨粗鬆症になる。(詳細はこちら)

  • 骨量は通常、骨密度(BMD)と呼ばれる面密度として二次元のX線吸収測定法によって測定される。BMD測定は、骨粗鬆症の診断や骨粗鬆症性骨折の予測に使用される。骨折リスク評価ツール(FRAX)は、多くのリスク要因の影響を考慮し、より正確に10年間の骨折リスクを計算するように考案されている。(詳細はこちら)

  • 微量栄養素のカルシウムやビタミンDに加えて、その他のいくつかのミネラルやビタミンが骨の健康に不可欠な役割をする。(詳細はこちら)

  • 年齢に関係する骨量減少を最小化するためにカルシウムとビタミンDの推奨摂取量を守ったり維持したりするよう努力することは必須であるが、地域生活を送る年配者の骨粗鬆性骨折や転倒の予防におけるサプリメントの使用に関するコンセンサスはない。(詳細はこちら)

  • 施設入居の年配者やカルシウム摂取が適量以下の者には、カルシウム補給(ビタミンDと併用または無しで)が骨粗鬆性骨折リスクを下げるかもしれない。(詳細はこちら)

  • いくつかの骨基質タンパク質がカルシウムと結合する活性にビタミンKが必要であるが、ビタミンK補給がBMDを向上させたり骨粗鬆性骨折を減らしたりするという確定的なエビデンスはない。(詳細はこちら)

  • ビタミンAの過剰摂取は、典型的にはサプリメントからの過剰摂取によるが、骨の健康に負の効果をもたらし骨折リスクを上げるかもしれない。(詳細はこちら)

  • ビタミンCはコラーゲン合成や骨基質の品質に欠かせないものであるが、BMDや骨折リスクに対するビタミンC補給の効能を調べた試験はほとんどない。(詳細はこちら)

  • 血中ホモシステイン濃度が高いと骨折リスクが高いという関連がある。しかし、ビタミンB補給によってホモシステイン濃度を低下させても、骨折リスクを下げることができなかった。 (詳細はこちら)

  • 喫煙、アルコール摂取、および身体活動は、BMDや骨粗鬆性骨折リスクに大きく影響する。(詳細はこちら)

     

骨の生物学の概要

構造と生理学

骨の成分と構造

骨格は不活性な構造のように見えるかもしれないが、活動的な器官であり、生涯を通して継続的な活動状態にある組織や細胞でできている。骨の組織はタンパク質の基質の周りに付着したミネラルの混合物でできており、ともに骨格の強度や柔軟性に寄与している。

骨の組織の65%は無機質なミネラルであり、それが骨を硬くしてる。骨にある主要ミネラルはカルシウムとリンで、ハイドロキシアパタイト(化学式は(Ca)10(PO4)6(OH)2)と呼ばれる不溶性塩の形態になっている。ハイドロキシアパタイトの結晶は有機質のタンパク質基質に隣接して結合している。マグネシウム、ナトリウム、カリウム、およびクエン酸イオンもあり、それらで別の結晶を形成するのではなく、ハイドロキシアパタイト結晶と結合している(1)

残りの35%の骨組織は有機質のタンパク質基質であり、そのうちの約90%はI型コラーゲンである。コラーゲン繊維は互いによじれあい、骨のミネラルが付着する内部の骨組みになっている(1)。約10%のその他の有機骨基質は様々な非コラーゲン性基質タンパク質で構成され、ビタミンK依存性γカルボキシグルタミン酸(Gla)含有タンパク質ファミリーのメンバーも含まれる(「ビタミンK」の項参照)。その機能は十分に解明されていないが、非コラーゲン性タンパク質は骨の(リ)モデリングに関わる細胞のアンカー点およびこれらの細胞の活動調整役として働くと考えられている(2)

骨の組織の種類

骨には2種類の組織がある。それらは皮質骨(緻密骨)と海綿骨(小柱骨)である。骨格の80%は皮質骨であり、それはすべての骨の外面を形成している。手首、手、および足の小さい骨は、全部が皮質骨である。皮質骨は硬いように見えるが、実際には血管や神経が通れる微視的な隙間がある。骨格の残りの20%は海綿骨で、長い骨の両端内や、平らな骨(頭蓋骨、骨盤、胸骨、肋骨、および肩甲骨)の内部や脊椎骨に見られる。皮質骨も海綿骨も同じミネラルや基質成分を持っているが、その多孔率や微細構造は異なる。海綿骨は隙間がずっと多く、表面積がより大きく、ターンオーバー(代謝回転)の速度がずっと速い(「骨のリモデリング/ターンオーバー」の項参照)(2)

骨の形成とリモデリング

骨の経時変化には3つのフェーズ(段階)がある。それらは成長、モデリング(または骨緻密化)、およびリモデリングである(図1参照)。成長フェーズでは、骨の大きさが増す。骨の成長は誕生から2歳まで急速で、幼年期や青少年期を通して勢いが続くが、10代後半や20代初期についに止まる。骨は20歳頃に伸びが止まるが、形や厚さは変化し、モデリングのフェーズで力学的ストレスを受けると質量増加を続ける。たとえばウェイトトレーニングや体重は、骨の形に影響する力学的負荷を与える。したがって、骨量増加は骨の発達のうちの成長フェーズおよびモデリング/緻密化フェーズにおいて起こる。リモデリングフェーズは骨の再吸収(破壊)と形成の不断のプロセスから成り、それは成人期に顕著であり、一生続く。34歳ころから骨の再吸収率が骨の形成率を上回り、加齢とともに避けられない骨量減少が起こっていく(3)

Figure 1. General Pattern of Bone Development Over Time. The figure shows the general pattern of bone mass accrual and loss over the three phases of bone development: (I) growth (sharp/rapid increase of bone mass until age 20), (II) modeling or consolidation (slow increase of bone mass until peak bone mass is reached around age 30), and (III) remodeling (the period of maintenance and/or decline of bone mass (about age 30 until death). A sharp/rapid decline of bone mass is seen in women as a result of menopause. The T-score, which measures bone mineral density (BMD) by DEXA, is used as a clinical proxy for bone mass. As defined by the World Health Organization (WHO), osteopenia precedes osteoporosis and occurs when one’s bone mineral density (BMD) is between 1 and 2.5 standard deviations (SD) below that of the average young adult (30 years of age).

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最大骨量

骨量とは、基質およびミネラル両方の骨の量のことである。骨量は青少年期を通して増加し、10代後半そして20代に入るころピークになる。安定した骨格状態に達した時までに得られる骨の最大量は最大骨量として知られる(図1参照)(6)。遺伝的に決められた個人の最大骨量の到達にはいくつかの環境要因が影響し、その中のいくつかを以下で論ずる(「成人の骨の健康を決定するもの」の項参照。(6)の文献でレビュー)。

骨の細胞

骨の形成と再吸収を担っている細胞は、それぞれ骨芽細胞と破骨細胞である。

骨芽細胞はコラーゲンを含んだ骨成分を分泌することで新しい骨の形成を促進し、それはその後に石灰化される(1)。アルカリフォスファターゼという酵素は、骨芽細胞が活発に骨の基質に沈着している際に骨芽細胞によって分泌される。アルカリフォスファターゼは血流に乗り、骨形成速度の臨床的マーカーとして使用される。骨芽細胞にはビタミンD,エストロゲン、および副甲状腺ホルモン(PTH)の受容体がある。そのため、これらのホルモンは造骨活動を調整することで骨の健康に強い効果を持つ。骨芽細胞は基質を分泌し終わると、細胞死するか、表層細胞になるか、有機基質の深部に組み込まれた骨細胞という種類の細胞になる(7,8)。骨細胞は全ての骨の細胞の90~95%を占め、非常に長寿命(最長数十年)である(7)。それらは破骨および造骨活動に影響する可溶性因子を分泌し、力学的ストレスに反応して骨のリモデリングに中心的役割を果たす(7~9)

破骨細胞は、骨を溶かす酵素や酸を分泌して骨の表面を侵食する。より詳細には、酵素が有機基質を分解し、酸は骨塩を可溶化する(1)。破骨細胞は小さく集まった塊として作用し、骨を溶かすのに約3週間を費やす。その頃には破骨細胞は死亡し、骨芽細胞がその空間に入り込んで新しい骨の組織を作る。このように、骨の再吸収と形成は常に「ペア」で行われる。骨基質の分解による最終生産物(ヒドロキシプロリンおよびアミノ末端コラーゲンペプチド)は尿に排泄され、骨吸収速度の便利な生化学的測定値として使用可能である。

骨のリモデリング/ターンオーバー

ミネラル質および有機質の基質である骨組織は継続的に分解され、リモデリングまたはターンオーバーとして知られるプロセスで再構築される。リモデリングの間、骨の再吸収と形成は常に調整されている。破骨細胞がまず骨の一部を溶かし、その後に骨芽細胞が新しくできた「リモデリング空間」に入り込み、骨基質を分泌する(10)。骨芽細胞と破骨細胞の活動は「ペア」になっており、リモデリング単位と呼ばれるものを形成する。リモデリングの目的は、健康な骨格を修復維持し、新しい負荷に対して骨構造を適応させ、細胞外液におけるカルシウム濃度を調整し、リンの予備の蓄えを提供することである(2)。骨リモデリング周期は再吸収から最終的な石灰化までの一連の細胞事象を完結するのに必要な時間であり、一般的には2~8ヶ月続く(11)

リモデリング単位は段階的にずれて周期進行する。骨リモデリングに影響する介入(たとえばカルシウムやビタミンDの補給または再吸収抑制薬の投与など)の開始は血中カルシウム濃度を向上させ、その結果副甲状腺ホルモン分泌を減らすであろう(「カルシウム」の項参照)。これは新しくリモデリングの周期が始まる頻度に影響し、活動中のリモデリング単位の数が減ることになるのであろう。しかし、治療の開始以前に活性化された単位は今だにサイクルが進行中であろう。リモデリングの抑制は、大部分が脱灰されるリモデリング部位における骨のミネラルをしばし保留することになり、結果として骨量増加が起こる(これをリモデリング過渡応答と呼ぶ)。リモデリング部位におけるこの骨量増加は、通常1回のリモデリング周期の間のみ起こるので、新しい骨を作るわけではない。全てのリモデリング周期が治療に同期化して、リモデリングは以前のレベルに戻る。治療開始からリモデリングの平衡に戻るまでの時間差は「骨リモデリング過渡応答」として知られる(12)。骨リモデリング過渡応答を考慮すると、リモデリングプロセスが平衡に戻るのに数ヶ月から数年かかるかもしれないので、その時になってやっとこの介入が骨密度に及ぼす影響の可能性が評価される(2)

骨組織のターンオーバー速度は骨のタイプによって異なる。海綿骨は皮質骨よりもターンオーバー速度が速い。骨粗鬆症性骨折は主に股関節や椎骨の骨折として海綿骨に起こり、多くの骨粗鬆症治療は骨量を変化させるようにリモデリング活動を対象としている(13)

成人の骨の健康を決定するもの

最大骨量に最大限近づくこと

骨量の大半は骨の発達における成長フェーズで得られる(図1参照)(4,10)。個人の最大骨量(骨の量の最大値)に達することは、遺伝的、生活様式的、および環境的要因の産物である(14,15)。最大骨量の60~80%は遺伝で決定され、残りの20~40%は主に栄養や身体活動といった生活様式要因に影響を受ける(6)。言い換えれば、食事と運動は骨量増加に寄与することが知られているが、個人の遺伝的潜在性の範囲でのみ最大骨量を増やすことができるということである。

成長フェーズで骨量増加することは、「骨銀行口座」にしばしば例えられる(4,15)。そのようなものであるので、最大骨量を最も大きくすることは、加齢に関係する骨量減少の結果から体を護るために若い時に重要である(16)。しかし、いったん補給または運動という介入がなくなると、BMDの向上は一般的に続かない(17,18)。したがって、骨の発達の全てのフェースで食事と身体活動に注意することは、骨量増加と骨格の健康に有益である(6)

加齢に伴う骨量減少の速度

骨のリモデリングは、再吸収と形成が時間と空間の両方で関連しあって一生続くプロセスである。しかし、加齢とともに骨量減少が骨量増加を上回るようになっていく。34歳ころから骨吸収速度が骨形成速度を上回り、年齢とともに不可避の骨量減少がおこる(図1参照)(19)。年齢に関係するエストロゲンの減少が、再吸収でも形成でも男女とも骨のリモデリング活性の上昇に関連する(9)。しかし変化した骨形成速度は骨吸収速度と一致せず、エストロゲンの欠乏が時間とともに骨量減少に寄与することになる(8,9)。閉経してから最初の3~5年は、閉経以前の速度の2~6倍で加速した自己制限的な骨量減少を起こすという関連がある。それに伴う閉経後の骨量減少は加齢とともに直線的な増加速度で起こり、男女間で類似している(16)。骨が減少するにつれ、骨粗鬆症のしきい値に近づき、股関節や椎骨の骨折リスクが高くなる。

骨ミネラルおよび骨量の減少

骨軟化症

「成人のくる病」としても知られる骨軟化症は、骨の石灰化不全のことである。典型的には、骨軟化症はビタミンD欠乏症(血清25-ヒドロキシビタミンD濃度が30nmol/L以下または12ng/mL以下)とそれに伴う小腸での食事性カルシウムやリンの吸収不能の結果である。血中のカルシウムおよびリンの濃度は、きっちりと調整されている(「カルシウム」の項参照)。簡潔に言えば、副甲状腺ホルモン(PTH)が急速に放出されて体内循環に乗り、血中カルシウム濃度のわずかな低下によってビタミンDが活性化される。PTHの上昇が、再吸収と形成のどちらにおいても骨のリモデリング活性を刺激し、それは常にペアで起こる。したがって、血中カルシウム濃度をもとに戻すために破骨細胞が骨からカルシウムとリンを放出し、再吸収された骨を置き換えるために骨芽細胞が働く。しかし骨軟化症だと、カルシウムおよびリンの欠乏によって、新たに分泌された骨基質の石灰化が不十分になってしまう。重篤なケースでは新規に形成された石灰化されていない骨がその硬さを失って、体重がかかることで変形してしまう。

ビタミンD欠乏症だけでなく、骨軟化症は極端なカルシウム欠乏、フッ化物の毒性、カドミウム中毒、およびリン酸塩の恒常性の遺伝性障害(低リン血症)からおこることがある(2)

骨減少症

簡単に言うと、骨減少症と骨粗鬆症は程度が異なるが低骨量状態のことである。骨軟化症は低ミネラルで高基質量が特徴だが、骨減少症と骨粗鬆症はそのどちらもが低いことから起こる。世界保健機関(WHO)で定義されているように、骨減少症は骨粗鬆症に先立ち、個人のBMDが平均的な若者(30歳)よりも標準偏差(SD)で1~2.5低い時に起こる(1 参照)。

骨粗鬆症

骨粗鬆症は、骨量減少により骨のもろさが増して骨折しやすくなる状態である。臨床的には、骨粗鬆症はBMDが若者の平均よりも標準偏差で2.5より低いことと定義される(図1参照)。成人の骨折リスクは、BMDが標準偏差で1下がるごとに約2倍になると推定されてきた(10)。骨粗鬆症性骨折が一般的な部位は、股関節、大腿骨頚部、および脊柱の椎骨で、海綿骨が豊富な骨格部位である。

骨密度と骨折リスク

骨の基質成分を技術的に検出はできないので、骨量は直接測定できない。しかし、二重エネルギーX線吸収測定法(DEXAまたはDXAと省略される)を用いて、骨のミネラルを検出することができる。この二次元画像処理技術では、X線からの光子の吸収はビームの経路に存在するミネラルの量の関数である。したがって骨密度(BMDもしくは二次元骨密度を意味するaBMD)とは、ある骨の部位に存在するミネラルの量を測定するもので、骨量の代わりに使用できる(10)。BMDは骨量を評価するのに便利な臨床マーカーで骨粗鬆症性骨折リスクと関連があるが、それだけが骨折リスクの決定要因ではない。骨の質(構造、強度)や転びやすさ(平衡感覚や運動性)もリスク評価の要因となり、介入計画を決める際に考慮されるべきである。過去10年ほどで、骨の強度をよりよく捕捉するために高解像度末梢定量的コンピュータ断層撮影(HRpQCT)がますます使用されてきている。HRpQCTは、皮質骨および海綿骨の三次元骨密度(vBMD)、骨の形、および非決定因子である遠位大腿骨、橈骨、および脛骨の微小構造を撮像し測定するためにX線ビームの減衰を使用する三次元画像処理技術である(6,20)

ある面積/体積あたりの骨のミネラル量であるBMDは、骨の強度の代替指標でしかない。骨折リスクを予想する臨床的および研究的環境で使用される便利なバイオマーカーであるものの、骨粗鬆症性骨折になりやすいかはBMDだけでは予想できない(10)。骨粗鬆症性骨折リスクは、骨質(微小構造、形)や転びやすさ(平衡性、運動性、筋肉強度)などのその他の要因に影響される。変更可能もしくは不可能なその他の要因も骨粗鬆症性骨折リスクに関わり、それらは一般的に追加的要因である(21)。骨折リスク評価ツール(FRAX)は、これらの追加的リスク要因のいくつかを考慮するよう考案された(22)。FRAXはオンラインで利用可能である。BMD測定をしたら、FRAXのウェブサイトを閲覧し、これらの追加的リスク要因のいくつかを考慮して10年間の骨折可能性を計算しよう。

骨粗鬆症に対する変更可能なリスク要因に注意することは、骨折予防対策の重要な要素である。

骨の健康に重要な微量栄養素

微量栄養素の供給は、骨の健康に主要な役割を果たす。いくつかのミネラルがハイドロキシアパタイト結晶の生成と構造に直接的に作用する。その他の栄養素は、補助因子または細胞活動の調整役として間接的に働く(23,24)

表1は骨の健康に重要な微量栄養素の食事摂取基準量(DRI)を示したものである。米国人(19歳以上)の平均的食事性摂取量も、比較のために表示する(25)

表 骨の健康に重要な微量栄養素の食事摂取基準量
微量栄養素 RDA またはAI* (19歳以上) UL(19歳以上) 平均摂取量a(19歳以上、全食事性摂取源) (25)
カルシウム  男性:
1 g/日 (19~70歳)
1.2 g/日 (70歳超)
女性:
1 g/日 (19~50歳)
1.2 g/日 (50歳超)
男性および女性:
2.5 g/日 (19~50歳)
2 g/日 (50歳超)
0.91 g/日
リン 男性および女性:
0.7 g/日 (19歳以上)
男性および女性:
4 g/日 (19~70歳)
3 g/日 (70歳超)
1.3 g/日
フッ化物 男性: 4 mg/日*
女性: 3 mg/日*
男性よび女性:
10 mg/日
報告なし
マグネシウム 男性:
400 mg/日 (19~30歳)
420 mg/日 (31歳超)
女性:
310 mg/日 (19~30歳)
320 mg/日 (31歳超)
男性および女性:
350 mg/日b
 
290 mg/日
ナトリウム 男性および女性:
1.5 g/日
決定不能 報告なし
ナトリウム

男性: 3.4 g/日*
女性: 2.6 g/日*

決定不能 2.7 g/日
ビタミンD 男性および女性:
15 μg (600 IU)/日 (19-70歳)
20 μg (800 IU)/日 (70歳超)
男性および女性:
100 μg (4,000 IU)/日
 
4.5 μg  (180 IU)/日
 
ビタミンK 男性:
120 μg/日*
女性:
90 μg/日*
決定不能 88.2 μg/日
ビタミンA 男性:
900 μg RAE (3,000 IU)/日c
女性:
700 μg RAE (2,333 IU)/日c
男性および女性:
3,000 μg RAE (10,000 IU)/日d
600 μg/日
ビタミンC   男性:
90 mg/日
女性:
75 mg/日
男性および女性:
2,000 mg/日
85.4 mg/日
ビタミンB6 男性:
1.3 mg/日 (19~50歳)
1.7 mg/日 (50歳超)
女性:
1.3 mg/日 (19~50歳)
1.5 mg/日 (50歳超)
男性および女性:
100 mg/日
2.0 mg/日
葉酸塩 男性および女性:
400 μg DFE/日e
男性および女性:
1,000 μg/日f
540 μg DFE/日
ビタミンB12 男性および女性:
2.4 μg/日
決定不能 5.2 μg/日

略字 :RDA, 推奨量; AI, 目安量; UL, 許容上限摂取量; g, グラム; mg, ミリグラム; μg, マイクログラム IU, 国際単位.
aは強化食品からの栄養素を含む
bはサプリメントのマグネシウムのみに適用
cレチノール活性当量(RAE)は、レチノールとしてのビタミンAの活性を表す測定値の国際標準である。たとえば、1μgのRAEは、動物性製品中の1μgの既成レチノールに、植物由来食物の12μgのβカロテンに相当する。
d既成レチノールにのみ適応
e食事性葉酸塩当量 (DFE) は、サプリメントに含まれる葉酸の生物学的利用性が高いことを反映して使用される。食事中の葉酸塩 1 μg = 1 μg のDFE; 食事と一緒に摂取した葉酸1 μg = 1.7 μg のDFE; 空腹時に摂取した葉酸1 μg = 2 μg のDFE
f強化食品やサプリメントに含まれる合成形態 (葉酸)に適用

ミネラル

カルシウム

カルシウムは人体で最もありふれたミネラルである。人体のカルシウムの99%は骨と歯にあり、残り1%が血液や軟組織に存在する。血中カルシウム濃度は、正常な生理学的機能(たとえば筋肉収縮、神経インパルス伝達、血管の収縮と弛緩など)の保持のために非常に狭い濃度範囲内に維持されなくてはならない。これらの機能が必須であるので、カルシウム摂取が不適切である時には正常な血中カルシウム濃度を維持するために、体が骨を脱灰するであろう。低血中カルシウム濃度に反応して、副甲状腺から副甲状腺ホルモン(PTH)が分泌される。血中カルシウム濃度を回復するために、PTHは3つの主要な系統を標的にする。それらは(i)ビタミンDが活性化される(「ビタミンD」の項参照)、(ii)ろ過されたカルシウムが腎臓で保持される、そして(iii)骨の再吸収が誘発されるというものである(1)。したがって、血中カルシウム濃度の変動に反応して骨が再吸収されることを制限するために、食物から十分なカルシウムを得ることが非常に大切である。

年配者による59の無作為化プラセボ対照試験の2015年のメタ解析で、カルシウムには骨密度(BMD)にかなり有益な効果があることが示唆された(26)。食物またはサプリメントからのカルシウム摂取を少なくとも1年間増加させたら、体全体、腰椎、股関節、および大腿骨頚部のBMDが有意義に0.6~1.8%上昇する結果になった。カルシウムの摂取源、サプリメントのカルシウム用量、または参加者のベースライン時(開始時)の食事性カルシウム摂取量は、BMD変化に何の違いも起こさないことがさらなる解析でわかった(26)。そのような控えめな増加でも、閉経後のBMD低下の平均速度を制限し、価値ある骨折リスク低減になるかもしれない(27)。骨折全体のリスクに関する報告をした20の無作為化対照試験の2015年のメタ解析で、ビタミンDと併用してもしなくても、カルシウム補給に関連して11%のリスク低下があったことがわかった(28)。しかし、バイアスのリスクが最も低い大規模試験に限って解析すると、何の効果もなかった。また、カルシウム補給しても股関節、椎骨、および前腕の骨折リスクに低減は見られなかった(28)。33の無作為化対照試験の最新のメタ解析で、地域生活を送る年配者の股関節骨折リスク低下に、カルシウムおよび/またはビタミンDが関わっているエビデンス(科学的根拠)は見つからなかった(29)

2011年に米国予防医学専門委員会(USPSTF)は52,915人の年配者(そのうち69%は閉経後の女性)を含む11の無作為化プラセボ対照試験のメタ解析を行い、最長7年間のビタミンD(300~1,000 IU/日)とカルシウム(500~1,200 mg/日)補給によって、新しく骨折するリスクが12%減ったことが報告された(30)。さらなる解析で施設入居の年配者における29%もの大幅なリスク低下が示唆されたが、地域生活をする年配者、閉経後の女性、または骨折歴のある女性に補給をしても、実質的なリスク低下には至らなかった(30)。したがってUSPSTFは、地域生活を送る閉経後の女性に対する骨折の一次予防のための毎日のカルシウムとビタミンD補給をしないように忠告している(31)。無作為化プラセボ対照試験に関して米国骨粗鬆症財団に委任され最近更新されたメタ解析で、年配者へのカルシウムおよびビタミンD補給にともない、骨折全体で15%(8つの研究)、股関節骨折で30%(6つの研究)のリスク低下があったことがわかった(32)。USPSTFの推奨と対照的に、すべての中年男性および女性の骨折による負担を減らすための公衆衛生的介入として、米国骨粗鬆症財団はカルシウム(1,000~1,200 mg/日)およびビタミンD(800~1,000 IU/日)のサプリメント使用を支持している(32)

米国におけるカルシウムの現在の推奨量(RDA)は、均衡したデータの組み合わせと臨床試験のエビデンスに基づいており、それらは骨の健康を支えるレベルに設定されているようである(表1参照)(33,34)。RDAを満たすことの重要性は別として、カルシウム(および/またはビタミンD)サプリメントは骨粗鬆症治療の補助剤として時々使用される。米国内科学会による最新の指針によれば、カルシウムサプリメントは骨粗鬆症治療計画に必要な要素ではなく、過剰用量だと高カルシウム血症や腎臓結石のリスクに関わるため、用量は注意深く考慮されねばならない(35)

最後に、骨の健康に関係する結果を主に報告したいくつかの前向きコホート研究や無作為化対照試験では、心血管性イベント(事象)のリスクに関して、単独でもビタミンDと併用でも、カルシウムサプリメントの安全性について懸念が表明されている。この問題にはさらなる注意が必要であるが、心血管性リスクに関するカルシウムサプリメントの効果を主な結果として調べるように考案された研究は不足している。4つの無作為化対照試験、1つのコホート内症例対照研究、および26の前向きコホート研究を含む文献のレビューの更新(36)に基づいて、米国骨粗鬆症財団および米国心臓病予防学会が招集した専門家委員会は、カルシウムの全摂取量が許容上限摂取量(UL)を超えない時には、全体的に健康な個人のカルシウムサプリメントの使用は心血管的健康の観点から見て安全であると結論づけた(37)。専門家委員会は、食事性カルシウム摂取の不足分を補い現在の推奨量に見合うためのカルシウムサプリメントの使用を支持した(37)。この問題のさらに詳細なレビューについては、「カルシウム」というタイトルの記事における「安全性」の項を参照のこと。

リン

骨のミネラルの質量のうち半分超はリンで占められており、これはカルシウムと結合してハイドロキシアパタイト結晶を作る。この構造的役割に加えて、造骨作用は骨基質における局所的リン酸塩濃度に大きく依存する(13,38)。血中のリンとカルシウム両方の濃度は、3つの内分泌ホルモンで制御されている。それらはPTH、ビタミンD,および線維芽細胞増殖因子23(FGF-23)である。血中カルシウム濃度が少しでも減る(たとえばカルシウム摂取が不適切な場合など)と血清PTHが増えることになり、急速に尿中カルシウム排泄を減らして尿中リン排泄を増やす。PTHはまた骨の再吸収も促進し、骨のミネラル(カルシウムとリン酸塩)を放出して血清カルシウム濃度を回復する。腎臓では、PTHはビタミンDからその活性化形態である1α,25-ジヒドロキシビタミンD3への変換を促進する。次に1α,25-ジヒドロキシビタミンD3がカルシウムおよびリンの腸での吸収を促進する。3番目のホルモンのFGF-23は、リン摂取の増加に反応して骨細胞から分泌される。ネガティブ・フィードバックループ(負のフィードバックループ)において、FGF-23は1α,25-ジヒドロキシビタミンD3の生成を阻害し、PTHや1α,25-ジヒドロキシビタミンD3とは別に尿中リン排泄を促進する(39)

骨における顕著な機能をを考えれば、リン欠乏症は骨の石灰化障害に寄与する(38)。しかし、健康な者ではリン欠乏症は稀で、リン欠乏症が骨粗鬆症の発症に影響するというエビデンスもほとんどない(24)。対照的に、米国人のリン摂取は必要量よりもずっと多く、カルシウム摂取よりも多い傾向がある(表1参照)。食事性リンの高摂取がカルシウムの吸収に支障をきたし、ついには骨吸収を促進してしまうかもしれないと考えられている(40)。しかし、米国で見られる食事性リンの濃度がBMDや骨粗鬆症リスクに悪影響を及ぼしているという確信的なエビデンスは現在ない(41)。それにもかかわらず、リン酸含有の清涼飲料やスナック食品を牛乳やその他のカルシウム豊富な食品に替えることは、骨の健康に重大なリスクがあるかもしれない(40)

フッ化物

フッ化物はカルシウムとの親和性が高く、体内のフッ化物のほとんどは石灰化された組織、すなわち歯と骨に貯蔵されている(42)。歯では非常に密なハイドロキシアパタイト結晶がコラーゲン繊維に埋めこまれている。ハイドロキシアパタイト結晶中にフッ化物があること(フルオロハイドロキシアパタイトを形成)は、歯垢細菌による歯の破壊への抵抗力を強め(1,42)、フッ化物は虫歯予防に有効であることが証明されている(43)

骨芽細胞への直接の効果を通して、フッ化物は骨の生成を刺激するかもしれない(44)。一方で、ハイドロキシアパタイトにフッ化物があると結晶サイズが大きくなり、骨がもろくなることに寄与するかもしれない(45,46)。骨の健康におけるフッ化物補給の効果を調べた25の無作為化対照研究(2,348人の参加者)の2008年のメタ解析で、使用されたフッ化物の毎日の用量にかかわらず、椎骨と股関節のBMDが大きくなることがわかった(47)。さらに椎骨および非椎骨を骨折する可能性が毎日20mg以下の用量のフッ化物で大幅に低下したが、それより高用量ではそうではなかったことがわかった(47)

いくつかの観察研究で、飲料水に含まれるフッ化物への慢性的曝露(接すること)と骨の健康との関係が調べられた。ある横断研究で、人工股関節全置換術を受けた年配者から採集された91の大腿骨頚部標本の骨の構造的および機械的特性は、被験者が水道水へのフッ化物添加地区または非添加地区のどちらに住んでいても同じであることがわかった(48)。さらに、7300万人超の被験者を最長17年間追跡した研究を含む30年間の13の前向きコホート研究および1つの症例対照研究のメタ解析で、水道水に含まれるフッ化物は股関節骨折リスクに何の効果もないことがわかった(49)

米国食品医薬品局は、骨粗鬆症の予防および治療においてのフッ化物補給を現在認めていない(16)

マグネシウム

マグネシウムは、体内で構造的および機能的に必須の働きを持つ主要なミネラルである。それは我々の骨格にとって決定的に重要な成分であり、体全体のマグネシウムの50~60%は骨にあり、そこでハイドロキシアパタイトと共存してその結晶の大きさと強度に影響を与えている(24)。げっ歯類では、マグネシウム欠乏症が通常より大きいハイドロキシアパタイト結晶を作り、究極的には骨の硬さに影響する。マグネシウムはまた、造骨活動を低減させ骨の分化や石灰化を遅らせる((50)の文献でレビュー)。マグネシウムは、PTH-ビタミンD-FGF23系を調整することでミネラル代謝に役割を果たす。マグネシウム欠乏症は、PTH分泌障害およびPTHや1α,25-ジヒドロキシビタミンD3の作用に対する終末器官の抵抗性と関連づけられてきた(51)。マグネシウム欠乏症はまた、血清FGF-23の濃度を上昇させ、そのことによって尿中へのリンの排泄を促し、おそらくは腎臓での1α,25-ジヒドロキシビタミンD(生物学的に活性のあるビタミンDの形態)の生成を阻害しているのであろう(「リン」の項参照)(52,53)。さらに、マグネシウムは1α,25-ジヒドロキシビタミンDの生成を触媒する25ジヒドロキシビタミンD-1α水酸化酵素の補助因子であることから、マグネシウム欠乏症はこの酵素の活性を下げるであろうことが示唆される(50)。したがって、米国国民健康栄養調査(NHANES)のデータの横断解析で、マグネシウム摂取が多い参加者はビタミンD不足や欠乏症リスクが低いことがわかった(54)。食事性マグネシウム摂取が少ないことは米国人には一般的であり(表1参照)(25)、マグネシウム欠乏症が骨の石灰化を損なって骨粗鬆症のリスク要因となるかもしれないことが示唆される。

複数の観察研究の2016年のメタ解析で、マグネシウム摂取と股関節のBMDとの正の相関が示された(3つの研究)が、腰椎のBMD(6つの研究)、大腿骨頚部のBMD(3つの研究)、および股関節骨折または骨折全体の可能性(3つの研究)とは何の関連も示されなかった(55)。2,245人の中年男性を中央値で25.6年間追跡したクオピオ虚血性心疾患危険因子研究の最近出版された解析でも、食事性マグネシウム摂取と骨折リスクの関連のエビデンスはなかった。しかしながら、いかなる骨折(大腿骨、上腕骨、前腕)のリスクでも、血清マグネシウム濃度が最も低い四分位の被験者(1.8mg/dL未満)は、最も高い四分位の者(2mg/dL超)よりも約2.5倍リスクが高かった(56)

ヒトにおいてマグネシウム補給がBMDまたは骨粗鬆症に及ぼす効果を扱った研究はほとんどない。骨粗鬆症の閉経後の女性(平均年齢57.6歳で上下10.6歳の幅)の小集団で、毎日750mgの水酸化マグネシウム補給(個人の耐性レベルによる)を6ヶ月間行い、その後さらに250mg/日の補給を18ヶ月間したところ、1年後に手首のBMDが増加したが、2年間の補給後には何の増加もなかった(57)。エストロゲン補充療法およびマルチビタミン摂取をしている閉経後の女性による非常に小規模な別の研究で、追加的に500mg/日のマグネシウムおよび600mg/日のカルシウムを補給したところ、エストロゲン補充療法のみを受けている閉経後の女性に比べてかかとのBMDが増加する結果になったことがわかった(58)。血清マグネシウム濃度を正常化する必要がない限り、骨粗鬆症の予防にマグネシウム補給を推奨するにはエビデンスが十分ではない。70,000人超の閉経後の女性を平均で7.6年追跡した女性の健康イニシアティブ(WHI)の観察研究では、マグネシウム全摂取量が最も少ない五分位(206.5 mg/日未満)の者は最も多い五文位(422.5 mg/日以上)の者よりも転倒および前腕や手首の骨折リスクが高いという関連が見つかったが、股関節骨折または骨折全体のリスクとの関連は見つからなかった(59)。さらに、慢性腎臓疾患の被験者または透析を受けている者の異常に高い血清マグネシウム濃度は、カルシウム代謝活性型ホルモン、PTH、および1α,25-ジヒドロキシビタミンDの作用に支障をきたし、石灰化の欠陥や骨格の障害(腎性骨ジストロフィー)に至る(60)。現在のところ、カルシウムや骨の代謝に影響するマグネシウム摂取増加の潜在的可能性について、骨粗鬆症の予防および治療におけるそれらの役割に特に注意を払いながらさらなる研究がなされるべきである。

ナトリウム

ナトリウムは、尿中カルシウム排泄への影響を通して骨格の健康に影響すると考えられている(38,61)。実際、ナトリウムの高摂取は尿へのカルシウムの排出増加をおこす。これはおそらく腎臓でナトリウムとカルシウムの再吸収が競合すること、および/または副甲状腺ホルモン分泌に対するナトリウムの効果によるものであろう。腎臓で排泄されるナトリウム1グラム(2.5グラムの食塩に相当)ごとに、約26.3mgのカルシウムが尿へと排出されることがわかっている(61)。理論的には、食事性摂取源からのカルシウム吸収が腸で増加して尿中へのカルシウム排出を補わないと、骨のカルシウムが移動させられ、骨格の健康に影響する可能性がある。

多くの横断および介入研究で、ナトリウムの高摂取は骨の健康、特に年配の女性の骨の健康に有害であることが示唆されてきた(62)。とりわけ、ナトリウムの高摂取とカルシウムの低摂取の組み合わせは、骨の健康に特に害があるかもしれない(63~65)。閉経後の女性による2年間の縦断的研究で、尿中へのナトリウム排泄の増加(ナトリウム摂取増加の指標)は、股関節のBMD低下と関連があることがわかった(66)。線形回帰分析から、ナトリウム摂取を推奨量(2.3 g/日以下)まで減らすこととカルシウム摂取を1.2g/日まで増やすことによって、BMDが維持されるかもしれないと推定された。閉経後の女性による第二の縦断的研究で、約3g/日というナトリウムの習慣的高摂取は、3年間の追跡期間においてBMDにとって有害ではなかったことが判明した(67)。とりわけ、この研究の集団ににおける平均カルシウム摂取は1.3~1.5g/日で、50歳超の女性のカルシウムの推奨量より若干多かった。40人の閉経後の女性による別の研究で、低ナトリウム食(2g/日)に6ヶ月間固執したら、ナトリウム排泄、カルシウム排泄、およびI型コラーゲンのアミノ末端プロペプチド(骨の再吸収のバイオマーカー)が大きく減るという関連があったことがわかった。しかし、これらの関連はベースライン時(開始時)の尿中ナトリウム排泄が多い女性にのみ観察された(68)。これらの結果はナトリウムの高摂取が骨の健康に及ぼす長期的影響を明らかにするものではないが、ほとんどの米国人がナトリウムを摂りすぎ、カルシウムを摂らなさすぎることは心配である(69)。したがってカルシウムの摂取を推奨量まで増やしながらナトリウムの低摂取を心がけることは、骨の健康を支えるよいやり方である。

カリウム

カリウムは、過度に酸性の食事が骨格に与えるかもしれない影響を緩和すると考えられている。西洋風の食事はアルカリの摂取源(果物や野菜)が比較的少なく、酸の摂取源(魚、肉、およびチーズ)が比較的多い傾向がある。体内の酸を和らげる重炭酸イオンの量が正常な酸性度を維持するには不十分な場合、食事で摂取されたり代謝で生じた酸を中和するために体は骨からアルカリ性のカルシウム塩を動員することが可能である(70)。この酸-塩基理論から、果物や野菜の摂取に由来するアルカリ性のカリウム塩が食事の正味の酸含有量を減らし、骨の再吸収を防ぐかもしれないことが示唆される(71)

2015年のメタ解析で、7つの短期間代謝的横断研究および7つの無作為化対照試験から、カルシウムの循環および骨ターンオーバーに関するアルカリ性のカリウム塩の効果が調べられた(72)。その結果から、炭酸水素カリウムまたはクエン酸カリウム補給によって、腎臓からのカルシウム排泄が大きく減ったことが示唆された。アルカリ性のカリウム塩補給は、再吸収マーカーの濃度も低下させたが、骨形成のマーカーには何の効果もなかった(72)。また、2年間の無作為化二重盲検プラセボ対照試験で、201人の健康な年配者(平均年齢69歳)のBMDと骨折リスクに対するクエン酸カリウム補給(60ミリ当量(mEq)/日=2,340mg/日)の効果が調べられた(73)。すべての参加者には、カルシウム(500mg/日)およびビタミンD(400 IU/日)の補給がなされた。プラセボに比べて、クエン酸カリウムは腎臓からの正味の酸排出を減らし、体全体および部位特異的なBMDの大幅な上昇につながった。この研究の著者らは、FRAX評価ツールで計算された予測スコアを使用した骨折リスクの減少も予測した(73)。しかし、276人の閉経後の女性(平均年齢60歳)による別の2年間の試験では、椎骨および股関節のBMDに対するクエン酸カリウム補給は、低用量(18.5mEq/日=721.5mg/日)でも高用量(55.5mEq/日=2,165mg/日)でもプラセボに比べて何の効果もなく、また300g/日の果物や野菜を追加しても同じであった(74)。現在のところ、食事性カリウムが骨の健康に重要な役割があるのかどうか今だに議論されている。しかし、低カリウムで高ナトリウムの現代の食事が、心血管系の健康に関連する以外に広範な健康への悪影響があるのかもしれない可能性を排除することはできない(71)。したがって、カリウムとナトリウムの摂取割合を向上させるであろう食事をすることが、骨の健康にも役立つかもしれない。

脂溶性ビタミン

ビタミンD

ビタミンDの主要な機能は、正常な生理学的機能を保持するために血中カルシウムおよびリン濃度を制御することである。低血中カルシウムに反応して、副甲状腺から副甲状腺ホルモン(PTH)が体内循環に放出される。腎臓では、ビタミンD3の貯蔵形態である25-ヒドロキシビタミンD3からビタミンDの生物学的活性型である1α,25-ジヒドロキシビタミンD3への変換を、PTHが促進する。体内循環の1α,25-ジヒドロキシビタミンD3が増加すると、腸細胞でカルシウム吸収が活発に促進される(75)。PTHとともに、1α,25-ジヒドロキシビタミンD3も腎臓でろ過されるカルシウムを保持するよう促進する。1α,25-ジヒドロキシビタミンD3とPTHはともに、骨からのミネラルの放出につながる骨の再吸収を促進する。このことによって、骨格を損いながら正常な血中カルシウム濃度の回復がおきる。ビタミンDとPTHはリンの恒常性も調整し、体内循環の25-ヒドロキシビタミンD3濃度が低いと、低リン血症に至ることがある(「リン」の項参照)。

観察研究の結果は、ビタミンDの状態が悪い(体内循環の25-ヒドロキシビタミンD濃度で評価)ことと骨の健康への悪影響の関係を、ある程度一貫して示唆している(76)。上記の「カルシウム」の項でも述べたように、無作為化対照試験のいくつかのメタ解析で、カルシウムとビタミンDの併用補給によって年配者の骨折の発生が減ったことが示された(30,32,77)。しかし、ビタミンD単独補給の効果を調べた試験の結果では、骨折に対してほとんどまったく予防にならなかったことがわかった。15の試験のメタ解析では、ビタミンD補給をしてもプラセボに比べて椎体および非椎体の骨折リスクが何も低下しなかったことがわかった(77)。さらに、カルシウム単独補給とカルシウムとビタミンDの併用補給を比べた11の試験の統合解析で、ビタミンD補給のさらなる有益性のエビデンスはなかった(77)。ビタミンD評価試験(ViDA)の最近出版された結果では、ビタミンD3(初期の用量が200,000 IU/月でその後100,000 IU/月)またはプラセボを平均で3.4年間補給した男女(50~84歳)の非椎体骨折リスクには大差がなかったことが示された(78)

転倒は年配者の外傷(骨折を含む)の最大の原因であり、筋肉の量と強度の減少と関連付けられてきた。年配者の観察研究の統合解析で、転倒する者は転倒しない者に比べてビタミンDの状態が不適切である確率が高いことがわかった(79)。しかしながら、転倒する者のビタミンDが不適切であることは、外出しにくくなったり施設で介護されたりすることによって、日光に当たることが制限されることに由来する可能性もある。いくつかの無作為化対照試験で、年配の被験者の筋肉の強度、姿勢バランス、または転倒リスクに対するビタミンD補給の影響が調べられた。これらの試験のメタ解析で、それぞれの結果を評価する1種類だけの測定ツールに基づく筋肉強度や運動性へのビタミンD補給の影響は限定的であった(80)。しかしながら、45,782人の参加者(平均年齢76歳で78%は女性)による26の無作為化対照試験の2011年のメタ解析で、少なくとも1回の転倒によって苦痛を煩うリスクがビタミンD補給で14%減ったことがわかった(81)。ビタミンDの状態が適切でない(平均血清25-ヒドロキシビタミンD濃度が20 ng/mL未満)160人の閉経後の女性(50~65歳)によるより最近の無作為化二重盲検プラセボ対照試験で、1,000 IU/日のビタミンD3補給によって、ビタミンDの状態だけでなく上下肢の筋肉強度や姿勢バランスのパラメータも大きく向上した(82,83)。転倒リスクおよび何度も転倒するリスクは、ビタミンD3を補給した者よりも対照群の方が2~3倍高かったことがわかった(83)。対照的に、地域生活を送る年配者による最近の2つの別の無作為化対照研究では、高用量ビタミンD(毎月の急速投与量で2,000 IU/日以上に相当)は、毎日の低用量ビタミンD(毎月の急速投与量で800 IU/ 日に相当)またはプラセボに比べて、転倒の確率に何の有益性もないことが示された(78,84)。さらに、これらの研究の中の1つで、血清25-ヒドロキシビタミンD濃度が最高の四分位(44.7~98.9ng/mL)の者は最低の四分位(21.3~30.3ng/mL)の者に比べて、12ヶ月の追跡期間の後で転倒の確率が5.5倍高かったことがわかった(84)。血清25-ヒドロキシビタミンD濃度が45ng/mL以上になるビタミンDの急速投与量がなせ転倒リスクを上げるのか不明なままである(85)

米国医学研究所によって設定されたRDA(推奨量)は、すべての年齢層で骨の健康を維持するのに適切であると考えられている体内循環の25-ヒドロキシビタミンD濃度が20~50ng/mL(50~125nmol/Lに相当)になるように設定されている(33)。エビデンスのレビューに基づき、米国老年医学会議(AGS)は2014年の声明報告書で、血清25-ヒドロキシビタミンD濃度が25ng/mL以上(62.5nmol/L以上)で年配者の骨折や転倒に対する予防になると結論付けた。したがって、地域生活を送る全ての年配者(65歳以上)および施設介護を受けている年配者に、カルシウムとともに少なくとも1,000 IU/日のビタミンD補給を推奨するようにAGSは臨床医に勧告した(86)。より詳細には、AGSは全ての摂取源(日光、食事、サプリメント)から平均で4,000 IU/日を摂取するように年配者に推奨した(86)。しかし、米国予防医学専門委員会(USPSTF)は、骨粗鬆症のない地域生活をする年配者が転倒予防にビタミンD補給をすることには反対の勧告をしている(87)。さらに、年配者の骨折予防のためのビタミンDやカルシウム補給の推奨に関して、現在ではコンセンサス(総意)はほとんど得られていない(「カルシウム」の項参照)(31,32,85,86)

ビタミンK

天然起源のビタミンKには、フィロキノン(ビタミンK1)およびメナキノン(ビタミンK2またはMK)と呼ばれる分子ファミリーがある。ビタミンKの主要な機能は、カルシウム結合を促進する形態にタンパク質を変える特定の酵素反応の補助因子としての機能である(88)。この反応はγグルタミルカルボキシラーゼによって触媒され、これによってアミノ酸であるグルタミン酸(Glu)からγカルボキシグルタミン酸(Gla)へのカルボキシル化が可能になる。現在までに少なくとも16のビタミンK依存性タンパク質が同定されており、そのうちのいくつかは骨の組織にも存在する。それらはオステオカルシン(骨Glaタンパク質とも呼ばれる)(89)、マトリックスGlaタンパク質(MGP)(89)、プロテインS(90)、成長停止特異的タンパク質6(Gas6)(91)、Glaリッチタンパク質(GRP)(92)、およびペリオスチン(93)である。骨の生物学におけるビタミンKの役割はこれらのGla含有タンパク質のカルボキシル化の補助因子としての機能に主に起因するものであるが、in vitro(ガラス容器内)の研究では、γカルボキシル化依存性メカニズムを介しての骨の形成および再吸収の調整における追加的機能も示唆されている(94,95)

ビタミンKの状態が不適切だと、変形性関節症(96)や骨粗鬆症性骨折の増加(97)と関連すると示唆する観察的エビデンスがある。全部で80,982人の男女を最長10年間追跡した4つの前向きコホート研究と1つのコホート内症例対照研究の最近のメタ解析で、フィロキノン摂取が最大の者は最小の者に比べて22%骨折リスクが低いことがわかった(98)。しかし、緑色葉物野菜に見られるフィロキノンの高摂取は、しばしば健康な生活様式の印でもある。したがって、フィロキノンの高摂取と骨折リスクの低さの関連が、その他の健康な生活様式要因/習慣によるものである可能性も排除できない(97,99)。また、骨量減少に関するフィロキノン補給の防護的効果は、無作為化対照試験で確認されていない(97,100,101)

治療用量(45mg/日)のメナキノン-4(MK-4)は、骨粗鬆症の治療に日本で第二選択療法として使用されている。したがって今日までの介入研究のほとんどは、閉経後の日本人女性に対して行われている(102)。19の介入研究の2015年のメタ解析で、骨粗鬆症の閉経後女性の腰椎および前腕のBMDや骨折全体のリスクに関してメナキノン(主にMK-4およびMK-7)補給に予防効果があったが、骨粗鬆症でない女性には効果がなかったと報告された。しかし、この結果には注意が必要である。なぜならばこれらの介入研究の半分には方法論的問題(選択バイアスおよび/または盲検検査でない)があり、骨粗鬆症の女性に対して行われた試験で特にそうであったからである(102)

2009年に行われた二重盲検プラセボ対照介入試験では、フィロキノン(1mg/日)またはMK-4(45mg/日)補給をしても、カルシウムとビタミンD補給をしている健康な閉経後の女性(381人)の骨ターンオーバーまたはBMDのマーカーに何の効果も観察されなかった(100)。閉経後の健康研究IIでは、健康な閉経後の女性へのカルシウム、ビタミンD、およびビタミンK(強化乳製品)補給および生活様式のカウンセリングの効果が調べられた(103,104)。150人の女性(平均年齢62歳)が、4つの群のいずれかに無作為に割りふられた。それらは(1)800mgのカルシウムと10μgのビタミンD3の群(26人)、(2) 800mgのカルシウムと10μgのビタミンD3および100μgのフィロキノンの群(26人)、(3) 800mgのカルシウムと10μgのビタミンD3および100μgのMK-7の群(24人)、および(4)食事の介入やカウンセリングを受けない対照群である。補給的な栄養素は強化牛乳およびヨーグルトの形態で与えられ、1年間の介入の間に被験者はそれらの1回分を毎日摂取し、2週間ごとのカウンセリングに参加するように勧告された。BMDは3つの治療群で対照群に比べて大きく増加した。血清ビタミンDとカルシウム摂取に対する調整をした後で、3つの食事治療群では腰椎(股関節や体全体ではない)のBMDのみにフィロキノンまたはMK-7の有意義な効果が残った。全体として、BMDへの良い影響はフィロキノンまたはMK-7単独の効果というよりは、介入に伴う食事や生活様式の変化の組み合わせの効果によるものだと考えられた(103)。仮にフィロキノンやメナキノンが骨の健康にそれぞれ異なる効果があったとしても、そのビタミンK形態のうちの片方ではなくもう一方を補給することがヒトの加齢による骨量減少により効果的であると示唆するエビデンスは限定的でしかない。それはとりわけ体がフィロキノンをメナキノンに変換することができるからである(105)

米国骨粗鬆症財団は、ビタミンKサプリメントの使用を支持していない。なぜなら骨粗鬆症や骨折の予防への有効性のエビデンスが限定的すぎることと、使用によって血餅リスクが高い者や抗凝血剤を服用している者に深刻な有害作用が起きるかもしれないからである(106)

ビタミンA

ビタミンAは欠乏していても過剰でも、骨格の健康に負の影響をもたらすことがある。ビタミンAが予防可能な失明の最大の原因となっている発展途上国において、ビタミンA欠乏症は主要な公衆衛生問題である。初期の動物研究で、発育における重要な期間にビタミンAが欠乏でも過剰でも破骨および造骨活動が損われるために、骨の異常を起こすことが実証された(107)

動物性食品、強化食品、およびサプリメントからレチノールとして非常に多量のビタミンAを摂取することは有毒なことがある。したがって米国医学研究所は、成人の許容上限摂取量(UL)を1日あたり3,000μg(=3mg)レチノール活性等量(RAE)、すなわち既成ビタミンAで10,000 IU/日に設定した(表1参照)。動物ではビタミンA中毒(ビタミンA過剰症)は骨の成長不良、骨塩量の減少、および骨折の割合増加と関連する(23)。ヒトの症例報告では、ULの数倍(100,000 IU/日以上)のビタミンA摂取が高カルシウム血症や骨の再吸収と関連することが示された(108~110)

RDAよりもそれほど高くない程度の長期間ビタミンA摂取が骨に負の影響をもたらすのではないかという懸念もある(23,111,112)。いくつかの観察によるエビデンスで、ビタミンAの高摂取(一般的にサプリメント使用者の摂取量やULの半分程度(約1,500μg RAE/日)の摂取量)は骨粗鬆症や股関節骨折のリスクが高いという関連があることが示唆された(113~116)。しかし、大規模前向きコホート研究からのより最近の結果では、ビタミンAの高摂取(約1,500μg RAE/日)とBMDの低さまたは骨折リスクとの関連は示されなかった(117,118)。ビタミンAの摂取量や状態を評価する方法は信頼性がないことで有名であり(119)、骨の健康に関する習慣的ビタミンA高摂取の潜在的影響への懸念から、体の貯蔵を示す鋭敏なマーカーを使用したビタミンAの状態の測定が必要であるかもしれない(120)。現時点でビタミンAの推奨量(RDA、表1参照)を守るよう努力することが、骨格の健康を最大化するために重要で安全な目標である。

コラーゲンの生成に必要な微量栄養素

骨のミネラル面ばかりしばしば論じられるが、有機基質も骨の質や健康に不可欠な部分である。コラーゲンは骨の有機基質の90%を占める。I型コラーゲン繊維が三重らせんとなって互いに絡みつき、ミネラルが沈着していくスキャフォールド(足場)となる。

ビタミンC

ビタミンC(アスコルビン酸)は、骨芽細胞によるコラーゲン合成の際のリジンおよびプロリンの水酸化に必要な補助因子である(121)。モルモットでは、ビタミンC欠乏症は質および量のどちらにおいても骨の基質生成の欠陥と関連がある(122)。ヒトやモルモットと異なり、ラットは自分でアスコルビン酸を合成できる。アスコルビン酸合成に遺伝的欠陥がある特別な系統のラット(骨形成異常シオノギ(ODS)ラット)を使用して、研究者たちはこれらの動物にビタミンC欠乏の食事を与えてヒトの壊血病を模倣することができる(123)。アスコルビン酸欠乏のODSラットは、骨の石灰化に何の異常もないが骨形成が顕著に低下した(124)。より詳細には、アスコルビン酸欠乏症によってコラーゲン合成、コラーゲン性プロリンやリジン残基の水酸化、および骨基質への造骨性の付着が損なわれた(124)

観察研究では、ビタミンCの摂取や状態は骨密度や骨折リスクと一貫した関連がない(23)。また、前向きな計画の観察研究(前向きコホート研究)からのデータは少ない。年配者(平均年齢75歳)を約17年間追跡したフラミンガム骨粗鬆症研究からのデータ解析で、ビタミンCの全摂取量(食事およびサプリメントから)と股関節骨折または非椎体の骨粗鬆症性骨折リスクとの逆相関が示された。しかしカリウム摂取による紛らわしい影響について調整した後では、この関係は有意なものではなくなった(125)。ノーフォークにおける欧州のがんと栄養に関する前向き研究からのより若い下位コホート(4,510人の成人、平均年齢59.8歳)の別な解析で、血漿アスコルビン酸濃度とBMDの数量化に使用されるかかとの超音波測定の間には何の相関関係も示されなかった。しかし、血漿アスコルビン酸濃度と女性ではなく男性の股関節骨折リスクの逆相関が報告された(126)

コラーゲン性の骨基質を良くすることが骨量減少に対抗するためのミネラル補給の効能を強化するという前提で、ある二重盲検プラセボ対照試験が行われた(121)。60人の骨減少症の女性(35~55歳)が、カルシウムとビタミンD(1,000mgの炭酸カルシウムと250 IUのビタミンD)から成るプラセボか、このプラセボにCB6Pro(500mgのビタミンC、75mgのビタミンB6、および500mgのプロリン)を加えたものを1年間にわたって毎日摂取した。カルシウムとビタミンD摂取だけの対照群に比べて、CB6Pro群における椎骨および大腿骨の骨量減少はなかった(118)

ホモシステインの代謝に関わる微量栄養素

ホモシステインとして知られる代謝物の体内循環濃度が高いことは心血管疾患(CVD)の独立したリスク要因であり(「健康と疾患」のページの「高ホモシステイン」の項参照)、骨粗鬆症性骨折の修正可能なリスク要因であるかもしれない(23)。ホモシステインと骨格の関連は、血漿および尿中のホモシステイン濃度が過剰なまでに高くなることが特徴的な代謝疾患であるホモシスチン尿症の研究で最初に注目された。ホモシスチン尿症の者は、BMDの減少や骨減少症を含む多くの骨格の欠陥を呈する(127)。さらに、in vitroの研究や動物研究で、高ホモシステイン濃度が様々なメカニズムで骨の質を落とし骨の再吸収を増やすかもしれないことが示唆された。それらは(i)コラーゲン繊維の安定化に関わる酵素であるリジル酸化酵素の発現を抑制し、(ii)破骨細胞の生成や活性を促進し、(iii)骨の血流を減らすなどである((128)の文献でレビュー)。

もっと微妙な血漿ホモシステイン濃度の上昇が骨の健康に及ぼす影響はより実証が難しく、ヒトでの観察研究において矛盾する結果が報告されている(127,129)。血漿ホモシステイン濃度が高いことと骨折リスクの関連を報告したものもあれば(130~132)、何の関係も見られないとしたものもある(133~135)。8つの前向きコホート研究のメタ解析で、血漿ホモシステイン濃度が高いと骨折発生リスクが4%高いと報告された(136)

ビタミンB群

葉酸塩、ビタミンB12、およびビタミンB6は、体内循環のホモシステイン濃度の調整に役立つ。したがってこれらのビタミンの推奨摂取量を守ることで血漿ホモシステイン濃度を下げる努力が、骨の健康にも有益であるかもしれない(129)。さらに、ビタミンB6はリジル酸化酵素の補助因子であることから、ビタミンB6欠乏症がコラーゲンの架橋結合を制限して骨の強度を下げるかもしれない(137)。骨の健康に現れるビタミンBのホモシステイン低減効果を評価するいくつかの介入試験が行われた。たとえば、心臓病予防評価試験(HOPE)2における5,522人の参加者(55歳以上)は、平均で5年間毎日ホモシステイン低減治療(2.5mgの葉酸、50mgのビタミンB6、および1mgのビタミンB12)またはプラセボを受領する群に無作為に分けられた(138)。結果は、骨折リスクに治療法とプラセボとの間に大きな差がないことを示した。一過性脳虚血発作(小発作)または脳卒中を最近経験した8,164人の患者による脳卒中を予防するビタミン試験(VITATOPS)では、骨折の発生は二次的な結果であった。毎日2mgの葉酸、25mgのビタミンB6、および0.5mgのビタミンB12を2.8年間摂取しても、3.4年間の試験後延長追跡期間の終わりには、プラセボに比べて骨粗鬆症性骨折および股関節骨折の数または最初の骨折までの時間に差は生じなかった(139)。別の無作為化二重盲検プラセボ対照介入試験である骨粗鬆症性骨折予防のためのビタミンB試験(B-PROOF)では、年配者(介入群と対照群のどちらも15μg(600 IU)のビタミンDを毎日摂取した)の骨折発生に対するビタミンB12(0.4mg/日)および葉酸(0.5mg/日)補給の効果が調べられた(140)。血漿ホモシステイン濃度が高い(12μmol/L以上)2,919人の被験者(65歳以上)によるB-PROOF試験の結果で、ビタミンB補給によって血漿ホモシステイン濃度が平均で4.4μmol/L減ったが、骨粗鬆症性骨折またはいかなる骨折のリスクもプラセボと比べて減らなかったことがわかった(141)。ビタミンB補給はまた、最初の転倒までの時間を伸ばしたり、加齢に関連した身体能力や握力の低下を予防したりすることができなかった(142)。最後に、ノルウェーのビタミン試験(NORVIT、3,749人が参加)と西ノルウェーのビタミンB介入試験(WENBIT、3,090人が参加)という2つの無作為化対照介入試験のデータの統合解析では、葉酸(0.8mg/日)、ビタミンB12(0.4mg/日)、およびビタミンB6(40mg)の併用、葉酸とビタミンB12併用、ビタミンB6単独、またはプラセボのうちのどれかを摂取するよう割り当てられた参加者の間で、試験期間中(平均3年)も延長追跡期間中(平均10年)も股関節骨折リスクに何の差も示されなかった(143)。延長追跡期間において、ビタミンB6を補給した群はビタミンB6を補給しなかった群に比べて股関節骨折リスクのかなりの上昇があった。しかし、この結果は注意して考慮されねばならない。なぜならば冠動脈心疾患のある被験者に対して行われたこれらの試験は、骨折の発生を評価するように考案されたり展開されたりしなかったからである(143)

骨の健康に関する生活様式要因の影響:喫煙、アルコール、コーヒー、および身体活動

骨の健康における生活様式要因の効果に関して入手可能なデータが主に観察研究から来ていることに留意することは重要である。交絡の可能性があるため、これらの関連の解釈が制限される。特に、それにさらされることで研究の結果に影響する要因は、常に識別され原因として説明されるわけではない(つまり、混同される)かもしれない。交絡要因の潜在的効果を調整した後でも、取り除けない交絡が残る可能性がある。たとえば、ある研究でコーヒー摂取が骨密度(BMD)が低いことと関連があるとわかるかもしれないが、コーヒー摂取はしばしば喫煙と関連しているため、観察されたコーヒー摂取と低骨量リスクとの関連を喫煙が交絡して(歪めて)いるかもしれない。

喫煙

タバコの喫煙と骨の健康の関係を評価するために、いくつかのメタ解析が行われた。多くの同様の研究からデータを集めた後で、喫煙者には非喫煙者に比べて一貫して骨量のかなりの減少と骨折リスクの上昇が見られた(144~146)。この効果はタバコ量に依存し、年齢と強い相関があった。タバコの直接的効果の他に、喫煙者に見られる不健康な生活習慣や低体重も、骨の健康に対してマイナスに寄与しているかもしれない(147,148)。さらに、骨細胞の活性や機能に影響するかもしれないホルモン(たとえば1,25-ジヒドロキシビタミンD3やエストロゲン)の生成や代謝を、喫煙は変えてしまう(147,148)

骨に対する喫煙の悪影響は可逆的なようである。前向きコホート研究の最近のメタ解析で、現在の喫煙者にタバコの喫煙と股関節骨折リスクの有意義な関連が見られたものの、以前の喫煙者にはそれがなかった(149,150)。したがって禁煙の努力をすることは、骨の健康も含む健康全般の多くの面で有益であるようだ。

アルコール

慢性的にアルコール摂取が少ないことは、時がたっても骨密度が高いことと骨量減少が少ないことと関連している(16)。1杯の標準的飲料が10gのエタノールを含むとして、この摂取量は1日に女性で1杯、男性で2杯に相当する。BMDへのアルコール高摂取(11~30g/日のエタノール)の影響はより変化しやすく、年齢、性別、ホルモンの状態、および摂取するアルコール飲料のタイプに依存するのかもしれない。一方では、慢性的アルコール依存は骨に対する実証済みの負の影響があり、骨折リスクを上昇させる(151)。1日当たり100~200gのエタノールを摂取するアルコール中毒患者は骨密度が低く、造骨活性が低下し、骨の健康を損なう代謝異常になる(151,152)。さらに、350万人超の参加者を含む18の前向きコホート研究のメタ解析で、アルコールをまったく摂取しない場合に比べて、軽度のアルコール摂取(エタノールを0.01~12.5g/日)だと股関節骨折リスクが12%低く、高摂取(エタノールで50g/日以上)だと71%股関節骨折リスクが高いことが報告された(153)。中度のアルコール摂取(エタノールで12.6~50g/日)では、男性で股関節骨折リスクが低いという関連があったが、女性ではそうではなかった(153)

コーヒー

ヒトでの初期の対照研究の結果、コーヒーやカフェインの摂取がカルシウム吸収の効率を下げ、コーヒー1杯につき約4~6mgのカルシウムを喪失することになると示された(154,155)。この効果は、わずか大さじ1~2杯の牛乳で相殺できるかもしれない(156)。カルシウム摂取が適切な集団における骨の健康に対するコーヒーの悪影響を示唆するエビデンスはほとんどない(156)。コーヒー摂取と骨密度の相関を調べた観察研究からの結果はまちまちである(157~160)。観察研究の2つのメタ解析で、コーヒー摂取と股関節骨折リスクには何の有意義な相関もないと報告された(161,162)。6つの症例対照研究および9つの前向きコホート研究の3番目のメタ解析では、コーヒー摂取と骨折全体との間には総合的に何の相関もないとわかったものの、8つの研究の部分群の解析で、コーヒー摂取が最大の女性は最少の女性に比べて14%骨折リスクが高いことが示されたが、男性ではそうではなかった(163)

コーヒー摂取が骨量減少や骨折のリスクを上昇させるかもしれないと示唆する現在のエビデンスは少ない。適切なカルシウムとビタミンDを確実に摂取しながらコーヒー摂取を1日に3杯以内に留めることが、カルシウムの吸収や骨の健康への潜在的悪影響を防ぐはずだ(164)

身体活動

骨の発達のすべての段階において、身体活動は骨格の健康に非常に有益である。定期的な抵抗運動(筋力トレーニング)は、2つの理由で骨粗鬆症性骨折リスクの低減に役立つ。それは直接間接に骨量を増加させ、強さ、バランス、および整合性を向上させることで転倒リスクを減らすからである(165)

運動によって骨量が増える。なぜならば骨にかかる力学的な力がそれに順応した造骨反応を誘発するからである。骨は自らにかかる圧力の程度に比例して自身の強度を調整する(1)。骨量を増やしていくには、負荷の繰り返し回数やセット数ではなくその強度と新規性が問題である(166)。成人が骨の健康を維持するための運動の推奨量を表2に示す。追加的な指導内容は、米国保健福祉省が出版した米国人のための運動指針2008年版で参照可能である。

表2 米国スポーツ医学会による骨の健康のための運動の推奨量 (165)
様式 耐荷重運動 テニス、昇段運動、ジョギング
ジャンプを伴う運動 バレーボール、バスケットボール
抵抗運動 ウェイトリフティング
強度
中度から高度
頻度 耐荷重運動 週に3~5回
抵抗運動 週に2~3回
継続時間 1日に30~60分 <耐荷重運動、ジャンプを伴う運動、および主要な筋群を標的にした抵抗運動の組み合わせ

最後に、運動に反応する骨格の技能は、栄養要因によって制限されたり可能になったりする。たとえば、カルシウム不足は骨量を増加させるための機械的負荷の効果を下げてしまい、栄養不良なのに非常に活動的な者は骨折リスクが高い(165,167)。したがって、運動に反応して骨組織を再構築するために必要な栄養素が体に取り込まれていない時には、運動は骨の健康に有害であるかもしれない。

結論

微量栄養素は骨の健康に顕著な役割を果たしている。補給試験で台頭しているテーマは、習慣的摂取が介入の効能に影響を与えることであるようだ。言い換えれば、骨の健康に関わる微量栄養素の欠乏を正しRDAを守ることは、骨密度(BMD)を向上させ骨格に有益である(表1参照)。長く続く骨への効果を実現するため、介入は生涯を通じて持続しなければならない。人生のすべての段階において、骨の健康に関わる栄養素の適切な摂取と合わせて、衝撃的(ハイインパクト)および抵抗性の運動は、健康な骨格の維持と加齢に伴う骨量減少を最小化するために重要な要因である。

骨粗鬆症、転倒、または骨折への予防対策としての年配者へのカルシウムおよびビタミンD補給に関するコンセンサスはない。習慣的な1,500μg RAE/日を超えるビタミンAの習慣的高摂取は、骨にマイナスに影響するかもしれない。食事性ビタミンK摂取が低いと骨折リスクが高いという関連があるものの、無作為化対照試験は一般的に骨折リスク低減のためのビタミンK補給の直接的な効果を裏付けていない。骨の健康に重要なその他の微量栄養素(リン、フッ化物、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、およびビタミンC)は骨に必須の役割があるものの、BMDの向上または骨折の発生減少のための推奨摂取量を超えた補給を裏付ける臨床的エビデンスは不足している。

多くの米国人、特に年配者はいくつかの微量栄養素の欠乏リスクがある(25)。骨の健康に重要な栄養素の推奨食事性摂取量を守るように努力することが、骨格の健康を最大化し加齢による骨量減少を限定する重要で安全な目標である。


Authors and Reviewers

Originally written in August 2012 by:
Giana Angelo, Ph.D.
Linus Pauling Institute
Oregon State University

Updated in November 2017 by:
Barbara Delage, Ph.D.
Linus Pauling Institute
Oregon State University

Reviewed in December 2017 by:
Connie M. Weaver, Ph.D.
Distinguished Professor and Department Head
Department of Nutrition Science
Purdue University

In 2012, this article was underwritten, in part, by a grant from Bayer Consumer Care AG, Basel, Switzerland.

The 2017 update of this article was supported by a grant from Pfizer Inc.

Last updated 4/29/19  Copyright 2012-2024  Linus Pauling Institute


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