茶飲料

目次

English

要約

  • 茶飲料は、学名カメリア・シネンシスという植物の葉を煎じた液体で、いわゆる「ハーブ」茶と混同してはいけない。
  • 茶飲料に含まれる生物活性化学物質は、フラボノイド、カフェイン、およびフッ化物である。(詳細はこちら)
  • 全体的に、ヒトにおける観察研究では、少なくとも毎日3杯を飲用すると心筋梗塞のリスクをやや(11%)減少させる可能性がある。(詳細はこちら)
  • 動物実験の結果が有望であるにもかかわらず、茶飲料の摂取を増やすとヒトのガン予防に役立つかは不明である。(詳細はこちら)
  • 茶飲料の摂取が骨密度と正の相関があるとする研究もあるが、茶飲料の摂取が骨粗しょう症による骨折のリスクを減少させるかは不明である。(詳細はこちら)
  • 茶飲料の摂取が虫歯を減少させ腎臓結石をわずかに減少させる可能性があるという限定的な研究もあるが、これらの結果を確認するにはさらなる研究が必要である。(詳細はこちら)
  • 茶飲料や茶の抽出物が体重減少を促すかは現在では不明である。これにはエネルギー摂取とエネルギー消費を管理した大規模臨床試験が必要である。(詳細はこちら)

 

序論

茶飲料は学名カメリア・シネンシスという植物の葉を煎じた液体で、水以外では世界中で最も広く摂取されている飲料である(1)。ハーブ茶は、カメリア・シネンシス以外の植物やハーブを煎じたもので、ここでは論じない。茶飲料はカフェインやフッ化物などの生物活性のある化学物質をいくつか含んでいるが、茶飲料に含まれるフラボノイドとして知られる種類の化合物が持つ潜在的健康効果には特に関心が持たれている。多くの文化で、茶飲料は食事性フラボノイドの重要な摂取源である。

 

定義

茶飲料の種類

すべての茶飲料はカメリア・シネンシスの葉から作られるが、製造方法の違いで茶飲料の種類も異なる。新鮮な茶葉はカテキン(図1参照)というフラボノイドが豊富である。茶葉は、カテキンとは別に仕切られた部分にポリフェノール酸化酵素も含む。製造過程で故意に茶葉を破砕したり丸めたりすると、ポリフェノール酸化酵素との接触によってカテキンが結合し、テアフラビンおよびテアルビジンという二重体および重合体を作る(図2参照)。この酸化過程は、製茶業では(間違って)「発酵」として知られている。茶葉を蒸したり焙じたりするとポリフェノール酸化酵素が不活性化し、酸化を止める(2)。茶飲料には数千の種類があるが、製造過程での酸化の具合で3つのグループに分けられる。

See the 'Figure 1. Principal catechins in tea' long description under the 'Figure Alternative Text' section on this page.

See the 'Figure 2. Some theaflavins in tea' long description under the 'Figure Alternative Text' section on this page.

白茶および緑茶

白茶は芽や若い葉から作られ、蒸したり焙じたりしてポリフェノール酸化酵素を不活性化し、その後乾燥させる。したがって、酸化の度合いが最低限であるので、新鮮な茶葉に含まれるカテキンを高濃度のまま保持している。緑茶は白茶より成熟した茶葉から作られ、茶葉を蒸したり焙じたりする前にしおれさせることもある。やはりカテキンが豊富ではあるが、緑茶は白茶とはカテキンの特性が異なっていることがあり、酸化物の濃度が少し高い(3)

ウーロン茶

ウーロン茶に使用される茶葉は、茶葉に含まれるポリフェノール酸化酵素を一部出すために「傷つけ」られる。加熱され乾燥される前に、ウーロン茶は白茶や緑茶よりも酸化されるが、酸化の時間は紅茶よりは短い。したがって、ウーロン茶のカテキン、テアフラビン、およびテアルビジンの濃度は、緑茶/白茶と完全に酸化された紅茶の間にあることが一般的である(2)

紅茶

紅茶を作る茶葉は十分に丸めるか破砕されるかして、カテキンとポリフェノール酸化酵素の相互作用を最大化する。乾燥の前に完全に酸化されているので、紅茶はテアフラビンとテアルビジンが豊富だが、EGCGなどの単量体カテキンは比較的少ないものがほとんどである(下の項目を参照)(4)

カップの大きさ

一杯がどのくらいかは国や地域によって異なる。日本では緑茶一杯は典型的に100mlしかないこともある。伝統的なヨーロッパのティーカップは約125~150mlであり、マグカップでは235mlかそれ以上である。

 

茶飲料の生物活性物質

フラボノイド

フラバノールは全種の茶飲料で一番豊富に含まれる種類のフラボノイドである(上記の「茶飲料の種類」参照)。フラバノール単量体はカテキンとしても知られる。白茶および緑茶に含まれる主なカテキンは、エピカテキン(EC)、エピガロカテキン(EGC)、エピカテキンガレート(ECG)、およびエピガロカテキンガレート(EGCG)である(図1参照)(2)。ウーロン茶と紅茶では、テアフラビンおよびテアルビジンがより豊富である(図2参照)。茶飲料は、フラボノールと呼ばれる他種のフラボノイドを摂取するのによい。茶飲料のフラボノールは、ケンフェロール、ケルセチン、ミリセチンなどを含む(図3参照)。フラボノールの含有量は製造工程に最低限しか左右されないので、相当量のフラボノールが全種の茶飲料に含まれる。フラバノールと異なり、フラボノールは通常(糖分子に結合している)グリコシドとして茶飲料に含まれる。フラボノイドに関する詳細情報は、「食事性フラボノイド」の項を参照のこと。

See the 'Figure 3. Flavonol glycosides in tea' long description under the 'Figure Alternative Text' section on this page.

カフェイン

すべての茶飲料は、製造工程で意図的にカフェインを取り除かない限りカフェインを含む。カフェイン含有量は茶飲料の種類によってかなり違うことがあり、煎じる時間、茶葉の量、煎じる水、および茶葉がティーバッグに入っているか否かといった要素に影響される。一般に、マグカップ1杯の茶飲料は、マグカップ1杯のコーヒーの約半分のカフェインを含む(4)。包装の説明書に従って淹れた20以上の緑茶および紅茶のカフェイン含有量を下の表に示す(5)。ウーロン茶のカフェイン含有量は緑茶のそれに匹敵する(6)。白茶はしばしば緑茶と同様に分類されるため、白茶のカフェイン含有量の情報はほとんどない。芽や若い葉は成長した葉よりもカフェイン含有量が多いことが知られており(7)、ある白茶のカフェイン含有量は緑茶よりも若干高い可能性がある(3)

表1 茶飲料とコーヒーのカフェイン含有量(5,8)
茶飲料の種類 カフェイン(mg/l) カフェイン(mg/235ml)
緑茶 40-234 9-63
紅茶 177-333 42-79
ドリップコーヒー 306-553 72-130

フッ化物

茶の木は葉にフッ化物を蓄積する。一般に、葉が古いほど多くのフッ化物を含む(9)。最も高級な茶飲料は芽や初めの二葉または四つ葉、つまり一番若い葉から作られる。低品質のたん茶は最も古い葉から作られ、フッ化物含有量がとても高いことが多い。フッ化物の過剰摂取の症状(歯や骨のフッ素沈着症)は、チベットの子供やたん茶を大量に摂取する成人に見られる(10,11)。たん茶と異なり、緑茶、ウーロン茶、および紅茶のフッ化物濃度は、虫歯予防に推奨される濃度に一般的に匹敵する。したがって、緑茶、ウーロン茶、または紅茶を毎日最大1リットルまで飲んでも、口腔衛生のために推奨される量よりも多くフッ化物を摂取することにはなりにくい(12,13)。白茶は茶の木の最も若い葉や芽から作られるので、白茶のフッ化物含有量は他の茶飲料よりも少ないであろう。17のブランドの緑茶、ウーロン茶、紅茶のフッ化物含有量を下の表に示す(12)。これらの数字は、茶飲料を淹れるのに使った水に含まれるフッ化物の量は含まない。詳細については、フッ化物の項を参照のこと。

表2 茶飲料のフッ化物含有量(12)
茶飲料の種類 フッ化物(mg/l)* フッ化物(mg/235ml)
緑茶 1.2-1.7 0.3-0.4
ウーロン茶 0.6-1.0 0.1-0.2
紅茶 1.0-1.9 0.2-0.5
たん茶 2.2-7.3 0.5-1.7
*5分から360分継続して抽出した重量/体積パーセント濃度1%の茶飲料に含まれるフッ化物

 

疾病予防

心血管疾患

疫学的研究

茶飲料の摂取と、心筋梗塞や脳卒中を含む心血管疾患の発現の関連について、多くの疫学的研究がなされてきた。10の前向きコホート研究と7の症例対照研究の結果をまとめたメタ解析では、毎日マグカップ3杯(約680ml)の茶飲料摂取を増やすと、心筋梗塞のリスクが11%減った(14)。しかしながら、これらの結果の解釈には注意が必要である。なぜならば、予防効果を示唆する研究結果発表への偏向が入っているからである。それ以来、その他の前向きコホート研究の結果はまちまちである。オランダ人男女を対象とした6年間の研究では、毎日少なくとも3杯(約370ml)以上を摂取した者は、まったく飲まない者に比べて心筋梗塞のリスクがぐっと減った(15)。米国の女性を対象にした7年間の研究では、重大な血管疾患(心筋梗塞、脳卒中、または心血管疾患による死亡)のリスクが、毎日少なくとも4杯の紅茶を飲む少数の女性にはかなり少なかった(16)。しかしながら、このグループの人数がとても限られていたため、この結果の重要性は不明である。米国人男性を対象とした15年間の研究では、茶飲料の摂取と心血管疾患のリスクに関連は見られなかったが、このグループでの茶飲料の摂取は平均で一日あたり1杯と比較的少ない(17)。全体的に、紅茶を毎日少なくとも3杯以上摂取すると、心筋梗塞のリスクがやや減る可能性があることが過去の研究で示唆されている。40,530人の日本人成人を対象にした最近の前向きコホート研究では、すべての死因や心血管にまつわる死亡率の減少と緑茶の摂取に関連があると報告されている(18)。特に、毎日1杯未満しか茶飲料を飲まない場合と比べて、毎日5杯以上の緑茶を飲むと、すべての死因による死亡率で16%、心血管疾患による死亡率で26%の減少が見られた。どちらも女性の方が男性よりもこの関連が強く、心血管疾患の中でも脳卒中による死亡率との負の相関性が一番強かった(18)。したがって、緑茶の摂取は心血管疾患の発症を防ぐ可能性があるが、確固たる結論を出すにはさらなる研究が必要である。

内皮機能(血管の拡張)

血管の内皮細胞は、動脈の弛緩(血管拡張)を促す化合物である一酸化窒素を生成することで、心臓血管の健康状態を維持するのに重要な役割を果たしている(19)。内皮での一酸化窒素生成による動脈の血管拡張は、内皮依存性血管拡張と呼ばれる。2つの対照臨床試験の結果から、4週間にわたって毎日4~5杯(900~1,250ml)の紅茶を摂取すると、同等のカフェインのみか白湯を摂取した場合に比べて、冠動脈疾患(20)や、血清コレステロール濃度(21)がやや高い患者の内皮依存性血管拡張が著しく改善した。この改善は、同量の白湯の場合と比べて顕著であった。これらの研究の中の1つでは、茶飲料と同等のカフェインは内皮依存性血管拡張には何らの短期的効果もなかった。したがって、茶飲料のカフェイン以外の成分が、報告された短期的血管拡張に有効である可能性がある。実際、茶飲料に含まれるフラボノイドはそのような効果を及ぼす可能性がある(22)。詳細はフラボノイドの項を参照されたい。緑茶またはその主要なカテキンであるEGCGが同様の血管拡張効果を持つ可能性があることを示すいくつかの小規模な研究もある(23-25)。茶飲料の摂取による血管内皮機能に対する薬効で、いくつかの疫学的研究に見られる心血管疾患リスクの穏やかな低下が説明しやすくなるのかもしれない。

がん

動物試験

緑茶や紅茶は、皮膚がん、肺がん、口腔がん、食道がん、胃がん、大腸がん、すい臓がん、膀胱がん、および前立腺がんを含む様々な動物モデルにおいてがん予防活性を持つことが知られている(26,27)。加えて、白茶と緑茶はマウスの腸ポリープを抑制することが示された。(「Tea Compliments Drugs in Fight Against Colon Cancer」を参照。)ほとんどの場合、茶飲料のがん予防効果にはフラボノイドが著しく貢献しているようである。しかし、皮膚がん(28)、肺がん(29)、および大腸がん(30)の動物モデルでカフェインもがん予防効果があることが知られている。茶飲料のフラボノイドの薬効は、しばしばその酸化防止活性によるものだとされてきた。しかし、ヒトの血漿および組織の酸化防止活性における茶飲料フラボノイドの全体的な貢献は、最近では比較的小さいと考えられている(31)。現在では、茶飲料のフラボノイドが健康な細胞からがん細胞への変化を促す細胞信号伝達経路を調整する可能性が注目されている(32,33)。フラボノイドの生物活性に関する詳細は、「食事性フラボノイド」の項を参照のこと。

疫学的研究

動物試験での有望な結果にもかかわらず、茶飲料の摂取を増やすとヒトのがん予防に役立つかは不明である。異なる種類のがんについての多数の疫学的研究の結果では、緑茶や紅茶の摂取ががんのリスクの大幅な低下と関連するという一貫した根拠はない(34)。40,530人の日本人成人が参加した大崎国民健康保険加入者コホート研究という最近の前向きコホート研究では、全体的ながんの死亡率、または胃がん、肺がん、結腸直腸がんによる死亡率と緑茶の摂取は関係がなかったと報告されている(18)。茶飲料は消化管と直接接触するので、茶飲料の摂取を増やすことが胃がんおよび大腸がんの予防になるのかに特に関心が集まった。緑茶を多く摂取すると胃がんのリスクが減るという症例対照研究もあったが、前向きコホート研究では日本人男性および女性における茶飲料の摂取と胃がんリスクの逆相関という結果は支持されていない(35-39)。大腸がんの動物モデルにおける有望な発見(40)にもかかわらず、大部分の疫学的研究は、茶飲料の摂取が結腸直腸がんのリスク低下に関連するという結果になっていない(41,42)。症例対照および前向き研究のメタ解析は、現在あるデータでは緑茶または紅茶が結腸直腸がんを予防するとは示されていないと結論づけている(43)。より新しくは、160万人以上の参加者による51の研究の再調査で、緑茶の摂取が様々ながんを予防するという説得力のある根拠はないと結論づけられた(84)

がんの動物モデルからの発見とヒトでの疫学的研究とのずれには、いくつかの理由が考えられる。種の違いによる潜在的な理由は別として、血漿および組織での茶飲料のフラボノイド濃度が予防効果を実際に現すほど十分になるまで茶飲料を飲むのは難しい可能性がある。一般に、フラボノイドは急速に代謝され体内から排出されるが、これにはかなりの個人差がある(44)。カテコール-O-メチル基転移酵素(COMT)は、フラボノイドの代謝に関わる酵素の1つである。COMTの遺伝子には、低活性型と高活性型の2つの形態がある。症例対照研究では、緑茶の摂取が多いと、少なくとも1つの低活性型COMTの遺伝子を持つ女性のみに乳がんリスクが低下する相関が見られた。これは、緑茶のフラボノイドを除去するのがより非効率な者は、茶飲料の摂取が有益である可能性を示す(45)。茶飲料の摂取とがんのリスクとの関係は複雑であろうから、茶飲料の摂取とがん予防に関して特定の推奨がなされる前に、さらなる研究が必要である。詳細な議論は、ライナス・ポーリング研究所のニュースレターに掲載のRoderick H. Dashwoodの「Tea and Cancer」および「Tea Time」という2つの記事を参照されたい。

骨粗しょう症

骨粗しょう症の発症には、栄養、運動、および遺伝的要因を含む多くの要因が影響する。カフェイン、フッ化物、およびフラボノイドといった茶飲料の成分は、骨密度(BMD)に影響する可能性がある(46)。紅茶の摂取が米国人女性の骨密度を若干低下させたという横断研究が1つだけある(47)。しかし他の3つの横断研究では、習慣的に茶飲料を摂取することと、英国人女性(48)、カナダ人女性(49)、および台湾人男女(46)で骨密度がより高いこととが関連しているとわかった。164人の年配の女性による前向き研究では、茶飲料の摂取は加齢による大腿骨近位部骨密度の減少を鈍らせるとの結果になった(50)。股関節骨折は、骨粗しょう症の最も重篤な結果の一つである。地中海諸国の大規模な症例対照研究では、茶飲料の摂取が少ないと、男性(51)および女性(52)の股関節骨折リスクが高まるとわかった。しかしながら、米国人女性を4~6年にわたって追跡した2つの大規模前向きコホート研究では、茶飲料の摂取と股関節または手関節骨折には何の関係もなかった(53,54)。これらの2つの研究の最新結果では、茶飲料の摂取が多いと閉経後の女性の骨密度が若干上昇するとわかったが、この発見が股関節や手関節の骨折リスクにそのまま当てはまるわけではない(53)。茶飲料の摂取が骨粗しょう症の発症や骨粗しょう症による骨折に有意に影響しているのかを決定するには、さらなる研究が必要である。

虫歯

茶飲料のフッ化物濃度は、米国で虫歯を予防するための水道水供給に推奨されている濃度に匹敵する(55)。緑茶、紅茶、およびウーロン茶の抽出物は、試験管内で虫歯を作るバクテリアの成長や酸の生成を抑制することが知られていた(56-58)。動物モデルでは茶飲料の抽出物が虫歯を予防したり減らしたりすることが報告されているものの、ヒトの虫歯に対する茶飲料の摂取の効果を調べた研究報告はほとんどない。14歳の子供6,000人以上を対象にした英国での横断研究で、茶飲料を摂取する者はそうでない者よりかなり虫歯が少なかった。この結果は、茶飲料に砂糖を入れるかどうかには無関係であった(60)。虫歯についての詳細は、「フッ化物」の項を参照されたい。

腎臓結石

2つの大規模前向き研究では、腎臓結石の兆候の発現リスクは、毎日茶飲料をマグカップ1杯(235ml)飲むことで、女性で8%(61)、男性で14%(62)減少した。マウスを使った研究では、緑茶の抗酸化物質がシュウ酸カルシウムの沈殿析出とそれによる腎臓結石の形成を抑制している可能性があるとしている(63)。これらの発見が、シュウ酸カルシウム結石の病歴がある個人にどのような意味があるかは不明である。茶飲料を含む水分摂取を多くすることは、一般的に最も効果的で経済的な腎臓結石の予防方法であると考えられている(64)。しかしながら、茶飲料の摂取は健康な個人の尿中シュウ酸塩濃度を上げることわかっており(65)、シュウ酸カルシウム結石の病歴のある者は茶飲料の摂取を制限するべきであると勧め続けている専門家もいる(66)

体重減少

体重減少は、長期的なエネルギー摂取の減少やエネルギー消費の増加によってなされるものである。いくつかの小規模な短期的試験では、ウーロン茶(67,68)または緑茶(69)の抽出物の摂取でエネルギー消費が3~4%とやや増加したとの報告がある。しかしながら、これらの研究のどれもが特に体重減少を評価しようと考えられたものではない。最近では、非常に低カロリーの食事を4週間守って体重を平均で7.5%減少させた過体重の男女による臨床試験で、(573mg/日のカテキンと104mg/日のカフェインを含む)緑茶抽出物カプセルはプラセボと比べてその後8週間の体重リバウンドを防ぐ効果は特になかった(70)。同じ研究者グループによる追跡調査では、習慣的なカフェイン摂取が少ない者(300mg/日未満)は体重減少後の体重リバウンドが緑茶抽出物のサプリメントで予防されたが、習慣的にカフェインを多く摂取している者(300mg/日より多い)はそうではなかったと報告している(71)。35人の過体重の男性による12週間にわたる最近の介入試験では、緑茶抽出物(690mg/日のカテキン)を豊富に含むウーロン茶を与えられた者は、ふつうのウーロン茶(33mg/日のカテキン)を与えられた者よりも、体重、肥満度指数(BMI)、腹囲、体脂肪量、および皮下脂肪面積の有意な減少がみられたと報告された(72)。茶飲料または茶抽出物がヒトの体重減少を促進したり体重維持をよくしたりするかを決定するには、エネルギー摂取と運動をコントロールした大規模介入試験が必要である。興味深いことに、動物モデルの研究では、緑茶、紅茶、またはカフェイン含有水溶液を飲ませたマウスの組織脂肪のレベルが低下したと示されている(28)

 

安全性

悪影響

茶飲料

茶飲料は、大量に摂取しても一般に安全であると考えられている。しかしながら、年配者の低カリウム血症(血清カリウム濃度が異常に低い状態)が2件あり、これは紅茶やウーロン茶を過剰に(3~14リットル/日)摂取したことによるものである(73,74)。低カリウム血症は、カフェインの毒性に関連して命にかかわる危険性もある状態である。

茶抽出物

カフェイン添加した緑茶抽出物を用いた臨床試験では、6g/日を3~6回に分けて摂取したがん患者には、吐き気、嘔吐、腹痛、および下痢といった軽度または中度の胃腸への副作用があった(75,76)。激越(感情の昂ぶり)、不穏状態、不眠、振戦(ふるえ)、めまい、および錯乱といった中枢神経系の症状も報告されている。あるケースでは、錯乱状態がひどく入院が必要であった(75)。これらの副作用は、緑茶抽出物に含まれるカフェインに関連している可能性が高い(76)。健康な個人でカフェイン除去した緑茶抽出物(800mg/日のEGCG)の安全性を4週間調べた臨床試験では、軽度の吐き気、胃のむかつき、めまい、または筋肉痛を報告した参加者が少数いた(77)

妊娠期および授乳期

妊娠中または母乳を授乳中の女性に対する茶抽出物またはそのサプリメントの安全性は確立していない。カフェイン摂取を300mg/日までに制限するように妊婦に勧める機関もある。これは、カフェイン摂取量が多いと流産や低出生体重になるリスクが高くなるという疫学的研究があるためである(78)

薬物相互作用

緑茶

緑茶の過剰摂取は、抗凝固剤であるワルファリン(クマジン)の治療効果を下げる可能性がある。そのような効果は、1.9~3.8リットルの緑茶を毎日飲むようになったある患者について報告された(79)。ワルファリンで治療している者が緑茶を完全に避ける必要はないであろうが、大量の緑茶はその効果を下げる可能性がある(80)

カフェイン

かなりの薬物はカフェインの代謝を損なう可能性があり、カフェインによる悪影響を増長させる危険性がある(81)。そのような薬物には、シメチジン(タガメット)、ジスルフィラム(アンタビュース)、エストロゲン、フルオロキノロン系抗生物質(シプロフロキサシン、エノキサシン、ノルフロキサシンなど)、フルコナゾール(ジフルカン)、フルボキサミン(ルボックス)、メキシレチン(メキシチール)、リルゾール(リルテック)、テルビナフィン(ラミシール)、およびベラパミル(カラン)などがある。カフェインの摂取が多いと、アルブテロール(アルーペント)、クロザピン(クロザリル)、エフェドリン、エピネフリン、モノアミン酸化酵素阻害薬、フェニルプロパノールアミン、およびテオフィリンなどの薬物の毒性を増長する可能性がある。リチウムを摂取している者は、急にカフェイン摂取をやめると血清リチウム濃度が増加することが知られており、リチウム毒性を高める可能性がある。

栄養素との相互作用

ノンヘム鉄

茶飲料のフラボノイドはノンヘム鉄と結合し、小腸でのノンヘム鉄の吸収を阻害する可能性がある。ノンヘム鉄は、植物性食品、乳製品、および鉄のサプリメントに含まれる鉄の主要な形態である。食事と一緒に1杯の茶飲料を摂取すると、その食事に含まれるノンヘム鉄の吸収を約70%減らすことがわかっている(82,83)。食事や鉄のサプリメントからの鉄の吸収を最大化するには、茶飲料を同時に摂取してはいけない。


Authors and Reviewers

Originally written by:
Jane Higdon, Ph.D.
Linus Pauling Institute
Oregon State University

Updated in January 2005 by:
Jane Higdon, Ph.D.
Linus Pauling Institute
Oregon State University

Updated in January 2008 by:
Victoria J. Drake, Ph.D.
Linus Pauling Institute
Oregon State University

Reviewed in January 2008 by:
Roderick H. Dashwood, Ph.D.
Director, Cancer Chemoprotection Program, Linus Pauling Institute
Professor of Environmental & Molecular Toxicology
Oregon State University

Copyright 2002-2026  Linus Pauling Institute


Figure Alternative Text

Figure 1. Principal catechins in tea

The figure shows the chemical structures of the main catechins in tea: (-)-epicatechin, (-)-epigallocatechin, (-)-epicatechin gallate, and (-)-epigallocatechin gallate.

Figure 2. Some theaflavins in tea

The figure shows a general structure of a theaflavin molecule, with two variable positions labeled R1 and R2. A separate structure of the gallate group is also shown. A table lists the R-groups and resulting compounds:

  • Theaflavin: R1=OH, R2=OH
  • Theaflavin-3-gallate: R1=OH, R2= gallate group
  • Theaflavin-3’-gallate: R1=gallate group, R2=OH
  • Theaflavin-3,3’-digallate: R1=gallate group, R2=gallate group

Figure 3. Flavonol glycosides in tea

The figure shows the chemical structures of some flavonol glycosides found in tea. A generic flavonol glycoside structure with two variable groups labeled R1 and R2 is shown.  A table lists the R-groups and resulting compounds:

  • Kaempferol: R1=H, R2=H
  • Quercetin: R1=OH, R2=H
  • Myricetin: R1=OH, R2=OH

References

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