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要約

  • チアミンの活性化形態であるチアミンピロリン酸(TPP)は、炭水化物、分岐鎖アミノ酸、および脂肪酸の代謝に関連するいくつかの酵素機能に関わっている。(詳細はこちら)

  • 重篤なチアミン欠乏症は、中枢および末梢神経系を含む多数の器官系に影響する疾患である脚気を起こす。(詳細はこちら)

  • ウェルニッケ脳症は、チアミン欠乏症に次いで起こる急性神経障害である。ウェルニッケ・コルサコフ症候群は脳症に関連した症状とともに、記憶の形成が永続的に変質してしまう。(詳細はこちら)

  • チアミン欠乏症は貧弱な食事性摂取、不適切な非経口栄養の提供、胃腸での吸収低下、代謝需要の増加、またはチアミンの喪失過剰によって起こることがある。先進国では、慢性的アルコール摂取がチアミン欠乏症の第一の原因である。(詳細はこちら)

  • 糖尿病患者ではブドウ糖代謝の変化が血漿チアミン濃度の低下と関連付けられてきた。チアミン欠乏症を治すことは、糖尿病患者の血管合併症リスクを下げるかもしれない(詳細はこちら)

  • チアミン欠乏症とチアミン依存性酵素の活性低下は、アルツハイマー病と関連がある。チアミン欠乏症の動物モデルはチアミン補給によって顕著に認知障害が回復したが、アルツハイマー病患者へのチアミン補給の効果は未だにわかっていない。(詳細はこちら)

  • 利尿剤に誘発されたチアミンの排泄は、うっ血性心不全患者のチアミン欠乏症リスクや疾患の重篤度を上げるかもしれない。この疾患の管理にチアミン補給を取り入れる評価をするさらなる研究が必要である。(詳細はこちら)
     

    チアミンは別名がビタミンB1またはアノイリンという水溶性ビタミンBである(1)。1930年代に単離され特性が明らかにされたチアミンは、ビタミンとして認知された初期の有機化合物の一つである(2)。人体ではチアミンは遊離チアミンとして、また様々なリン酸化された形態で存在する。それらはチアミン一リン酸(TMP)、チアミン三リン酸(TTP)、およびチアミンピロリン酸(TPP)、別名チアミン二リン酸である。

機能

補酵素機能

遊離チアミンからTPPを合成するには、マグネシウム、アデノシン三リン酸(ATP)、およびチアミンピロホスホキナーゼという酵素が必要である。TPPは、炭水化物や分岐鎖アミノ酸の代謝に関連する4つの多成分酵素複合体の補酵素として必要である。

ピルビン酸脱水素酵素、αケトグルタル酸脱水素酵素、および分岐鎖αケト酸脱水素酵素(BCKDH)は、ミトコンドリアと呼ばれる細胞小器官内に見られるそれぞれ異なる酵素複合体を構成する。それらはピルビン酸、αケトグルタル酸、および分岐鎖アミノ酸の脱炭酸反応を触媒し、それぞれアセチル補酵素A(アセチルCoA)、スクシニルCoA、および分岐鎖アミノ酸誘導体を生成する。これらのすべては、クエン酸回路(クレブス回路)への関わりで食物からエネルギーを生成することに決定的な役割をしている(2)。ロイシン、イソロイシン、およびバリンを含む分岐鎖アミノ酸(BCAA)は最終的にアセチルCoAとスクシニルCoAに分解され、クエン酸回路を促進する。これら3つのBCAAの異化作用はコレステロールの生成にも関わり、神経伝達物質であるグルタミン酸とガンマアミノ酪酸(GABA)の合成のための窒素を提供する(3)。各々の脱水素酵素複合体はチアミン補酵素(TPP)に加えて、ナイアシン含有補酵素(NAD)、リボフラビン含有補酵素(FAD)、およびリポ酸を必要とする。

トランスケトラーゼは、サイトゾル(細胞基質)で起こるペントースリン酸経路(五炭糖リン酸回路)として知られる別の代謝回路の重要な反応を触媒する。この経路における最も重要な中間体の一つは、ATPやグアノシン三リン酸(GTP)などの高エネルギーリボヌクレオチドの合成に必要な五炭糖リン酸であるリボース-5-リン酸である。ヌクレオチドは、核酸、DNA、およびRNAの構成要素である。ペントースリン酸経路はまた、脂肪酸合成を含む様々な同化経路にナイアシン含有補酵素のNADPHを供給し、これは多くの生合成反応に必須である(1, 4)。トランスケトラーゼはチアミン欠乏症の初期に減少し、ほとんどのチアミン依存性酵素と違って赤血球に存在するので、赤血球におけるその活性の測定がチアミンの栄養状態の評価に使用されている(2)

欠乏症

重篤なチアミン欠乏症から起こる脚気は、紀元前2600年もの早期に中国の文献に記載された。チアミン欠乏症は、心血管系、神経系、筋肉系、消化器系、および中枢抹消神経系に影響する(2)。重篤なチアミン欠乏症で影響を受ける系によって、脚気は乾性脚気、湿性脚気、脳性脚気、または胃腸の脚気にさらに分けられる(1, 5)

乾性脚気

乾性脚気(麻痺性または神経性脚気)の主な特徴は、神経障害である。神経障害の初期には、「灼熱足症候群」が起こるかもしれない。その他の症状には、異常な(不自然な)反射や感覚の衰え、および足や腕の脱力感などがある。筋肉痛や圧痛、およびしゃがんだ体勢からの起立困難も観察されている(6)

湿性脚気

神経性の症状に加えて、湿性脚気(心臓性の脚気)はチアミン欠乏症の心血管性兆候が特徴的であり、これには頻脈、心臓肥大、ひどい腫れ(浮腫)、呼吸困難、および究極的にはうっ血性心不全などを含む。日本の文献では、急性の劇症性湿性脚気を「衝心」と記載している(7)

脳性脚気

脳性脚気はウェルニッケ脳症やコルサコフ精神病に至るかもしれず、アルコールを乱用する者は特にそうである。ウェルニッケ脳症の診断は「三徴候」に基づき、これは異常な眼球運動、姿勢や歩行の運動失調、および認知障害を含む。未治療のままだと、不可逆性の神経性ダメージがコルサコフ精神病として知られるさらなる臨床的兆候を引き起こすことがある。この症候群はコルサコフ認知症、コルサコフ記憶喪失、または健忘作話症候群とも呼ばれるが、混乱したり無関心な状態や、重篤な記憶喪失や最近の記憶および作業記憶の喪失を伴う深刻な記憶障害を含む。

中枢神経系に影響するチアミン欠乏症は、記憶喪失状態がない場合はウェルニッケ病と、記憶喪失症状があり眼球運動や歩行障害がある場合はウェルニッケ・コルサコフ症候群(WKS)と呼ばれる。より稀な神経性兆候には、痙攣発作も含まれることがある(8)。WKS患者のほとんどはアルコール中毒者であるが、胃がんやAIDSを含むその他の全体的栄養失調障害でも観察されている。WKS患者にチアミンの静脈投与をすると一般的に眼球の症状が迅速に改善するが、症状がどれほど長く続いたかによって、運動協調や記憶の面での改善はそれより軽いかもしれない。脳内で選択的に損傷を受けた領域での免疫細胞の活性が高まりフリーラジカルの生成が増えるというエビデンス(科学的根拠)から、チアミン欠乏症の神経性病理には酸化ストレスが重要な役割を果たしていることが示唆される(9)

胃腸の脚気

TPPは解糖系およびクエン酸回路でブドウ糖を利用する代謝反応に決定的に重要である(図1参照)。チアミン依存性酵素の活性低下はピルビン酸からアセチルCoAへの変換とクエン酸回路の利用を制限し、ピルビン酸と乳酸の蓄積につながる。乳酸の蓄積から起こる乳酸アシドーシスはしばしば、胃腸の脚気として記載される症候群の吐き気、嘔吐、および重い腹痛に関連している(5)

 Figure 1. Metabolic Pathways Requiring Thiamin Pyrophosphate (TPP). Pyruvate dehydrogenase, α-ketoglutarate dehydrogenase, 2-oxoadipate dehydrogenase, and branched-chain α-ketoacid dehydrogenase each comprise a different enzyme complex found within the mitochondria. They catalyze the decarboxylation of pyruvate, α-ketoglutarate, 2-oxoadipate, and branched-chain amino acids to form acetyl-coenzyme A (CoA), succinyl-CoA, glutaryl-CoA, and derivatives of BCAA, respectively. All products play critical roles in the production of energy from food through their connection to the citric acid cycle

チアミン欠乏症の原因

チアミン欠乏症は、不適切なチアミン摂取、チアミン必要量の増加、体からのチアミンの喪失過剰、食物中の抗チアミン因子の摂取、またはこれらの要因の組み合わせで起こるかもしれない。

不適切な摂取

発展途上国では、不適切なチアミン摂取がチアミン欠乏症の主要な原因である(2)。チアミン欠乏症は、食事に炭水化物が多くチアミンが少ない(たとえば精米や白米など)低収入の集団で一般的である。チアミン欠乏症の母に母乳で育てられた乳児は、乳児脚気を発症しやすい。先進国では、その他の栄養素とともにチアミンの低摂取に関連するアルコール中毒が、チアミン欠乏症の第一の原因である。WKSに伴う非アルコール性症状には、食欲不振、肥満外科手術(減量手術)、胃腸の悪性腫瘍、および吸収不全症候群などがある(10~13)。ウェルニッケ脳症の症例は、ビタミン補給を欠いた非経口栄養法とも関連付けられてきた(14, 15)

必要量の増加

チアミンの必要量増加を起こす状態には、激しい身体運動、発熱、妊娠、授乳、および思春期の成長などがある。そのような状態は、チアミン摂取がぎりぎりの者をチアミン欠乏症の症状発症のリスクにさらす。東南アジアのマラリア患者は、感染していない者に比べてチアミン欠乏症である頻度が高いことがわかっている(16, 17)。マラリア感染は、ブドウ糖の代謝的必要量を大きく増加させる。チアミンはブドウ糖代謝に関わる酵素に必要であるので、すでになりやすくなっている者のチアミン欠乏症が、マラリア感染で起こるストレスによって悪化するかもしれない。AIDSを発症してもしていなくても、HIV感染者はチアミン欠乏症リスクが高いことがわかっている(18)。さらに、慢性的アルコール乱用はチアミンの腸での吸収と利用を損なう(1)。したがって、アルコール中毒者はチアミン必要量が高くなる。チアミン欠乏症は、再栄養症候群の合併症としても見られる。すなわち、重症な飢餓の者に炭水化物を与えると、解糖系においておよびチアミン欠乏症を促進するクエン酸回路において、チアミンの必要量が増えることになる(19)

喪失過剰

チアミンの喪失過剰は、チアミン欠乏症を促進するかもしれない。尿流を増やすことで、利尿剤は腎臓でのチアミン再吸収を妨げて尿中への排泄を増やすかもしれない(20, 21)。チアミン摂取がぎりぎりの状態で利尿剤治療を受けている患者(22)と、長期間の利尿治療を受けている者(23)のチアミン欠乏症リスクは上昇する。血液透析を必要とする腎不全の者はチアミンを高い割合で喪失し、チアミン欠乏症リスクがある(24)。液体の高摂取と高尿流率を維持しているアルコール中毒者も、チアミン喪失が増えて低チアミン摂取による作用を悪化させるかもしれない(25)

抗チアミン因子(ATF)

食物中の抗チアミン因子(ATF)の存在も、チアミン欠乏症リスクに寄与する。ある種の植物はATFを含むが、これはチアミンと反応し、酸化された不活性の生成物を作る。紅茶やコーヒー(カフェイン抜きも含む)の大量摂取、および茶葉やビンロウジュを噛んだりすることは、それに含まれるATFが原因でヒトのチアミン枯渇と関連づけられてきた(26, 27)。ATFにはマイコトキシン(カビ毒)や、食物のチアミンを分解するチアミナーゼも含まれる。習慣的に特定の生の淡水魚、生の貝や甲殻類、およびシダを摂取する者は、チアミン欠乏症リスクが高い。なぜならこれらの食物は、通常は調理の熱で不活性化されるチアミナーゼを含むからである(1)。ナイジェリアでは、一部のナイジェリア人にとって伝統的高タンパク質食物であるアフリカカイコに含まれるチアミナーゼで促進された急性の神経性症候群(季節性運動失調)が、チアミン欠乏症と関連付けられてきた(28)

推奨量 (RDA)

1998年に米国医学研究所の食品栄養委員会によって改訂されたチアミンのRDAは、全般的に健康な者の欠乏症を予防することに基づいている(表1)(29)

表1 チアミンの推奨量 (RDA)
年齢層 年齢 男性 (mg/日) 女性 (mg/日)
乳児 0~6ヶ月  0.2 (目安量) 0.2 (目安量)
乳児 7~12ヶ月 0.3 (目安量) 0.3 (目安量)
幼児 1~3歳 0.5 0.5
子供 4~8歳 0.6 0.6
子供 9~13歳 0.9 0.9
青少年 14~18歳 1.2 1.0
成人 19歳以上 1.2 1.1
妊娠期 全年齢 - 1.4
授乳期 全年齢  - 1.4

疾病予防

白内障

49歳以上のオーストラリア人男女2,900人による横断研究で、チアミン摂取が最も多い五分位の者は最も少ない五分位の者に比べて、核性白内障に40%なりにくいことがわかった(30)。また408人の米国人女性による最近の研究で、チアミンの食事性摂取がより多いことは水晶体の混濁形成における5年間の変化と逆相関があったことがわかった(31)。しかしこれらの横断的関連は、因果関係の研究でまだ明らかになっていない。

糖尿病と血管合併症

健康な者にくらべてチアミンの血漿濃度が低く腎クリアランスが高いことが、糖尿病患者において観察される(32)。このことから1型または2型の糖尿病の者は、チアミン欠乏症リスクが高いことが示唆される。2つのチアミン輸送体であるチアミン輸送体-1(THTR-1)とチアミン輸送体-2(THTR-2)は、小腸の腸細胞によるチアミンの取り込みと腎臓の近位尿細管における再取り込みに関わっている。糖尿病患者の高血糖状態は、腎臓でのチアミン輸送体の発現を減らすことでチアミンの再取り込みに影響するのではないかと、最近の研究で示唆された(33)。逆にチアミン欠乏症は膵臓の正常な内分泌機能を損ない、高血糖を悪化させるようである。初期の研究では、チアミン欠乏症ラットの膵臓内分泌細胞におけるインスリン合成や分泌が変化していることが示された(34, 35)。ヒトでは、THTR-1を符号化する遺伝子の劣性突然変異によるチアミン欠乏症によって、チアミン反応性巨赤芽球性貧血症候群における糖尿病に至る(「代謝疾患」の項参照)。

無作為化二重盲検予備研究で、高用量チアミンのサプリメント(300 mg/日)が高血糖の者(耐糖能障害または新規に2型糖尿病と診断された者)に6週間与えられた。チアミン補給はプラセボ治療に比べて空腹時血糖やインスリン濃度がさらに上がることを防いだが、高血糖を減らせなかった(36)。しかしある研究では、チアミン補給が2型糖尿病の初期段階(すなわち糖尿病前症または初期糖尿病)における空腹時血糖濃度を改善させるかもしれないことが示された(37)

糖尿病の者の慢性的高血糖は、微小血管疾患の病因となる。糖尿病に関係した血管損傷は、心臓(心筋症)、腎臓(腎症)、網膜(網膜症)、および末梢神経系(神経症)に影響を与えうる。糖尿病患者では、血管の成長に非常に重要な骨髄由来の内皮前駆細胞(EPC)の機能を高血糖が変えてしまう(38)。興味深いことに2型糖尿病の88人の者において、食事からの毎日のチアミン摂取が多いと体内循環のEPCが多くなり、血管内皮の健康状態が良いという相関があった(39)。糖尿病患者の血漿チアミン濃度と、血管の機能障害のマーカーである可溶性血管細胞接着分子-1(sVCAM-1)の存在の逆相関も見つかっている(32, 40)。糖尿病性腎症の初期のマーカーは尿中の血清アルブミンの存在で、微量アルブミン尿症として知られている。チアミンまたはベンフォチアミン(チアミンの誘導体)の投与によって、化学的誘発性糖尿病のラットが腎臓の合併症を発症することが防がれた(41)。微量アルブミン尿症のある40人の2型糖尿病患者による無作為化二重盲検研究で、高用量のチアミン補給(300 mg/日)によって、3ヶ月間に渡って尿中へのアルブミン排泄がプラセボに比べて減ったことがわかった(40)。培養細胞や動物モデルではチアミンによる治療が有望な結果を示している(42~44)ため、血管性の合併症に対するチアミンとその誘導体の効果が糖尿病患者で調べられるべきである。

疾病治療

アルツハイマー病

年配者の中には不適切な食事性摂取、胃腸での吸収の減少、および様々な医学的症状によって、無症状性のチアミン欠乏症を発症するリスクが高い者もいる(45, 46)。チアミン欠乏症は認知症(ウェルニッケ・コルサコフ症候群)という形態に至ることもあるので、アルツハイマー病(AD)やその他の形態の認知症との関係が調べられてきた。ADは年配者の認知機能低下が特徴的で、βアミロイド斑の沈着やリン酸化されたタウタンパク質で形成された線維のもつれ(神経原線維変化)を含む病理学的特徴を伴う(47)。陽電子放射断層撮影法(PET)によるスキャンの使用で、AD患者の脳内でブドウ糖代謝が低下していることが観察された(48)。放射標識されたブドウ糖の類似体であるフッ素18-フルオロデオキシグルコース(FDG)を使用した大規模多機関PET研究で、AD患者のFDG取り込み(ブドウ糖代謝の代替マーカー)の減少と認知障害の程度とが相関付けられた。認知的に正常な者(229人)、軽度認知障害のある者(405人)、または軽度のAD(188人)である55歳超の822人の被験者を含むこの研究で、軽度認知障害からADへの進行を脳のブドウ糖利用から予想できるのではないかということが示された(49)。興味深いことに、年配者(55歳超)における糖尿病とAD発症リスクの上昇が、9年間の縦断的研究で関連付けられた(50)

脳内でのチアミン依存性プロセスの低下が、AD患者のブドウ糖代謝の変化と関係があるかもしれない(51)。38人の年配女性の症例対照研究で、血中チアミン、TPP、およびTMP濃度が、アルツハイマー型認知症(DAT)の者は対照群の者に比べて低かったことがわかった(52)。さらに、ADで亡くなった患者の脳内でTPP依存性酵素であるαケトグルタル酸脱水素酵素とトランスケトラーゼの活性が低下していたというエビデンスを、数人の研究者が発見した(53)。遊離チアミンとTMP濃度が正常であるのに脳内のTPP濃度が低いという発見は、チアミンの生物学的利用性が悪いというよりもTPP合成に変化があることを示唆していた。しかし、AD患者はTPP代謝酵素(チアミンピロホスホキナーゼを含む)の活性が変化しているのかどうかは明らかでない(54, 55)。ADのマウスモデルでは、チアミン誘導体であるベンフォチアミンの慢性的投与によって、脳内のTMPやTPP濃度を上げることなく認知的変化が和らいでβアミロイド斑の数が減った。このことは、脳でのベンフォチアミンの有益な効果はTPPに依存しない経路の刺激によって仲介されているであろうことを示唆していた(56)

チアミン欠乏症は、培養神経細胞内のβアミロイド生産の増加と、動物モデルでのプラーク形成に関連付けられてきた(57, 58)。これらのADの病理学的特徴はチアミン補給で元に戻せる可能性があり、このことはチアミンがADを防ぐ可能性を示唆している。さらに、ミトコンドリアの機能障害や慢性的酸化ストレスを含むその他の障害は、チアミン欠乏症とADの病因および進行に関連付けられてきた(9, 59)。現在のところチアミン補給がADに有益であるというエビデンスはわずかで、一貫性がない。15人の患者(10人が研究を最後まで受けた)による二重盲検プラセボ対照研究で、12ヶ月にわたって3グラム/日のチアミン補給をしても、認知機能低下に何の有益な効果もなかったと報告された(60)。別の研究の予備報告でDATに対する3~8グラム/日のチアミン補給の緩やかな効果が主張されたが、この研究からの追加的データは利用可能となっていない(61)。AD患者に対する緩やかに有益な効果が、100 mg/日のチアミン誘導体(チアミンテトラヒドロフルフリルジスルフィド)による12週間の治療後に報告されたが、この研究はプラセボ対照研究ではなかった(62)。DAT患者へのチアミン使用による無作為化二重盲検プラセボ対照試験のシステマティックレビュー(総括)で、アルツハイマー病の症状に対してチアミンが有益な治療法であるとするエビデンスは見つからなかった(63)

うっ血性心不全 (CHF)

重篤なチアミン欠乏症(湿性脚気)は心臓機能障害に至り、究極的にはうっ血性心不全(CHF)になる。先進国では脚気の症状が心臓に現れることは稀であるが、その他の原因によるCHFは一般的であり、特に年配者においてそうである。CHF治療に使用される利尿剤、とりわけフロセミドはチアミン排泄を増やすことがわかっており、チアミン欠乏症ぎりぎりになる可能性がある(64)。多くの研究でCHF患者のチアミンの栄養状態が調べられ、トランスケトラーゼ活性アッセイ(測定法)で測定された結果から、そのほとんどでチアミン欠乏症の発生率がかなり高いとわかった。一般的な集団と同様に、年配のCHF患者は若い者よりチアミン欠乏症リスクが高い(65)。CHFにおける心臓機能の重要な測定は左室駆出率(LVEF)で、これは心臓超音波検査(心エコー)で評価できる。25人の患者によるある研究で、フロセミドを80 mg/日以上の用量で使用することと98%というチアミン欠乏症罹患率との関連があったことがわかった(23)。フロセミド(80 mg/日)を少なくとも3ヶ月間服用した30人のCHF患者による無作為化二重盲検研究で、静脈投与によるチアミン治療(200 mg/日)を7日間行ったところ、静脈へのプラセボ投与に比べてLVEFが改善した(66)。その研究の30人のCHF患者全員が続けて経口チアミン治療(200 mg/日)を6週間受けたところ、平均LVEFが22%改善した。LVEFの改善はCHF患者の生存率上昇と関連があることから、この発見は関連しているかもしれない(67)。しかし、研究のサンプル数の少なさ、いくつかの研究における無作為性の欠如、およびチアミンの栄養状態のより精密な測定の必要性から、今日までに出版された研究の結論は限定的である。目下のところ、CHF患者の心臓機能の維持におけるチアミン補給の必要性は、今だに議論のあるところである。

がん

急速に成長する腫瘍のあるがん患者の中には、チアミン欠乏症が見られることがある。培養細胞や動物モデルによる研究では、急速に分裂しているがん細胞はチアミンの必要量が多いことが示されている(68)。急速に分裂するすべての細胞は高率で核酸を必要とし、がん細胞の中には核酸合成に必要なリボース-5-リン酸を提供するTPP依存性酵素のトランスケトラーゼに大きく依存しているように見えるものもある。最近の研究でTHTR-1、トランスケトラーゼ、およびミトコンドリアのTPP輸送体の濃度がヒトの乳がん組織標本で正常な組織に比べて高いことがわかり、これはがんの代謝を支えるチアミンの恒常性における適応を示唆している(69)。がん患者のチアミン補給はチアミン欠乏症を防ぐために一般的であるが、ボロスらは過剰なチアミンは実際のところいくつかの悪性腫瘍の成長を促すかもしれないと注意している(70)。このことは、実際にチアミン欠乏症のがん患者へのチアミン補給は控えめであるべきだと示唆している。現在はこの理論を裏付けたり論駁したりするヒトでの研究からのエビデンスはない。しかし、チアミン補給を考えているがん患者は、彼らのがん治療を管理する医師と話し合うことが賢明であろう。

代謝疾患

チアミン補給は、炭水化物や分岐鎖アミノ酸(BCAA)の代謝に影響する遺伝子疾患の臨床管理に含められている。

チアミン反応性ピルビン酸脱水素酵素複合体(PDHC)欠損症

PDHCにおける突然変異は、それを患う者の効率的な炭水化物酸化を妨げる。PDHC欠損症は、乳酸アシドーシス、神経変性および神経筋変性、および幼児期の死亡が一般的な特徴である。チアミン治療(数mg/日から1,000 mg/日の用量まで)に反応する患者は、PDHCのTPPに対する親和性が低下していることからPDHC欠損症を呈する(71, 72)。ビタミン補給で乳酸の蓄積を減らしてチアミン反応性患者の臨床的症状を改善できるが、それは治癒ではない(73)

メープルシロップ尿症

BCAA代謝の先天異常は、チアミン反応性分岐鎖ケト酸尿症、別名メープルシロップ尿症を起こす。BCAAの異化経路の変化は、BCAAとその誘導体である分岐鎖ケト酸(BCKA)の蓄積によって起こる神経機能障害に至る。治療方法にはBCAA含有量を減らした合成食があり、BCKDH複合体のE2サブユニットに突然変異がある患者にはチアミン(10~1,000 mg/日)が補給される(74)。チアミン反応性の者には、BCAA制限食に頼らずともその表現型を治すためにチアミン補給が有効であることが証明されている。

チアミン反応性巨赤芽球性貧血

腸でのチアミンの取り込みを損ないチアミン欠乏症を起こすTHTR-1の変異が、チアミン反応性巨赤芽球性貧血の患者で見つかっている。この症候群は巨赤芽球性貧血、糖尿病、および聴覚喪失が特徴的である。30の症例のレビューで、追加的な神経性、視覚性、および心臓性の障害が報告された(75)。経口用量のチアミン(最大300 mg/日)で、思春期前の子供の健康を維持し高血糖を治せる。しかし思春期後では膵臓機能の低下によって、高血糖を制御するためにインスリンとともにチアミンも必要となる。ある研究では、生後4ヶ月の女児を100 mg/日のチアミンで治療しても、生後20ヶ月の段階で聴覚喪失を防げなかったことも報告された(76)

ビオチン反応性大脳基底核疾患

ビオチン反応性大脳基底核疾患、別名チアミン代謝機能不全症候群2は、THTR-2を符号化する遺伝子の突然変異によって起こる。臨床的兆候は3~4歳ごろから現れ、亜急性脳症(混乱、眠気、意識レベルの変化)、運動失調、および痙攣発作を含む。サウジアラビアの同じ家族または部族出身の18人の患者による後ろ向き研究が、最近行われた。そのデータから、ビオチン単独療法(5~10 mg/kg/日)でその疾患の臨床的兆候が効率的に消失したが、3分の1の患者が急性発作の再発を患った。結果がうまくいかないこともしばしばであるが、チアミン補給では開始時(300~400 mg/日)も5年間の追跡期間後も、急性発作は見られなかった。早期の診断とビオチンおよびチアミンでの早急な治療が良い結果を生む(77)

摂取源

ヒトは食事性の摂取源から、および結腸の正常な細菌叢からチアミンを得ているが、体のチアミン必要量に対する後者の寄与はよくわからない(78)

食物の摂取源

様々な食事によって、ほとんどの者は欠乏症を予防できるだけの適切なチアミンを得られる。米国では若い成人男性の平均食事性チアミン摂取量は約2 mg/日で、若い成人女性では1.2 mg/日であった。60歳超の者の調査では、平均食事性チアミン摂取量は男性で1.4 mg/日、女性で1.1 mg/日であることがわかった(29)。しかし施設に入所することや貧困で、年配者のチアミン摂取が不適切になりやすい(79)。全粒穀物、豆類(インゲン豆やレンズ豆など)、ナッツ、赤身の豚肉、およびイーストはチアミンの豊富な摂取源である(1)。チアミンのほとんどは精白小麦粉や精白米の精製で失われてしまうので、多くの西洋諸国では小麦粉から作られた食品(パンやパスタなど)や白米はチアミンが強化されている。チアミンの豊富な食物を、ミリグラム(mg)で表記したチアミン含有量とともに表2に示す。食物の栄養素含有量についての詳細は、USDA(米国農務省)の食品成分データベースを検索のこと(80)

表2 チアミンの食物摂取源
食物 分量 チアミン (mg)
レンズ豆(茹でたもの) 120 ml 0.17
グリーンピース(茹でたもの) 120 ml 0.21
長粒玄米(炊いたもの) 240 ml 0.19
強化長粒白米(炊いたもの) 240 ml 0.26
非強化長粒白米(炊いたもの) 240 ml 0.04
全粒小麦パン 1枚 0.10
強化白パン 1枚 0.23
強化シリアル(小麦パフ) 240 ml 0.31
朝食用小麦胚芽シリアル(プレーン味トースト) 240 ml 1.88
赤身豚肉(ロースやヒレ、ロースト加熱) 85 g* 0.81
ピーカンナッツ 28 g 0.19
ホウレンソウ(茹でたもの) 120 ml 0.09
オレンジ 1個 0.11
カンタロープ(イボメロン) 半個 0.11
牛乳 240 ml 0.10
卵(固茹で) 大 1個 0.03
*肉85グラムは、トランプのカード1組くらいの大きさである。

サプリメント

チアミンは栄養サプリメントに含まれており、また塩酸チアミンや硝酸チアミンとして強化に利用される(81)

安全性

毒性

食品栄養委員会はチアミンの許容上限摂取量(UL)を設定しなかった。これは、食物に含まれるチアミンまたは長期の経口補給(最大で200 mg/日)のチアミンの過剰摂取によるよく知られた中毒作用がないからである。チアミンの大用量静脈投与で、命に関わるアナフィラキシー反応が少数見られた(29)

薬物相互作用

血中チアミン濃度が下がることが、発作性疾患(てんかん)で長期間抗けいれん薬であるフェニトインを摂取した者について報告された(82)。がんの治療で使用される薬物である5-フルオロウラシルは、チアミンからTPPへのリン酸化を阻害する(83)。利尿剤、特にフロセミドは、チアミン摂取がぎりぎりである者がチアミン欠乏症になるリスクを、チアミンの尿中排泄が増えることによって上げるかもしれない(21)。また慢性的なアルコール乱用は、食事性摂取が少ないことや、吸収や利用が損なわれることや、ビタミンの排泄が増えることによって、チアミン欠乏症と関連がある(1)。ラットに慢性的にアルコールを与えると、腸管上皮におけるチアミンの膜輸送体THTR-1の阻害に関連するチアミンの積極的吸収が減ることが示された(84)。ラットのアルコール摂取は腎臓上皮細胞におけるTHTR-1とTHTR-2の濃度を減らし、それによって腎臓のチアミン再取り込みが制限されてしまう(85)

ライナス・ポーリング研究所の推奨

ライナス・ポーリング研究所は、男性で1,2 mg/日、女性で1.1 mg/日という食品栄養委員会の推奨を支持する。ほとんどの者に十分なチアミンが、様々な食事によって得られるはずである。一日所要量(DV)の100%を含むマルチビタミン/ミネラルのサプリメントを毎日摂取するというライナス・ポーリング研究所の推奨に従えば、少なくとも1.5 mg/日のチアミンが確実に摂取できるであろう。

年配者(50歳超)

現在、年配者のチアミン必要量が増えるというエビデンスはないが、不適切な食事性摂取やチアミンの不足が年配者の集団でより一般的であることがいくつかの研究でわかっている(79)。したがって、年配者はマルチビタミン/ミネラルのサプリメントを摂取することが賢明であり、それによって一般的に少なくとも1.5 mg/日のチアミンが得られる。


Authors and Reviewers

Originally written in 2000 by: 
Jane Higdon, Ph.D. 
Linus Pauling Institute 
Oregon State University

Updated in September 2002 by: 
Jane Higdon, Ph.D. 
Linus Pauling Institute 
Oregon State University

Updated in June 2007 by: 
Victoria J. Drake, Ph.D. 
Linus Pauling Institute 
Oregon State University

Updated in June 2013 by: 
Barbara Delage, Ph.D. 
Linus Pauling Institute 
Oregon State University

Reviewed in July 2013 by: 
Christopher Bates, D.Phil. 
Honorary Senior Scientist 
Formerly Head of Micronutrient Status Research 
MRC Human Nutrition Research 
Elsie Widdowson Laboratory 
Cambridge, UK

Copyright 2000-2024  Linus Pauling Institute


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