目次

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要旨

  • 鉄は酸素輸送、エネルギー生産、およびDNA合成といった不可欠な生物学的機能を支える数百のタンパク質や酵素の必須成分である。ヘモグロビン、ミオグロビン、シトクロム、およびペルオキシダーゼは、それらの生物学的活性のために補欠分子族として鉄を含むヘムを必要とする。(詳細はこちら)

  • 体はほとんど鉄を排泄しないので、鉄の代謝はきっちりと調整されている。特に、鉄の調整ホルモンであるヘプシジンは、体の鉄の貯蔵が必要量を満たすのに十分な場合に食事性の鉄の吸収を阻止し、細胞での鉄のゼクエストレーション(分離)を促進し、鉄の生物学的利用性を下げる。(詳細はこちら)

  • 健康な男性と妊娠していない女性では、鉄の栄養状態は血清フェリチン(鉄貯蔵タンパク質)、血清鉄、総鉄結合能、トランスフェリン(血液中の主要な鉄輸送体)飽和度、および可溶性トランスフェリン受容体を測定する臨床検査を使用して評価できる。(詳細はこちら)

  • 鉄欠乏症は、体の蓄えが枯渇した後でも細胞への鉄の供給が不適切であることから起こる。小球性低色素性貧血は、体の鉄の貯蔵が少なくヘモグロビンの合成や赤血球の生成が深刻に損なわれた場合に起こる。(詳細はこちら)

  • 鉄欠乏症は世界中で最も一般的な栄養素欠乏症で、主に子供、妊娠可能年齢の女性、妊婦、頻繁な献血者、および特定の医学的症状のある者に影響する。(詳細はこちら)

  • 鉄必要量のかなりの部分は、老化した赤血球から鉄を再利用することで賄われる。鉄の推奨量(RDA)は、男性および閉経後の女性で8mg/日、閉経前の女性で18mg/日、および妊婦で27mg/日である。(詳細はこちら)

  • 子供の貧血を伴うまたは伴わない鉄欠乏症は、認知発達不良、学業成績不良、および異常な行動パターンと関連づけられてきた。限定的なエビデンス(科学的根拠)では、3歳より若い貧血性鉄欠乏症乳幼児の精神運動発達や認知機能に鉄の補給は何の効果もないが、それより年長の子供、青少年、および貧血および/または鉄欠乏症の女性の注意力や集中力を向上させるかもしれないことが示唆されている。(詳細はこちら)

  • ヘム鉄は動物性食品に含まれるヘモグロビンやミオグロビンに由来し、肉食者の全食事性鉄摂取量の10~15%を占める。しかし、植物性および動物性食品に見られる非ヘム鉄よりもヘム鉄はずっと吸収されやすいので、ヘム鉄は吸収された鉄全体の最大40%を占める。(詳細はこちら)

  • 遺伝性ヘモクロマトーシスを患う者の重要臓器に有毒な鉄が沈着することは、肝臓がんおよび2型糖尿病を含む多くの慢性症状と関連付けられてきた。ヘム鉄摂取の増加および/または鉄の恒常性喪失も、遺伝性の障害がない個人の慢性疾患リスクを上昇させるかもしれない。(詳細はこちら)

  • 鉄の補給は胃腸への刺激、吐き気、嘔吐、下痢、または便秘を起こすかもしれず、抗生物質や骨粗鬆症、甲状腺機能低下症、またはパーキンソン病の症状を治療する薬物を含む特定の薬剤の吸収や効能に支障をきたすかもしれない。(詳細はこちら)


鉄は地殻で4番目に多い元素であり、栄養科学で最もよく研究された微量栄養素の一つである(1, 2)。それはすべての生体の代謝における主要元素である。鉄は、第一鉄(Fe2+)と第二鉄(Fe3+)という生物学的に関連のある2つの酸化状態で存在する。鉄は、酸素輸送、エネルギー生産、DNA合成、および細胞の増殖と複製などの本質的な生物学的機能を支える数百のタンパク質や酵素の必須成分である。

機能

ヘムは、多くの生物学的に重要な分子に見られる鉄含有化合物である(図1)。すべてではないがいくつかの鉄依存性タンパク質は、ヘム含有タンパク質(ヘムタンパク質とも呼ばれる)である。広範囲な生物学的活動をする鉄依存性タンパク質を、以下のように分類してもよい(1, 3)

  • グロビン-ヘム(グロビンと結合したヘム):酸素の輸送や貯蔵に関連する非酵素的タンパク質(ヘモグロビン、ミオグロビン、ニューログロビンなど)

  • 電子の輸送に関連するヘム酵素(シトクロムa,b,fやシトクロムCオキシダーゼなど)および/またはオキシダーゼ活性(酸化酵素活性)を持つヘム酵素(亜硫酸オキシダーゼ、シトクロムP450オキシダーゼ、ミエロペルオキシダーゼ、ペルオキシダーゼ、カタラーゼ、内皮型一酸化窒素合成酵素、シクロオキシゲナーゼなど)

  • エネルギー生産に関わる酸化還元酵素活性を持つ鉄-硫黄(Fe-S)クラスタータンパク質(コハク酸脱水素酵素、イソクエン酸脱水素酵素、NADH脱水素酵素、アコニターゼ、キサンチン酸化酵素、フェレドキシン-1など)、またはDNAの複製や修復に関わるもの(DNAポリメラーゼ、DNAヘリカーゼ)

  • 触媒的作用の補助因子として鉄を必要とする非ヘム酵素(フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、およびリジン水酸化酵素;低酸素誘導因子(HIF)プロリルヒドロキシラーゼとアスパラギニルヒドロキシラーゼ;リボヌクレオチド還元酵素など)

  • 鉄の輸送や貯蔵を担う非ヘムタンパク質(フェリチン、トランスフェリン、ハプトグロビン、ヘモペキシン、ラクトフェリンなど)

鉄含有タンパク質は多くの機能を支えているが、そのいくつかを以下に示す。

Figure 1. Structure of Heme b.

酸素の輸送と貯蔵

グロビン-ヘムは酸素の輸送や貯蔵に関わるヘム含有タンパク質であり、それよりは関与が低いがフリーラジカル(遊離基)の消去剤としても作用しているかもしれない(1)。ヘモグロビンは赤血球に見られる主要なタンパク質であり、体内の鉄の約三分の二を占める(3)。肺からそれ以外の体内へ酸素を輸送するというヘモグロビンの極めて重要な役割は、それが肺と接する短時間に急速に酸素を獲得することができる能力と、組織を巡っている間に必要に応じて酸素を放出するという能力によるものである。ミオグロビンは酸素の輸送および筋肉細胞での短時間貯蔵中に機能し、運動している筋肉からの需要と酸素の供給とが釣り合うように助ける(1)。ニューログロビンと呼ばれる第三のグロビンは中枢神経系で優先的に発現するが、その機能はよくわかっていない(4)

電子の輸送とエネルギー代謝

シトクロムは、細胞のエネルギー生産、つまり生命に必要なミトコンドリアの電子輸送に重要な役割を持つヘム含有酵素である。特に、細胞における主要なエネルギー貯蔵化合物であるATPの合成の際に、シトクロムは電子運搬体として働く。シトクロムP450(CYP)は、多くの重要な生物学的分子(有機酸、脂肪酸、プロスタグランジン、ステロイド、ステロール、およびビタミンA、D、Kを含む)の代謝に関わる酵素ファミリーであり、解毒作用や薬物および汚染物質の代謝にも関わっている。NADH脱水素酵素、およびコハク酸脱水素酵素などのクエン酸回路における非ヘムの鉄含有酵素も、エネルギー代謝に重要である(1)

抗酸化剤および有益な酸化促進剤の機能

カタラーゼやいくつかのペルオキシダーゼは、潜在的に有害な活性酸素種(ROS)である過酸化水素の蓄積から、過酸化水素を水と酸素に変換する反応の触媒作用をすることで細胞を護るヘム含有酵素である。免疫反応の一部として、ある種の白血球は細菌を取り込んでそれらを殺すためにROSに晒す。好中球によるそのようなROSの一つである次亜塩素酸の合成は、ヘム含有酵素であるミエロペルオキシダーゼによって触媒される(1)

さらに甲状腺では、ヘム含有の甲状腺ペルオキシダーゼが甲状腺ホルモン生成のためのサイログロブリンのヨウ素化を触媒しており、鉄欠乏症や鉄欠乏症性貧血の際に甲状腺の代謝が損なわれる可能性がある(「栄養素相互作用」の項参照)。

酸素の感知

高地に住む者や慢性肺疾患の者が経験するような不適切な酸素濃度(低酸素症)は、赤血球の生成増加、血管成長(血管生成)増加、および嫌気性代謝で使用される酵素の生成増加を含む補償的な生理学的反応を引き起こす。低酸素症は、虚血/脳卒中や炎症性障害などの病態でも見られる。低酸素の状態では、低酸素誘導因子(HIF)として知られる転写因子が低酸素症への補償的反応に関わる様々なタンパク質を符号化する遺伝子中の応答配列と結合し、その合成を増やす。ジオキシゲナーゼファミリー(二原子酸素添加酵素ファミリー)の鉄依存性酵素であるHIFプロリルヒドロキシラーゼ(HIFプロリン水酸化酵素)とアスパラギニルヒドロキシラーゼ(HIF-1阻害因子(FIH-1))は、HIFの調整に関連している。細胞の酸素分圧が適正な時には、新規に合成されたHIF-αサブユニット(HIF-1α、HIF-2α、HIF-3α)は、急速な分解のためにHIF-αを標的にした鉄/2-オキソグルタル酸依存性のプロセスにおいてHIFプロリルヒドロキシラーゼによって修飾される。FIH-1に誘発されたHIF-αのアスパラギニルヒドロキシル化は、HIF-α転写複合体に対する活性化補助因子の補充を減らし、その結果HIF-αの転写活性を防いでしまう。細胞の酸素分圧が危機的なしきい値より低くなると、プロリルヒドロキシラーゼはもはやHIF-αを分解の標的にすることができない。するとHIF-αとHIF-βの結合を許すことになり、細胞核に入りエリスロポエチン遺伝子(EPO)のような標的遺伝子の特定の低酸素応答配列(HRE)と結合する転写複合体を生成する(5)

DNA複製と修復

リボヌクレオチド還元酵素(RNR)は、DNA複製に必要なデオキシリボヌクレオチドの合成を触媒する鉄依存性酵素である。RNRは、DNA損傷に反応してDNA修復も促進する。DNAポリメラーゼやDNAヘリカーゼなどのDNA合成や修復に不可欠なその他の酵素は、鉄硫黄(Fe-S)クラスタータンパク質である。根本となるメカニズムは未だにはっきりしないが、細胞内の鉄の枯渇は、細胞の周期進行、成長、および分裂を阻害することがわかっている。ヘム合成の阻害も、乳がん細胞では細胞周期の停止を誘発する(6)

鉄は、成長、生殖、治癒、および免疫機能を含むその他の多くの重要な機能に必要である。

調整

鉄の恒常性の全身的調整

鉄は不可欠な無機質であるが、細胞内の遊離した鉄は酸化ストレスや細胞損傷を引き起こすフリーラジカルの生成につながるかもしれないため、鉄は潜在的に毒性を持つ。したがって、体が全身の鉄の恒常性を調整することが重要である。体は発育中の赤血球(赤芽球)、体を循環するマクロファージ、鉄を貯蔵する肝細胞、およびその他の組織などの様々な部位への鉄の輸送を厳しく調整する(7)。細胞内の鉄の濃度は体の鉄の需要に従って調整されるが(下記参照)、細胞外のシグナルもヘプシジンの作用を通して体の鉄の恒常性を調整する。

主に肝細胞で合成されるペプチドホルモンであるヘプシジンは、全身の鉄の恒常性の主要な制御因子である。ヘプシジンは鉄排出タンパク質であるフェロポーチン-1の内部移行と分解を誘発することができる。フェロポーチン-1は腸細胞、肝細胞、および鉄を再利用するマクロファージなどの特定の細胞から血漿への鉄の放出を調整する(8)。体の鉄濃度が低かったり鉄欠乏性貧血の状態の時には、ヘプシジンの発現が最小限になり、食事からの鉄の吸収や体の貯蔵からの鉄の移動ができるようにする。対照的に、鉄の貯蔵が十分だったり鉄が過負荷になっている時には、ヘプシジンは食事性の鉄の吸収を阻害し、細胞の鉄のゼクエストレーション(分離)を促進し、鉄の生物学的利用性を下げる。ヘプシジンの発現は炎症や小胞体ストレスの状態では上方制御され、低酸素では下方制御される(9)。2B型ヘモクロマトーシス(血色素症)では、ヘプシジンの遺伝子であるHAMPの突然変異によるヘプシジン欠乏症が組織における異常な鉄の沈着を起こす(「鉄の過負荷」の項参照)。留意したいのは、体を襲う微生物の鉄の利用性を制限することで、ヘプシジンは自然免疫応答における主要な抗菌的役割をしていると考えられることである(「感染中の鉄捕獲防御」の項参照)(10)

細胞内の鉄の調整

鉄応答エレメント(IRE)は、鉄の貯蔵、輸送、および利用の調整における重要なタンパク質を符号化するメッセンジャーRNA(mRNA)の中に見られるヌクレオチドの短配列である。鉄調整タンパク質(IRPすなわちIRP-1、IRP-2)はIREと結合可能で、mRNAの安定性と翻訳を制御し、それによってフェリチン(鉄貯蔵タンパク質)やトランスフェリン受容体-1(TfR;細胞の鉄の取り入れを制御する)などの特定のタンパク質の合成を調整する(1, 2)

鉄の供給が少ない時は、鉄は貯蔵や血漿への放出に利用できない。IRPと結合する鉄が少なくなり、IRPはIREと結合するようになる。フェリチンとフェロポーチン-1(鉄排出タンパク質)を符号化するmRNAの5'端にあるIREとIRPが結合すると、mRNAの翻訳とタンパク質合成が阻害される。未成熟な赤血球におけるヘム合成の重要な調整酵素を符号化するmRNAの翻訳も、鉄の保持のために減る。対照的に、TfRと二価金属輸送体-1(DMT1)を符号化するmRNAの3'端にあるIREに結合するIRPは、鉄の輸送体の合成を促進し、それによって細胞への鉄の取り込みを増やす(1, 2)

鉄の供給が多い時はより多くの鉄がIRPと結合し、それによってmRNAのIREとIRPの結合が防がれる。これによって鉄の貯蔵に関係するタンパク質(フェリチン)と排出に関連するタンパク質(フェロポーチン-1)の合成が増え、鉄の輸送体(TfRとDMT1)の合成が減って鉄の取り込みが限定されるようになる(2)。脳内でもIRPはアミロイド前駆体タンパク質(APP)mRNAの5'端との結合が妨げられ、それによってAPPの発現が可能になっている。APPはフェロポーチン-1の安定化によってニューロン(神経細胞)からの鉄の排出を促進する。パーキンソン病(PD)ではAPPの発現が不適切に抑制され、ドーパミン作動性ニューロンに鉄が蓄積することになる(11, 12)

感染中の鉄捕獲防御

鉄はほとんどの感染病原体が成長し拡散するために必要であり、感染された宿主も効果的な免疫反応を開始するために鉄が必要である。Tリンパ球の分化と増殖、および病原体を殺すための活性酸素種(ROS)の発生にも鉄が十分にあることが重要である(13)。感染中および炎症中にはヘプシジンの合成が上方制御され、血清鉄濃度が下がり、フェリチン(鉄貯蔵タンパク質)濃度が上がる。このことは、病原体から鉄を隔離することが宿主の重要な防御メカニズムであるという考えを裏付けている(2)

鉄の再利用

成人の体における鉄の総含有量は女性で2.3g、男性で3.8gと推定されている(2)。体は鉄をほとんど排泄しない。基礎的な喪失、月経による出血、および新しい組織の生成のための鉄の需要は、毎日少量の食事性の鉄(1~2mg/日)を吸収することで補われている。体内の鉄は主に赤血球にあり、ヘモグロビン1gあたり3.5mgが含まれている。老化した赤血球は脾臓でマクロファージに取り込まれ、約20mgの鉄がヘムの再利用によって毎日回収される。放出された鉄は脾臓のマクロファージのフェリチンに貯蔵されるか、鉄をその他の組織に運ぶトランスフェリン(血中の主要な鉄輸送体)へとフェロポーチン-1(鉄排出タンパク質)によって運ばれる。鉄の再利用は非常に効率的であり、毎日約35mgが再利用される(1)

鉄の栄養状態の評価

鉄の貯蔵量、体内循環している鉄の量、および血液学的パラメータの測定は、炎症性障害、寄生虫感染、および肥満のない健康な人々の鉄の栄養状態の評価に使用可能である。一般的に使用される鉄の状態のバイオマーカーは、血清フェリチン(鉄貯蔵タンパク質)濃度、血清鉄濃度、総鉄結合能(TIBC)、およびトランスフェリン(血中の主要な鉄輸送体;TSAT)飽和度などがある。可溶性トランスフェリン受容体(sTfR)も、鉄の貯蔵が枯渇している際の鉄の栄養状態の指標である。鉄欠乏症および鉄欠乏性貧血の場合には、二鉄トランスフェリンと結合する細胞表面結合トランスフェリン受容体が増やされ、利用可能な鉄の取り込みを最大化する。したがって、細胞結合トランスフェリン受容体の分割によって増えたsTfRの濃度が鉄の欠乏時には上昇する。ヘモグロビン濃度、平均赤血球ヘモグロビン濃度、平均赤血球容積、および網赤血球ヘモグロビン含量を含む血液学的マーカーは、貧血がある場合の異常を検出するのに役立つ(9, 14)

留意したいのは、血清フェリチンは炎症によって上方制御される急性相反応タンパク質であることだ。重要なことに、病原体による利用性を制限するために炎症によって血清ヘプシジン濃度も上昇する。したがって炎症の可能性を除外するために、鉄の栄養状態を評価する際には炎症マーカー(C反応性タンパク質、フィブリノゲンなど)も含めることが大切である(14)

栄養素相互作用

ビタミンA

ビタミンA欠乏症はしばしば鉄欠乏症とともに現れ、鉄の代謝を変化させることで鉄欠乏性貧血を悪化させるかもしれない(15)。ビタミンA補給は鉄欠乏性貧血に有益であり、子供や妊婦の鉄の栄養状態を向上させることが示されてきた(15, 16)。ビタミンAと鉄の組み合わせは、鉄またはビタミンA単独での補給よりも貧血を効果的に治すようである(17)。ヘモグロビンに取り込むために、ビタミンAは貯蔵場所から発育中の赤血球への鉄の移動を促進するのかもしれない(15, 16)。さらに、ラットでの研究では鉄欠乏症が血漿および肝臓のビタミンA濃度を変えることが示されている(18, 19)

銅の栄養状態が適切であることは、正常な鉄の代謝と赤血球の生成に必要である。貧血は銅欠乏症の臨床的兆候であり、鉄は銅欠乏症の動物の肝臓に蓄積することがわかっている。このことから銅は(銅を含んだセルロプラスミンを介して)、赤血球生成のための骨髄への鉄の輸送に必要であることが示される(20)。銅の利用性と鉄の代謝との関連は、ヒトでも確立している。銅欠乏症は、二次性セルロプラスミン欠乏症や肝臓での鉄の過負荷および/または肝硬変へと至る可能性がある(21)。銅欠乏症の被験者においては、経口銅補給によって正常なセルロプラスミン濃度や血漿フェロキシダーゼ活性が回復し、鉄の代謝障害が補正された(22)。さらに、高い鉄濃度の調乳を飲んだ乳児は低い鉄濃度の調乳を飲んだ乳児よりも銅の吸収が少なかったため、鉄の高摂取が乳児の銅の吸収に支障をきたすかもしれないことが示唆される(23)

亜鉛

亜鉛は赤血球生成を適切に維持するために必須である。鉄欠乏症と亜鉛欠乏症が同時に起こると、鉄欠乏性貧血を悪化させるかもしれない(24)。その一方、空腹で高用量の鉄サプリメントを亜鉛のサプリメントと同時に摂取すると、亜鉛の吸収が阻害されるかもしれない。食物と一緒に摂取すると、鉄のサプリメントは亜鉛の吸収を阻害しないようである。鉄強化食品が亜鉛吸収を損なうことはない(25, 26)

カルシウム

カルシウムがあると、非ヘム鉄(肉、家禽の肉、および海産物以外の食物源およびほとんどのサプリメント由来)およびヘム鉄の摂取源からの鉄吸収が減る(27)。しかし、最長12週間までカルシウムの補給をしても、おそらくは鉄の吸収を増やして補ったため、鉄の栄養状態は変化しなかったことがわかっている(28)。鉄のサプリメントを摂取している個人は、カルシウムの豊富な食物やサプリメントの摂取から2時間空けて鉄の吸収を最大化するようにすべきである。

ヨウ素

重篤な鉄欠乏性貧血は、次のように甲状腺代謝を損なうことがある。それらは (1) 脳下垂体の甲状腺刺激ホルモン反応を変化させる; (2) 甲状腺ホルモン生成のためのサイログロブリンのヨウ素化を触媒する甲状腺ペルオキシダーゼの活性を下げる;および  (3) 肝臓でT4からT3への変換を制限し、T3ターンオーバーを増やし、T3の核受容体との結合を減らすことである(29)。西アフリカおよび北アフリカでは、学童のうち最大25%が甲状腺腫と鉄欠乏性貧血を同時に発症していると推定されている(30)。甲状腺腫のある鉄欠乏症の子供による無作為化対照研究で、ヨウ素添加塩を60mg/日の鉄とともに週に4回摂取したら、プラセボに比べて甲状腺の大きさが大幅に減少したことが示された(31)。鉄欠乏性貧血を治すことによって、甲状腺障害を軽減するためのヨウ素補給の効能が向上することが、さらなる介入によって確認された((29, 30)の文献でレビュー)。

欠乏症

鉄欠乏症の程度

鉄欠乏症は米国および世界で最も一般的な栄養素欠乏症である。鉄欠乏症の程度を以下に軽度から重度の順に示す。

貯蔵された鉄の枯渇

鉄の貯蔵は枯渇するが、機能的な鉄供給は制限されていない。

初期の機能性鉄欠乏症

明らかな貧血が起こる前に、骨髄を含む組織への機能性鉄供給が赤血球生成を損なうほど不適切になる。

鉄欠乏性貧血

個人のヘモグロビン濃度が、同性同齢で同じ高度に住む健康な集団のヘモグロビン濃度分布で平均から標準偏差2よりも低くなると、貧血であると定義される(32)。2013年には、人口が50位までの国の子供および青少年の障害の最多原因が貧血であった。19歳未満の者の鉄欠乏性貧血の罹患率が最も高い国々は、アフガニスタン(41%)とイエメン(39.8%)であり、インドは貧血の症例数が最大である(1億4790万人)。米国での罹患率は19.3%と推定され、子供および青少年の鉄欠乏性貧血の症例が1600万近いとされる(33)

鉄欠乏性貧血は、正常な赤血球生成を支えるのに不適切な量の鉄しかない時に発生する。鉄欠乏性の貧血は通常、小球性であり低色素性であることが特徴である。すなわち、赤血球が測定可能なくらい通常よりも小さく、正常な状態よりも色が薄いくらいまでそのヘモグロビン含有量が減っている。鉄欠乏症のこの段階では、症状は貧血および/または鉄依存性酵素の機能がよくないことによる不適切な酸素輸送の結果かもしれない。血液学的パラメータの変化は、鉄欠乏性貧血の臨床的診断に使用される(「鉄の栄養状態の評価」の項参照)。鉄欠乏症が貧血の唯一の原因ではなく、貧血のみを根拠とした鉄欠乏症の診断または治療は、根底にある原因の誤診や不適切な治療につながるかもしれないことを覚えておくことが重要である(34)。貧血のその他の栄養学的原因に関する情報については、「葉酸塩」および「ビタミンB12」のタイトルの記事を参照のこと。

鉄欠乏症の症状

鉄欠乏症の症状の大部分はそれに関連する貧血の結果であり、疲労、頻脈、動悸、およびあえぐような頻呼吸などを含むかもしれない。鉄欠乏症はいくつかの面で運動能力や身体的作業能力を損なう。鉄欠乏性貧血では、赤血球のヘモグロビン含有量が少ないことで活動中の組織への酸素輸送が減少してしまう。筋肉細胞でのミオグロビン濃度の減少は、酸化的代謝のためにミトコンドリアへ運搬可能な酸素の量を制限する。鉄の枯渇も、電子の輸送やATP合成に必要なシトクロムやその他の鉄依存性酵素のミトコンドリアでの含有量を減らすことによって、筋肉の酸化能を下げてしまう(「機能」の項参照)(35)

鉄欠乏症の個人では、甲状腺の機能が悪いことと甲状腺ホルモンの合成が損なわれることで、寒さに晒された際に正常な体温を維持する能力が妨害されるであろう(「機能」の項参照)。鉄欠乏症はまた、好中球の食作用や抗菌作用、および感染に対するTリンパ球の増殖反応も損なうかもしれない(1)。重篤な鉄欠乏性貧血は、もろくてスプーン状の爪、口角の痛み、味蕾の萎縮、および舌の痛みを起こすかもしれない。稀なケースでは鉄欠乏性貧血が進行して、咽頭筋の退化により喉や食道に網状組織ができて嚥下困難になるかもしれない(36)。プランマービンソン症候群としても知られる食道の網状組織の形成は、鉄欠乏症に加えて遺伝的体質が関わっているのかもしれない。幼年期の鉄欠乏症および鉄欠乏性貧血は精神運動的な発達を損ない、短期および長期の行動的かつ認知的な変化を引き起こすことが示されている((37)の文献でレビュー)。さらに、非食物を摂取することが特徴的な行動障害である異食症は、鉄欠乏症の症状および原因であるかもしれない(38)

鉄欠乏症のリスクのある個人

鉄の必要量が増える年齢層グループ

新生児および6ヶ月までの乳児:妊娠期に母体の鉄貯蔵が不適切だったり貧血だったりすると、妊娠期間や出生体重が減る可能性がある。すなわち、早産および/または低体重の新生児は、鉄欠乏性貧血のリスクが高い(14)。子癇前症や妊娠糖尿病を含む妊娠合併症でも、早期産児および正期産児の鉄貯蔵量が低くなるかもしれない(14)

健康な満期産児が持つ150~250mgの鉄の大部分は妊娠第三期に蓄積されたものであり、生後4~6ヶ月の生活に十分である(34)。母乳は比較的鉄が少ない(0.2~0.4mg/L)上に、生後6ヶ月までは腸での鉄の吸収が少ないままなので、6ヶ月未満の乳児にとって鉄の貯蔵は必須である。この時期に持続する急速な成長速度での鉄の高需要は、早期産児では体の鉄不足を悪化させる可能性がある(14)。さらに、臍帯結紮が早かった(生後1分未満)乳児は、結紮が遅かった乳児に比べて生後3~6ヶ月で鉄欠乏症に少なくとも2倍なりやすいことが、無作為化対照試験のレビューで提唱された(39)。しかし健康な正期産児は、生後6ヶ月以前に外部から鉄を補給する必要がほとんどない(1)

生後6ヶ月から3歳までの乳児および幼児:正期産児の鉄貯蔵は、通常は生後の数ヶ月間持ちこたえるのに十分であるが、6ヶ月超の乳児には鉄欠乏症のリスク上昇がある(1)。増加し続ける組織の質量、血液量、および鉄貯蔵の補填のための持続的な鉄の必要量を考えると、米国医学研究所が設定したように、生後7~12ヶ月の乳児に対する鉄の推奨量(RDA)は11mg/日である(表1参照)。

1~3歳の幼児の鉄のRDAは7mg/日である。1999~2002年の米国国民健康栄養調査(NHANES)のデータに基づくと、生後12~35ヶ月の幼児の鉄欠乏症の罹患率は6.6~15.2%、鉄欠乏性貧血の罹患率は0.9~4.4%と、民族や社会経済学的地位によって幅があった(14)

留意したいのは、世界保健機関(WHO)および米国小児学会が1歳児全員の貧血検査を推奨していることだ。しかしながら、米国予防医学専門委員会(USPSTF)の最近の報告では、検査による利点と不利点を評価する十分なエビデンス(科学的根拠)がないと明言されている(34, 40)

青少年:思春期の初期は急速な成長期である。思春期の少女に月経の際に起こる出血によって、青少年の鉄の必要量がさらに増える(1)。青少年期の鉄のRDAは、少年で11mg/日、少女で15mg/日である(表1参照)。

妊娠可能年齢の妊娠していない女性:2003~2006年のNHANESのデータによると、鉄の栄養状態を示す3つのマーカー(ヘモグロビン、フェリチン、トランスフェリン飽和度の百分率)のうち2つが欠乏症のカットオフ値より低い米国女性の割合は、妊娠していない女性で9.8%だった(41)

経口避妊薬を使用すると月経の出血が減り、そのため子宮内避妊具(銅のコイル)に比べて鉄の栄養状態がよいという関連がある(1)

授乳には食事性の鉄の需要が低いという関連があり、妊娠や出産の間に枯渇した鉄の貯蔵を補充することができる。しかし、出産数が多い女性はそのために鉄欠乏症のリスクが高く、鉄の補充が十分ではないかもしれない(41)

妊婦:発育中の胎児や胎盤による鉄の利用の増加や母体の血液量の増加によって鉄の利用が増えるため、妊娠中は鉄の必要量が大幅に増える(42)。2005~2006年のNHANESからのデータの解析で、可溶性トランスフェリン受容体と血清フェリチンの対数比で評価したところ、18.1%の妊婦(平均年齢27.5歳)は鉄が不足していたことがわかった(43)。鉄欠乏症の罹患率は、妊娠の第1三半期に比べて第2三半期や第3三半期の方が高かった(それぞれ4.5%、20.7%、29.7%)。さらに、妊娠中の鉄欠乏症は、メキシコ系および黒人系アメリカ人の方がヒスパニックでない白人のアメリカ人よりも罹患率が高かったことがわかった(それぞれ23.6%、29.6%、13.9%)(43)

慢性的に出血する者

慢性的出血や急性の失血で鉄欠乏症になるかもしれない。150g/Lのヘモグロビン濃度の血液1ミリリットル(mL)は鉄0.5mgを含む。したがって、わずかな血液でも慢性的に出血すれば鉄欠乏症になるかもしれない。

寄生虫感染:発展途上国での慢性的出血および鉄欠乏症の一般的な原因は、腸の寄生虫感染である(44)

頻繁な献血:頻繁に献血をする個人、特に月経のある女性は、欠乏症予防のために鉄の摂取を増やす必要があるかもしれない。献血500mLごとに200~250mgの鉄が含まれているからである(45, 46)

定期的な激しい運動:激しい持久力訓練をするアスリートは、毎日の鉄の喪失が大きいことがわかっている。これは、血液細胞量や筋肉量が増えることや、消化管からの微視的な出血(抗炎症薬の定期的使用を伴う)の増加、または赤血球の脆弱性や溶血現象によるものかもしれない(47)。食品栄養委員会は、定期的に激しい運動をする者は平均的な鉄の必要量が30%高いであろうと推定している(25)

鉄の吸収が悪い者

セリアック病:セリアック病(グルテン性腸症)は、人口の1%に発生すると推定されている自己免疫疾患である。セリアック病の者がグルテンを含む食物や製品を摂取すると、免疫系の反応が腸の粘膜を損い、栄養吸収不要や鉄欠乏性貧血になるかもしれない(48)

萎縮性胃炎:この病態は通常、胃の細胞を攻撃する抗体の存在と関連し、悪性貧血と関係があるとされてきた(「ビタミンB12」のタイトルの記事参照)。萎縮性胃炎はビタミンB12と鉄の吸収の両方を同時に損なうが、月経期の女性では体内のビタミンB12の貯蔵が枯渇する数年前に鉄欠乏症が起こるかもしれない(47)

ヘリコバクター・ピロリ菌感染:H.ピロリ菌感染は、胃腸での出血がなかったとしても鉄欠乏性貧血と関連があり、特に子供のそれと関連がある。2000~2001年のNHANESのデータで、3歳超の者ではH.ピロリ菌感染があると、感染がない者に比べて鉄欠乏症(血清フェリチン濃度に基づく)が40%も多いことが示された(49)。胃腸の潜在出血や食事からの鉄をめぐって細菌と競合しあうことが、感染者の鉄欠乏症の原因であるかもしれない。さらにヘリコバクター・ピロリ菌感染も、萎縮性胃炎の病原としての役割があるのかもしれない(47)

炎症性腸疾患(IBD:鉄欠乏性貧血は、IBD(潰瘍性大腸炎、クローン病)の患者の間で一般的に報告されている(50)。これはおそらく腸での鉄吸収が損なわれていることと、潰瘍化した粘膜からの出血によるものであろう。

胃バイパス手術:ある種の胃バイパス手術(肥満外科手術)は、栄養素の中でも鉄の吸収不全を起こすことにより、鉄欠乏症のリスクを高める(51)

肥満:体重と鉄の栄養状態との間の逆相関が、子供および成人の観察研究のいくつかで報告されている(52, 53)。肥満な者のヘプシジン発現が高いことが、鉄の食事性摂取が適切でも鉄の吸収を損なうのかもしれない。肥満の者は、体重減少すれば血清ヘプシジン濃度が下がり、鉄の栄養状態が改善するかもしれない(9)

慢性疾患性貧血:急性および慢性の炎症によって、異常に低い循環鉄濃度や貧血の発症に至るのかもしれない。このタイプの炎症性の貧血は慢性疾患性貧血(ACD)としても知られ、炎症性疾患、がん、重症疾患、外傷、慢性的感染、および寄生虫の外寄生に一般的に見られる。炎症に誘発されたヘプシジンの上方調整によって、食事性鉄の吸収や体内の鉄貯蔵部位からの鉄の移動が阻害されることで、貧血が起こると考えられている(「鉄の恒常性の全身調整」の項参照)(9)

鉄欠乏症のその他の原因

鉄の摂取源が不適切な菜食:植物性の鉄(非ヘム鉄)は、動物性の摂取源からの鉄よりも効率的に吸収されない(「摂取源」の項参照)。そのため米国医学研究所(IOM)の食品栄養委員会(FNB)は、鉄の生物学的利用性は西洋式混合食では18%であるのに対し、菜食だと10%でしかないと推定している。したがって完全な菜食をしている者の鉄の推奨量(RDA)は、非菜食の者のRDAよりも1.8倍高いかもしれない(25)。しかし菜食でも、全粒穀物、豆類、ナッツ、種子類、ドライフルーツ、鉄強化されたシリアル、および緑色葉物野菜を含む場合は、鉄欠乏症のリスク上昇と関連しないようである(「摂取源」の項参照)(54)

慢性腎疾患(CKD:CKD患者が鉄を喪失するのは、腎臓機能が正常な者(0.83mL/日の失血で約100mg/年に相当)に比べて、相当量を胃腸から失血(毎年1.2Lの失血で年に約400mgの鉄に相当)しているからである。血液透析を受けている患者では推定失血量がさらに多く、鉄の喪失量は年に1,000~2,000mg以上であるかもしれない。CKD患者の持続的な炎症は、体内の鉄貯蔵が適切でも赤血球生成のための鉄供給が不適切になることに寄与するかもしれない(55)

推奨量(RDA)

鉄のRDAは2001年に改定され、鉄欠乏症予防と混合食を摂る者の鉄貯蔵を適切に維持することに基づいている(表1;(25))。

表1 鉄の推奨量(RDA)
年齢層 年齢 男性 (mg/日) 女性 (mg/日)
乳児 0~6ヶ月 0.27 (目安量) 0.27 (目安量)
乳児 7~12ヶ月 11 11
子供 1~3歳 7 7
子供 4~8歳 10 10
子供 9~13歳 8 8
青少年 14~18歳 11 15
成人 19~50歳 8 18
成人 51歳以上 8 8
妊娠期 全年齢 - 27
授乳期 18歳以下 - 10
授乳期 19歳以上 - 9

疾病予防

鉄欠乏症または鉄欠乏性貧血を予防または緩和することで、以下のような健康状態や疾患に関して鉄の不足や赤血球生成の欠陥の影響を制限することができる。

子供の精神運動的、認知的、および知的発達の損傷

鉄は中枢神経系の発達に決定的に重要であり、鉄欠乏症は出生前期間および出生後初期には特に有害であると考えられている。鉄依存性酵素は、神経の髄鞘形成、神経伝達物質合成、および神経細胞の正常なエネルギー代謝に必要である(56)。大部分の観察研究で、貧血の有無によらず子供の鉄欠乏症と、認知発達不良、学業成績不良、および異常な行動パターンとの関係がわかった((37)の文献でレビュー)。幼年期初期における精神運動的および精神的な欠陥が鉄の不足だけによるものなのか、または鉄欠乏性貧血や炎症性貧血のように鉄欠乏症と低いヘモグロビン濃度の両方の効果によるのかは不明なままである(14)

27ヶ月より若い鉄欠乏性貧血の子供による6つの小規模プラセボ対照試験(1978~1989年に発表)の最近のシステマティックレビュー(総括)で、鉄による治療(11日未満)は治療開始から30日以内における精神運動的および精神的発達の測定値に何らかの一貫した効果があるという確信的なエビデンスは見られなかった(57)。貧血で鉄欠乏の乳児による1つの無作為化二重盲検試験だけが4ヶ月にわたる鉄による治療の影響を調べ、認知発達の指標に対する意義深い有益性が見つかったが、さらに確認する必要がある(58)。貧血でない鉄欠乏の乳児(生後0~9ヶ月)による5つの無作為化対照試験のレビューで、生後18ヶ月までの精神運動的発達(精神的発達ではない)の改善が示唆された(59)。乳児期初期(生後4~6ヶ月)の鉄補給も、プラセボに比べて9歳時の認知能力や学業に対する長期的効果は実証されなかった(60)。現在では、貧血があってもなくても、鉄欠乏症の乳児の神経発生的結果に対する鉄による治療の有益性を示すエビデンスは限定的なままである。

貧血および/または鉄欠乏症であるより年長の子供の認知的結果の向上に、鉄治療はより効果的であるかもしれない。17の無作為化対照試験のシステマティックレビューで、鉄補給は27ヶ月未満の幼児の精神発達に何の効果もなかったが、7歳超の子供の精神発達のスコアをやや向上させたことがわかった(61)。鉄欠乏症、貧血、または鉄欠乏性貧血の6歳超の子供、青少年、および女性による無作為化対照試験のより最近のメタ解析で、参加者の鉄の栄養状態とは無関係に、鉄補給が注意力や集中力を向上させるかもしれないことが示された(62)。鉄での治療によるIQ測定値の向上の可能性も、貧血の参加者の鉄の状態に関係なく報告された。記憶能力、精神運動機能、および学業の測定値に関するその他の有益性は見られなかった。

鉄欠乏症による脳機能の変化は、それが幼児期初期に起こると鉄治療に反応しにくいようである。幼い時期の鉄欠乏症の長期的結果には、社会経済学的業績の不良や、不安、うつ病、および統合失調症といった特定の精神病理リスクの上昇が含まれるかもしれない(56)

妊娠結果への害

妊婦の重篤な貧血と、低出生体重、早期出産、および新生児や母体の死亡率などの妊娠結果への害との関連について、疫学的研究は強力なエビデンスを提供している(63)。鉄欠乏症は重篤な貧血に寄与する主要な要因であるが、鉄欠乏性貧血が妊娠結果の不良を起こすというエビデンスは未だに不足している。さらに、妊娠期の鉄補給は女性の鉄の栄養状態や血液学的パラメータを改善すると示されたが、低出生体重および/または未熟児、新生児の死亡、および先天性異常などの妊娠結果への害を大きく減らすことはできなかった(64)。また妊娠期の日常的補給は、妊娠期間の長さや新生児のアプガールスコアに何の効果もなかった(40)。それにもかかわらず、大部分の専門家は母体の貧血の管理は出生前の健康管理の重要な一部であると考えており、IOMは各妊娠三半期ごとの貧血検査を勧めている(65)

妊娠の第2三半期および第3三半期には鉄の需要が大きく増え、妊婦へのRDAは27mg/日である(「推奨量」の項参照)(25)。米国産科婦人科学会はすべての妊婦の貧血検査を推奨し、必要ならば鉄補給を勧めている(66)。そうとはいえ、米国予防医学専門委員会(40」および米国家庭医学会(67)は、妊娠中の鉄欠乏性貧血検査や鉄補給の有益性と不利益性を評価するエビデンスが不足していると考えている。

しかしながら、マラリアが風土病の地域では、マラリアの予防および管理の手段とともに鉄補給をすることは、妊娠結果を良くするかもしれない。最近の2つの無作為化プラセボ対照試験では、鉄補給をした鉄欠乏症および鉄が十分な妊婦のマラリア感染リスクの上昇は見られず、このことはマラリアの間欠予防治療(IPT)を採用しているマラリアが風土病の国における全妊婦への鉄補給を支持している(68, 69)

鉛の毒性

たとえ少量でも鉛に慢性的に晒された子供は、学習障害や行動的な問題を起こしやすく、IQも低くなりやすい。成長や神経学的な発達における欠陥は、妊娠中や授乳中に鉛に晒された女性の乳児に起こるかもしれない。成人では、鉛毒性によって腎臓損傷や高血圧になるかもしれない。塗料製品、ガソリン、および食品用の缶への鉛の使用は米国では停止しているが、鉛の毒性は引き続き大きな健康問題であり、都心部に住む子供では特にそうである(70)。2012年に米国疾病管理予防センターは、リスクのある子供を識別するために血中鉛濃度の基準値を1 デシリットル 当たり5マイクログラム(μg/dL)に設定した。しかしながら、これ以下なら子供が100%安全であるという血中鉛濃度は知られていない(71)

鉄欠乏症と鉛中毒には、低い社会経済的地位、少数民族集団、および都市居住者といった多くの同じリスク要因がある。鉄欠乏症は、特にDMT1腸輸送体を介しての腸での鉛吸収を増やすことで、子供の鉛中毒リスクを上げるかもしれない(72)。しかし、真に鉄欠乏症または慢性的に鉛に晒されている鉄が十分な子供(鉛に晒された家に住むなど)に対しては、鉛中毒での鉄補給は控えるべきであるかもしれない(72)

疾病治療

下肢静止不能症候群

下肢静止不能症候群(RLS;別名むずむず脚症候群またはウィリス・エクボム病)は、原因不明の神経学的運動障害である。RLSの者は、下肢を動かしたくなる抵抗し難い衝動や一過性の動きの中断という不快な感覚を経験する。これらの感覚は休息中により多く、しばしば睡眠の妨げとなる(73)。RLSの罹患率は女性の方が男性よりも高く、加齢とともに増える(74)。この症候群は患者の約50%に遺伝するようであり、慢性腎不全とも関係する(73)。RLSの発症には鉄欠乏症が関わっているかもしれず、神経伝達物質であるドーパミンの合成における律速鉄依存性酵素のチロシン水酸化酵素の活動に影響するのであろう(74)。RLSの管理には、鉄治療やドーパミン作動薬などの薬剤の使用が含まれる(73)。現在の臨床的エビデンスは、RLSの症状のいくつかを緩和するのに鉄治療が役立つのかどうかを評価するには不十分である(74)。しかしウィリス・エクボム病症候群財団のメディカルアドバイザリーボード(医学諮問委員会)は、すべてのRLS患者における鉄の栄養状態が評価されるべきであり、有益であるかもしれない者には鉄治療がケースバイケースで試されるべきであると提言している(73)

摂取源

食物の摂取源

体で吸収され利用される食物やサプリメントからの鉄の量は、個人の鉄の栄養状態や鉄がヘムの形態であるかどうかによって影響される。非ヘム鉄とは異なったメカニズムで吸収されるので、ヘム鉄はすぐに吸収されやすく、またその吸収はその他の栄養素による影響を受けにくい(2)。体の鉄の状態を改善しようと、鉄が十分な者に比べて貧血や鉄欠乏の個人では鉄の吸収が強化される。

ヘム鉄

ヘム鉄は主に肉、家禽の肉、および魚のヘモグロビンやミオグロビンに由来する。ヘム鉄は食事中の鉄のわずか10~15%しか占めていないが、吸収された食事性鉄全体の最大で三分の一にもなるかもしれない(54)。ヘム鉄の吸収は、非ヘム鉄のそれよりもその他の食事性要因に影響されにくい(27)

非ヘム鉄

植物、乳製品、肉、および食品やサプリメントに添加された鉄塩は、すべて非ヘム鉄の摂取源である。非ヘム鉄の吸収は、同じ食事に含まれるエンハンサー(促進物質)やインヒビター(阻害物質)によって強く影響を受ける(27)

非ヘム鉄吸収のエンハンサー

  • ビタミンC(アスコルビン酸):ビタミンCは、食事性の第二鉄イオン(Fe3+)を第一鉄イオン(Fe2+)に還元し吸収可能なアスコルビン酸鉄錯体を形成することで、非ヘム鉄の吸収を強力に増進する(75)
  • その他の有機酸:クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、および乳酸は、非ヘム鉄の吸収を強化する効果がある(1)
  • 肉、家禽の肉、および魚:肉、家禽の肉、および魚は、非常に吸収のよいヘム鉄を含むだけでなく、非ヘム鉄の吸収も強化する。この非ヘム鉄吸収強化のメカニズムは、よくわからない(1, 25)

非ヘム鉄吸収のインヒビター

  • フィチン酸:豆類、全粒穀物、ナッツ、および種子類に含まれるフィチン酸は、おそらく非ヘム鉄と結合することによってその吸収を妨げる。少量(5~10mg)のフィチン酸で、非ヘム鉄の吸収を50%も減らすことができる。大豆、黒豆、レンズ豆、緑豆、および割りエンドウなどの豆類からの鉄の吸収は、わずか2%であることが示されている(25)。水に浸す、発芽させる、発酵させる、および加熱するなどの調理の準備は、フィチン酸の除去または分解に役立つ(27)
  • ポリフェノール化合物:コーヒー、紅茶、およびハーブティーに含まれるポリフェノール化合物は、非ヘム鉄の吸収を著しく阻害する(76)。この効果は、ビタミンCがあると和らぐかもしれない(22, 77)
  • 大豆タンパク質:豆腐に含まれるような大豆タンパク質は鉄吸収の抑制効果があるが、そのフィチン酸含有量と鉄吸収はわずかしか関係しない(22, 77)
  • カルシウム:カルシウムは、ヘム鉄および非ヘム鉄の両方の摂取源からの鉄吸収に影響があるようである。しかし、様々な濃度の鉄吸収エンハンサーおよびインヒビターを含む広範囲な食品を摂取すれば、その効果は限定的であるようだ(27)

米国の全国調査で、食事性鉄の平均摂取量は男性で16~18mg/日、閉経前および閉経後の女性で12mg/日、および妊婦で15mg/日であることが示された(25)。したがって、米国の閉経前の女性および妊婦の大半はRDAよりも少ない鉄しか摂取していないが、多数の男性はRDAより多く鉄を摂取している(「推奨量」の項参照)。米国では、ほとんどの穀物製品は非ヘム鉄が強化されている。比較的鉄の豊富ないくつかの食品の鉄含有量を、表2にミリグラム(mg)で示す。特定の食品の栄養素含有量についての詳細は、米国農務省の食品成分データベースを検索のこと。

表2 鉄の摂取源食品
食品 分量 鉄(mg)
牛肉 85g* 1.6
鶏のレバー、炒めたもの 28g 3.6
マガキ、加熱したもの 中6個   13.8
アメリカガキ、加熱したもの 中6個  3.9
ハマグリ、蒸したもの 85g   2.4
ライトツナ水煮缶詰 85g   1.3
ムラサキガイ、蒸したもの 85g 5.7
レーズンブランシリアル 240mL  5.8 ~ 18.0
種無しレーズン 小1箱(43g)  0.8
プルーンジュース 180mL 2.3
ドライプルーン 約5個(48g)  0.4
皮付きじゃがいも、焼いたもの 中1個  1.8
キノア、加熱したもの   120mL 1.4
ホウレンソウ、加熱したもの 240mL  6.4
スイスチャード、茹でたもの 120mL 2.0
白いんげん豆、加熱したもの 120mL 3.3
レンズ豆、加熱したもの 120mL 3.3
木綿豆腐 120mL  6.6
ヘーゼルナッツ、ロースト済み 28g 1.3
カシューナッツ 28g 1.9
*85gの肉は、トランプのカード1組くらいの大きさである。

サプリメント

鉄のサプリメントは、鉄欠乏症および鉄欠乏性貧血の予防と治療用と表示されている。鉄欠乏症のリスクのない個人(成人男性や閉経後の女性など)は、適切な医学的評価無しで鉄のサプリメントを摂取すべきではない。多くの鉄サプリメントが市販されており、異なる形態で異なる元素鉄の割合で提供される。硫酸第一鉄七水和物には元素鉄が20%含まれており、硫酸第一鉄一水塩には33%含まれ、グルコン酸第一鉄では12%、フマル酸第一鉄では33%である。特別に断りがなければ、この記事での鉄とは元素鉄のことである。

鉄の過負荷

腸での鉄吸収の調節解除は、体が過剰な鉄を排泄できないので、鉄の過負荷に至るであろう(2)。しかし、長期の鉄補給による鉄の過負荷は、遺伝的体質でない健康な個人には非常に稀である。いくつかの遺伝性障害では、鉄の摂取が正常でも体に病理学的な鉄の蓄積が起こることがある。未検出なままの遺伝性疾患が多いことや、慢性的鉄過剰摂取のより微妙な効果が最近懸念されていることから、鉄欠乏症でない個人への補給は避けるべきである(「鉄過負荷に関連する疾患」の項参照)。

遺伝性鉄過負荷疾患

遺伝性ヘモクロマトーシス

遺伝性ヘモクロマトーシス(HH)とは、鉄代謝に関する遅発性常染色体劣性遺伝疾患であり、肝臓、心臓、およびその他の組織に鉄が蓄積してしまう。この疾患は、肝硬変、糖尿病、心筋症(心臓の筋肉の損傷)、性腺機能低下症、関節症(関節トラブル)、および皮膚色素沈着の増加などが起こるかもしれない((78)の文献でレビュー)。HHには4つの主要なタイプがあり、突然変異をしている特定の遺伝子によって分類されている。最も一般的なHHのタイプは1型またはHFE関連HHと呼ばれ、HFE遺伝子の突然変異に由来する(79, 80)。1型HHケースの大半は、HFE遺伝子の突然変異C282Y G>A(rs1800560)がホモ接合になる。1型HH患者の4%に見られるその他の突然変異は、HFE遺伝子のH63D C>G(rs1799945)である。HFE遺伝子によって符号化されたタンパク質は、腸での食事性鉄の吸収を調整し体の鉄貯蔵を感知する役割があると考えられている(81)HFE遺伝子の変異は、細胞での鉄の取り込みが増加することに関連がある。30歳前に典型的に発症する若年性ヘモクロマトーシス(HH2型)は1型HHよりもずっと稀で、ヘモジュベリン(2A型)またはヘプシジン(2B型)のどちらかの機能に影響する遺伝子変異に由来する(82)。3型HHはトランスフェリン受容体2遺伝子(TFR2)の変異によるもので、4型HH(フェロポーチン病とも呼ばれる)は、細胞外に鉄を運び出すのに重要なタンパク質であるフェロポーチン-1(SLC40A1)を符号化する遺伝子の変異によるものである(「調整」の項参照)。4型HHは、1型HHに次いで2番目に多い遺伝性鉄過負荷障害である(78)

HHの鉄過負荷は、鉄過負荷の重篤度によって決定される間隔で一回につき500mLの血液を除去する静脈切開によって治療される。キレート療法は、静脈切開治療を受けられないHH患者の鉄を取り除く別の選択肢である。HHの者は鉄サプリメントを避けるように忠告されるが、鉄の豊富な食物を避けるようにとは一般的に言われない。高用量ビタミンCレジメン(治療計画)は、HH患者の鉄過負荷を悪化させるかもしれない(75)。肝硬変のリスク上昇のため、アルコール摂取は強く禁止される(83)。遺伝子検査は血液サンプルが必要であるが、家族にヘモクロマトーシスの病歴のある者などHHのリスクがあるかもしれない者の利用が可能である。

その他の遺伝性病状

鉄過負荷になるその他の遺伝性障害には、無セルロプラスミン血症、低トランスフェリン血症、フリードライヒ運動失調症、および晩発性皮膚ポルフィリン症などがある(2)

後天性鉄過負荷疾患

鉄過負荷は、鉄欠乏症にはよらない重篤な遺伝性貧血の者が発症するかもしれない。食事からの鉄の過剰吸収は、体が赤血球を作ろうと努力し続けている結果起こるのかもしれない。ベータサラセミア(地中海貧血症)は、βグロビン遺伝子の突然変異によるヘモグロビンA合成の欠損が特徴である。中間型サラセミア患者は、サラセミアの最も重篤な形態(重症型サラセミアと呼ばれる)の者のように輸血を必要としないが、腸からの鉄吸収が増えることで鉄の過負荷を起こす(84)。鉄の過負荷リスクのあるその他の貧血患者は、鉄芽球性貧血、溶血性貧血、ピルビン酸キナーゼ欠乏症、および重症型サラセミアなどの者であり、特にそれは彼らが何回も輸血をして治療されることによるものである。遺伝性の球状赤血球症や軽症型サラセミアの者は、鉄欠乏症と誤診され何年も大容量の鉄で治療されることがなければ、通常は鉄過負荷にはならない。鉄の過負荷は、血液透析や慢性肝疾患(代謝性、ウィルス性、およびアルコール性)とも関連付けられてきた(2)

鉄の過負荷に関連する疾患

遺伝性ヘモクロマトーシス(HH)における重要臓器への有害な鉄沈着は、肝臓がん、2型糖尿病、および神経変性疾患と関連付けられてきた。HHでない者でも、鉄の過負荷は慢性疾患のリスクを上昇させるかもしれない。遺伝性障害のない者における組織での鉄の蓄積が、食事性鉄の高摂取によるものなのかどうかは十分にわかっていない(1)

がん

肝臓での異常な鉄の蓄積が特徴的な遺伝性ヘモクロマトーシスは、肝臓がん(肝細胞がん(HCC))のリスク要因である。鉄の蓄積は、脂質、タンパク質、およびDNAへの損傷を起こす酸化ストレスを増やすことで、発がん性物質として機能すると考えられている。9つの観察研究のメタ解析で、健康な参加者および慢性肝疾患の患者でHFE遺伝子にC282Y変異があると、HCCのリスクが上昇することがわかった(「鉄の過負荷」の項参照)(85)。その他のメタ解析でも、HFE遺伝子のC282YおよびH63D変異と、がん全体のリスク上昇との間の関連が報告されている(86, 87)。しかしHFE遺伝子の変異と肝臓外の部位でのがんのリスクに関する報告をしている研究は少ないか、一貫していないかである。すべてではないが、いくつかの観察研究でC282Y変異と結腸直腸がん(88)、乳がん(88, 89)、および上皮性卵巣がん(90)のリスクとに大きな関連があることがわかった。HFE遺伝子のH63D変異は、白血病(91, 92)、および胃がん(93)のリスク上昇と関連があった。

食事性鉄の高摂取でヘモクロマトーシスでない者のがんリスクが上昇するのかどうかも調査されている。ヘム鉄が豊富な赤肉または加工肉(白肉ではない)の摂取は、結腸直腸がん(CRC)のリスク上昇と関連付けられてきた(94)。肉が高温で調理される際に発生する発がん性化合物(複素環式アミンと呼ばれる)や、赤肉や加工肉を食べた後で消化管で作られる発がん性Nニトロソ化合物に晒されることで、そのように関連するのかもしれない(95)。観察研究のいくつかのメタ解析でも、赤肉のヘム鉄とCRCの関連の可能性が示唆されている(96~98)。これは、損傷を起こすかもしれないNニトロソ化合物やヘム鉄が触媒する反応で派生する脂質過酸化最終産物に、結腸の細胞がより多くさらされることよるものであると説明されてきた(99)。さらに、大規模ながんと栄養に関する欧州前向き研究(EPIC)からの最近の結果で、食道腺がんのリスクが高いことと赤肉/加工肉およびヘム鉄の高摂取との関連が示唆された(100)

心血管疾患

血管壁の損傷とアテローム性動脈硬化症の発症における鉄に誘発された酸化ストレスの役割が実験研究で示唆されたが、それはほとんどの心血管疾患の根底にある(101)。しかし、ヒトでの鉄の栄養状態と心血管疾患の疫学的研究では、矛盾する結果が生じてきた。156,427人の参加者(9,236の冠動脈性心疾患(CHD)または心筋梗塞(MI)症例)による17の前向きコホート研究の最近のシステマティックレビューおよびメタ解析では、鉄の状態に関する多くの異なる測定値とCHD/MIとの間に強い関連があることを裏付けるエビデンスを見つけることができなかった(102)。血清トランスフェリン飽和度が最も高い四分位の者は、最も低い四分位の者よりもCHD/MIの発症が18%低かっただけであった(102)。21の前向き研究の別のメタ解析では、血清トランスフェリン飽和度や血清鉄はCHDリスクと逆相関があるとわかった。しかし、ほとんどの研究で炎症による紛らわしい影響への補正をしていないことを、著者らは注記している(103)。このレビューではCHDの発症と食事性鉄の総摂取量との間の逆相関を報告しているが、食事性ヘム鉄はCHDの発症と正の相関があった(103)。鉄の貯蔵とCHD/MIの関係はさらなる解明が必要であるが、鉄欠乏症のリスクがない者(成人男性や閉経後の女性など)は過剰な鉄摂取を控えることが賢明であろう。

/2型糖尿病とメタボリック症候群

遺伝性ヘモクロマトーシス(HH)の者は、2型糖尿病の発症リスクが高いことが知られている(104)。ヘモクロマトーシスとは別に、2型糖尿病の病因における過剰な鉄の役割も増大するエビデンスから示唆されている。横断研究、症例対照研究、および前向きコホート研究は、フェリチン濃度(体の鉄貯蔵を反映する)が高いと低い場合に比べて2型糖尿病(105)やメタボリック症候群(106)のリスクが高いことを、炎症への補正の後で報告している。鉄の状態に関するその他の指標が2型糖尿病のリスクとどのように関係するのかは、現在ではよくわからない(107~110)。HH患者の鉄の過負荷で誘発される酸化ストレスは、膵臓のβ細胞を傷つけインスリン分泌を損なうと考えられている。HHでない被験者では、鉄の過剰はβ細胞の機能を損傷するのではなく肝臓を損ない、ブドウ糖代謝に支障をきたしてインスリン抵抗性を起こすのかもしれない(111, 112)。静脈切開による鉄の除去は、2型糖尿病(113)およびメタボリック症候群(114)の被験者の代謝指標を向上させることが示されている。体の鉄貯蔵を減らすことが2型糖尿病やメタボリック症候群の予防に役立つのかどうかを決定する追加的な無作為化対照試験が必要である。

神経変性疾患

鉄は細胞代謝や神経伝達物質およびミエリンの合成に関わっていることから、正常な脳や神経の機能に必要である。鉄の恒常性の調節解除は、アルツハイマー病、パーキンソン病、および筋萎縮性側索硬化症(ルー・ゲーリック病(ALS))を含む多くの神経変性疾患で観察されている(115~117)。脳での鉄の異常蓄積は食事性鉄の摂取増加によるものではなく、細胞の複雑な鉄調整プロセスが破壊されることの結果であるようだ(117)。脳での鉄の蓄積は酸化ストレスを増加させるかもしれず、脳は酸化ストレスに特に影響されやすい。神経変性疾患の患者の脳における鉄恒常性破壊のメカニズムは、活発に研究されている。たとえば、遺伝子改変マウスのモデルを使用した研究では、上流の一酸化窒素(NO)の上昇によるアミロイド前駆体タンパク質(APP)の発現(11)またはタウタンパク質の消失(12)が神経細胞の鉄排出を損わせ、パーキンソン病で影響を受ける脳の特定部位への鉄の蓄積に至るのかもしれないことが示された。初期段階のパーキンソン病患者による予備的二重盲検プラセボ対照試験では、鉄キレート剤であるデフェリプロンの12ヶ月間経口投与で、黒質と呼ばれる脳の部位での鉄沈着が減り、全身的な鉄の恒常性を損なうことなく運動能力が向上したことが実証された(118,119)

安全性

毒性

過量服用

鉄含有製品の偶発的な過量服用は、6歳未満の子供の中毒死の単独で最大の原因である。元素鉄の経口致死量は体重1kg当たり約180~250mgであるが、これより相当少なくても致命的である。急性の毒性症状は、体重1kg当たり約20~60mgの鉄用量で起こるかもしれない。鉄の毒性の重篤度は吸収された元素鉄の量に関係するので、鉄の過量服用は非常事態である。急性の鉄中毒は4つの段階で症状を呈する。(1)摂取から1~6時間以内では、症状は吐き気、嘔吐、腹痛、タール便、無気力、弱い速脈、低血圧、発熱、呼吸困難、および昏睡を含むかもしれない。(2)すぐに致命的でないならば、約24時間症状が鎮まるかもしれない。(3)鉄の摂取後12~48時間して症状がぶり返し、心血管系、腎臓、肝臓、血液、および中枢神経系といった臓器系の深刻な不全の兆候があるかもしれない。そして(4)摂取から2~6週間後に中枢神経系、肝臓(硬変)、および胃への長期的損傷が起こるかもしれない(25, 120)

有害作用

鉄欠乏症の治療で用いられる治療用濃度では、鉄サプリメントは胃腸への刺激、吐き気、嘔吐、下痢、または便秘を起こすかもしれない。便はしばしば色が濃く見える。鉄を含んだ液体は一時的に歯を着色することがあるが、その液体を薄めることがこの効果の予防に役立つ(120)。空腹ではなく食物と一緒に鉄サプリメントを摂取すると、胃腸の症状を緩和できるかもしれない。米国医学研究所の食品栄養委員会(FNB)は、鉄の許容上限摂取量(UL)を胃腸の苦痛を予防することに基づいて設定した(表3)。青少年(14~18歳)と、妊婦や授乳婦を含む成人のULは45mg/日である。厳密な医学的監督下で鉄による治療を受けている者に対しては、このULの適応は意図されていないことを留意すべきである。遺伝性ヘモクロマトーシスまたはその他の鉄過負荷症状のある者、およびアルコール性硬変やその他の肝臓疾患のある者は、UL未満の鉄摂取量でも有害作用があるかもしれない(25)

表3 鉄の許容上限摂取量 (UL)
年齢層 UL (mg/日)
0~12ヶ月の乳児 40
1~13歳の子供 40
14~18歳の青少年 45
19歳以上の成人 45

薬物相互作用

制酸薬、ヒスタミン(H2)受容体拮抗薬(シメチジン、ラニチジンなど)、およびプロトンポンプ阻害薬(オメプラゾール、ランソプラゾールなど)のような胃の酸度を下げる薬剤は、鉄の吸収を損なうかもしれない。次の薬剤と同時に鉄のサプリメントを摂取すると、その薬剤の吸収や効能を下げるかもしれない。それらはカルビドパおよびラボドパ(シネメット)、レボチロキシン(シンスロイド、レボキシル)、メチルドパ(アルドメット)、ペニシラミン(カプリミン、デペン)、キノロン、テトラサイクリン、およびビスフォスフォネート(120)である。したがってこれらの薬剤は、鉄サプリメントの摂取から2時間の間隔を空けて摂取するのが最善である。コレスチラミン(クエストラン)およびコレスチポール(コレスチド)は血中コレステロール濃度を下げるのに使用されるが、鉄の吸収に支障をきたすかもしれないので、これも鉄サプリメントとは少なくとも4時間空けて摂取すべきである(121)。痛風の治療に使用される薬剤のアロプリノール(ザイロプリム)は肝臓での鉄貯蔵を増やすかもしれず、鉄サプリメントと併用すべきではない。

鉄補給はマラリア風土病地域におけるマラリアのリスクを上昇させるか?

免疫反応における鉄の重要な機能にもかかわらず、鉄の栄養状態と感染症、特にマラリアのかかりやすさとの関係の本質は論争の的であった。鉄捕獲は病原体に対する防御メカニズムとして認知されている(「感染中の鉄捕獲防御」の項参照)が、鉄補給、特にマラリア風土病地域に住む鉄が足りている子供への鉄補給の安全性に関する懸念が起きている(122)

熱帯に住む子供への鉄補給は、臨床的なマラリアや肺炎などの他の感染症のリスク上昇と関連付けられてきた(123, 124)。東アフリカ(タンザニア)のマラリア風土病地域に住む24,076人の子供(1~35ヶ月)による無作為化対照試験で、鉄および葉酸を亜鉛有りまたは無しで補給する効果が、全死因および入院に関して亜鉛単独またはプラセボの効果と比べて調査された(125)。鉄、葉酸、および/または亜鉛の投与は重篤な有害作用、入院、および死亡のリスクを上昇させることがわかり、したがって早期に中止された。試験のさらなる解析で、鉄が足りている子供は鉄欠乏症の子供(貧血の有りまたは無し)に比べて、鉄補給の後の有害作用のリスクがあることが明らかになった(125)。日常的鉄補給のそのような有害作用の潜在的リスクは、マラリアがない環境(ネパール南部)の学齢前の子供には見られなかった(126)

35の試験の最近のレビューで、マラリアの予防および管理ができるマラリア風土病地域に住む子供の臨床的マラリアやその他の寄生虫症、感染、および全死因のリスクは、鉄補給によって上昇しなかったことが示された(127)。さらに、3つの高品質試験の統合解析で、抗マラリア治療と併用した鉄補給は子供を臨床的マラリアから守り、血液学的パラメータを改善したことが実証された(127)。世界保健機関(WHO)は現在、マラリア風土病地域においてマラリアの予防、診断、および治療の方策とともに乳幼児や子供への鉄補給を行うことを推奨している(128)

ライナス・ポーリング研究所の推奨

鉄のRDAに従うことで、ほとんどの者に有害作用を起こすことなく鉄欠乏症を予防するのに十分な鉄が得られるはずである。十分な鉄は様々な食事から得られるものではあるが、かなりの者が欠乏症を予防するのに適量な鉄を摂取していない。鉄の一日摂取基準量(DV)の100%を含むマルチビタミン/ミネラルのサプリメントは、18mgの元素鉄を含む。この鉄量は閉経前の女性には有益であろうが、男性および閉経後の女性にとってのRDAをずっと上回る。

成人男性および閉経後の女性

遺伝性ヘモクロマトーシスは一般的ではなく、慢性疾患リスクに関する長期的な食事性鉄の過剰摂取効果も未だにはっきりしないため、鉄欠乏症のリスクがない男性および閉経後の女性は、鉄を含まないマルチビタミン/ミネラルのサプリメントを摂取すべきである。男性または50歳超の者に特定して調整された多くのマルチビタミンは鉄を含まない。

年配の成人(50歳超)

中年および年配の者では、やや高めの鉄貯蔵が鉄欠乏症よりもずっと一般的であるかもしれない(129)。したがって鉄欠乏症と診断されない限り、年配者は一般的に鉄を含んだ栄養サプリメントを摂取すべきでない。さらに、単に鉄のサプリメントで鉄欠乏症を治療するのではなく、鉄欠乏症の根底にある原因を決定することは極めて重要である(「推奨量」の項参照)。


Authors and Reviewers

Originally written in 2001 by:
Jane Higdon, Ph.D.
Linus Pauling Institute
Oregon State University

Updated in March 2003 by:
Jane Higdon, Ph.D.
Linus Pauling Institute
Oregon State University

Updated in January 2006 by:
Jane Higdon, Ph.D.
Linus Pauling Institute
Oregon State University

Updated in August 2009 by:
Victoria J. Drake, Ph.D.
Linus Pauling Institute
Oregon State University

Updated in April 2016 by:
Barbara Delage, Ph.D.
Linus Pauling Institute
Oregon State University

Reviewed in May 2016 by:
Marianne Wessling-Resnick, Ph.D.
Professor of Nutritional Biochemistry
Department of Genetics and Complex Diseases
Harvard T.H. Chan School of Public Health

The 2016 update of this article was underwritten, in part, by a grant from Bayer Consumer Care AG, Basel, Switzerland.

Copyright 2001-2024  Linus Pauling Institute


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